2018.10.9
3Dプリンターで建つ家が、世界の住居問題を解決
3Dプリンターの可能性を語るなら、まず「家を建てることができる」が筆頭にくるでしょう。早く安く建てることができる3Dプリンターの家は、米ICON社の場合はわずか1万ドル(約110万円)で建ってしまうのです。ICON社創設者のジェイソン・バラード氏によると、この家は経済的な支援を必要としている地域でも簡単に建てられるそうです。
ICON社によれば、60平方メートルのセメント製の家が3Dプリンターで出力可能で、時間にして約12~24時間ほどで建ってしまうそうです。
米オースティンには、3Dプリンターで建設された家がデモンストレーションされています。ポーチ、リビングルーム、コンパートメント、ベッドルーム、トイレがある立派な家です。
米オースティンには、3Dプリンターで建設された家がデモンストレーションされています。ポーチ、リビングルーム、コンパートメント、ベッドルーム、トイレがある立派な家です。
世界の住宅問題の解決をミッションとして掲げるICON社ですが、それを達成したのちの目標もあるそうです。それは
「地球外の惑星に、居住可能な家を3Dプリンターで建設する」
というもの。地球だけではなく、将来の宇宙時代の住居問題も見据えているのですね。
「地球外の惑星に、居住可能な家を3Dプリンターで建設する」
というもの。地球だけではなく、将来の宇宙時代の住居問題も見据えているのですね。
しかし地震大国日本に住む我々としては「世界では普及されても日本ではどうなの?」と思ってしまいます。手法は既に現場で取り込まれているそうですが、3Dプリンター製住宅が日本で広く普及されるにはリスクが高いようです。
3Dプリンター製エンジンを搭載したロケットが、打ち上げに成功
ロケットエンジンも、今や3Dプリンターで製造できる時代です。Rocket Lab社が製造するロケットエンジン「ラザフォード・エンジン」は、主要コンポーネントに3Dプリンター製の部品を使っています。それにより納期は短縮され、低コストでのエンジン製造を実現しているのです。
ロケットエンジン製造は、従来であれば数カ月を要しました。しかし3Dプリンター技術を用いれば、24時間毎にエンジン部品をプリントすることが可能に。コスト的にも非常に競争力が高いのです。
彼らのライバルといえばイーロン・マスク氏のSpaceX社ですが、同社の「Falcon 9」の打上げ費用は約6,200万ドル(約70憶円)です。それに対しRocket Lab社は、約500万ドル(約5億6,500万円)。実に12分の1の低コストなのです。
#ItsaTest pic.twitter.com/JI4M6iTqiC
— Rocket Lab (@RocketLab) May 25, 2017
製造法公開を差し止めされた3Dプリンター銃
スピーディーな仕上がりと低コストがメリットの3Dプリント技術ですが、良いことばかりではありません。バッドニュースを聞かれたこともあるでしょう。
3Dプリンター銃が正にそれです。
3Dプリンター銃が正にそれです。
「ディフェンス・ディストリビューテッド」は米国オースティンにある団体です。米連邦政府は、彼らが3Dプリンター銃の製造方法を公開することをいったん認めています。
この製造方法は、2018年8月1日にインターネットで公開されようとしていました。しかし米シアトル連邦地方裁判所は、公開前日7月31日に公開を差し止める命令を下しました。公開の差し止めを求めて、首都ワシントンとその他8州は訴訟を起こしていたのです。
この製造方法は、2018年8月1日にインターネットで公開されようとしていました。しかし米シアトル連邦地方裁判所は、公開前日7月31日に公開を差し止める命令を下しました。公開の差し止めを求めて、首都ワシントンとその他8州は訴訟を起こしていたのです。
3Dプリンター製銃はそもそも必要なのか、という議論は今も続いています。
3Dプリンター銃には製造番号が無いため追跡できないという側面も、物議を醸す要因となっています。しばしば「ゴースト銃」と呼ばれてしまう所以です。
また、金属探知機で探知できるのかという懸念もあります。1988年に制定された米連邦法「検知されない銃器法」は、空港、裁判所などで“金属探知機で検知できる十分な金属を含まない銃”を禁止しています。しかし同法は、金属部品を“取り外し不可”とはしていないため、ここが盲点となる可能性を秘めています。
金属探知機をすり抜ける銃が大量生産される世界を想像すると、恐ろしくなります。
3Dプリンター銃には製造番号が無いため追跡できないという側面も、物議を醸す要因となっています。しばしば「ゴースト銃」と呼ばれてしまう所以です。
また、金属探知機で探知できるのかという懸念もあります。1988年に制定された米連邦法「検知されない銃器法」は、空港、裁判所などで“金属探知機で検知できる十分な金属を含まない銃”を禁止しています。しかし同法は、金属部品を“取り外し不可”とはしていないため、ここが盲点となる可能性を秘めています。
金属探知機をすり抜ける銃が大量生産される世界を想像すると、恐ろしくなります。
出典:ニューズウィーク日本版
まとめ
3Dプリンターで銃が製造できるとは聞いていましたが、既にアメリカでは、司法によって製造法公開を阻むところにまで来ているのですね。
低コスト住宅の普及や宇宙開発費の削減などを実現する3Dプリンター技術は、一方では銃や兵器などの大量生産が可能。その扱いに、人間の英知が問われる問題になってきています。
低コスト住宅の普及や宇宙開発費の削減などを実現する3Dプリンター技術は、一方では銃や兵器などの大量生産が可能。その扱いに、人間の英知が問われる問題になってきています。