『魔女の宅急便』の著者・角野栄子に学ぶ 色鮮やかな人生とは

経済
いくつになっても、子ども心を忘れない、想像力豊かな暮らしをしていきたいものです。さらには、大好きな場所でやりがいのある仕事を生涯続けることができたら、どんなに素晴らしいことでしょう。

子どもから大人まで幅広くその作品が愛され続けている角野栄子著『『魔女の宅急便』が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日 いろいろ』 より、自分らしい人生を色鮮やかに生きていくための暮らしとおしゃれのコツをご紹介します。

海が見える街で楽しむ身の丈にあった生活

鎌倉文学館の庭から見る海は抜群よ。東京へは電車で一時間なのに、風がさわやかで気持ちのいいところです。人と人とが近いのもこの街の特徴ね。すぐに、笑顔と会話が生まれる。街と自然、人とお店とか、生きていくためのバランスがちょうどいい。鎌倉は生き心地がいいところだと思うわ。

<34ページより引用>

『魔女の宅急便』で有名な著者ですが、他にもたくさんの魅力的な児童書を手がけてきました。

そんな著者は、もともとは東京の下町育ち。戦時中を除いて、ずっと東京で暮らしてきたのだといいます。一時、自身の仕事場を山の中にしたときに、自分は山よりも海の方が向いていると感じたことから、2001年より海に近い鎌倉へと住まいを移します。

夕方に仕事を終えたら、ぶらぶらと鎌倉の街を散策。そのときには、ふと浮かんだことをメモしたり、いたずら書きをする手帳を持参するのだといいます。海の近くのベンチでゆったりと過ごしたり、砂の上を歩いたり……。80代の著者が健康で豊かな暮らしをしていることが伺えます。

そんな著者は、最近、食べることに関して大切にしていることがあるのだといいます。それは、季節にあったいい素材や調味料を使うということなのだとか。そして、ちゃんとした時間にちゃんと食べる。昔ながらの調味料は、いい素材を使うと、簡単な料理でもおいしくなるのだといいます。

鎌倉の街と海に囲まれた、身の丈にあう自然な生活。著者自身が創り出す物語の世界観と、実にマッチしています。

おしゃれのポイントは白髪とメガネ

髪が白くなるにつれて、自然と身につけるものが鮮やかな色になっていった。それまではおしゃれといえば、洋服が中心だったのに、一転カラフルなフレームのメガネに変わってしまった。中略
メガネによって同じ洋服でも印象がガラリと変わる。中心となるアイテムがあると、それによって服装が決まりやすく、迷いがなくていい。

<66・69ページより引用>

近年、ナチュラルなグレイヘアが流行っていますが、著者のトレードマークともいえるカラフルでポップなメガネは、白髪に映えるような印象を受けます。年齢を重ねていくことで楽しめる、おしゃれのお手本であるといえるでしょう。

そんな著者は、まず、その日にかけるメガネを決めてから、どんな洋服を着るのかを考えるのだといいます。洋服や好みの生地を探すときにも、まず考えるのは自分が持っているメガネのことなのだとか。

洋服が気に入っても、手持ちのメガネに合わないなと感じたときには、なくなく諦めるというのだからその美意識は徹底しています。洋服を選ぶときに迷いが出たとしても、メガネというアイテムがあることで、結論が出やすいようです。

自分らしい表現の軸があると、無駄なものをたくさん買わずにすむ上に、全体のトーンや気分を気軽に変えることができて、とても便利であるのだとか。

そして、洋服はワンピース。同じ型で色と柄を変えて差別化しているのだといいます。色鮮やかなメガネとアメ玉のような大ぶりのアクセサリーに、ポップなワンピース。

自分に似合うものを見つけて、色違い・柄違いで楽しむおしゃれは、その人らしさを表していく、よい方法であるといえそうです。

90分で学べる、定年後の不安を解消したい方必見!

魔法は誰でも持っている

著者が魔女についての本を読んだり調べたりするようになったのは、意外にも『魔女の宅急便』を書いた後なのだといいます。

主人公のキキが世にいう悪い魔女であったら悲しいから、もっと魔女を知りたいと思うようになったのだとか。

魔女を辿る旅をするうちに気づいたことは、「魔法は想像する力」であるということ。それは誰もが持っている力であると著者はいいます。

豊かな想像力は、いくつになってもその人自身を輝かせてくれることがわかるような一冊です。

タイトル:『魔女の宅急便』が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日 いろいろ
著者:角野栄子
発行:株式会社KADOKAWA
定価: 1598円(税込)