2019年12月9日 更新

【リバースプロジェクト龜石太夏匡】未来づくりとお金のジレンマを抱えて進む

社会的事業を多く手がけるリバースプロジェクトは、株式会社として利潤も追求します。そこに存在するジレンマとは? そして、同社代表である龜石太夏匡氏の波乱万丈な人生から導き出した「お金」とは?を問います。価値観が揺さぶられるインタビュー後半。

STAGE編集部:そうなんですね! 意外です。
龜石さん:立ち上げの時は、バブルが弾けた翌年だったんですよ。周りの友だちからも「洋服なんて売れないよ、絶対ムリだよ」と言われるから、兄貴に聞いたんですよ「なんで洋服屋なんてやるの?」と。兄の答えは「俺の欲しい服が日本にないよね」。この一言が痛快でした。
ただ、僕自身は映画を作りたいと、高校の時から脚本を書いていて。大学を卒業して就職する気もなくて、映画作りにそのまま入っていこうと思ってたので「ああ、じゃあやろう、一緒に。ただ、俺は映画を作ることが目標だよ」ということで始めたんです。
STAGE編集部:結果、事業は大成功したんですね。
龜石さん:次々にお店を立ち上げました。僕自身は店長だったので、スタッフを集めて、育てる。会社としては、店の出店ラッシュがおさまると、あとは卸業に移行、という時になって僕の仕事がなくなってったんです。スタッフも育っていきますし。20後半ぐらいの時、自分の人生をもう一回考えるタイミングがきました。
STAGE編集部:なぜ、そうなったんでしょうか。
龜石さん:僕は経営者でもないし、デザイナーでもない。「このままでいいのか?」と悩んだんですね。そのとき、出会ったのが伊勢谷だったんですよ。彼は芸大の学生で、遊びに来ていたんですね。彼は、映画監督になりたいという夢を持っていて。俺は脚本を書いてるんだよ、じゃあ、二人で映画を作ろうという流れで、映画作りに向かうことにして、僕は会社の権利を放棄して、辞めました。
本当に、1年ぐらいで一文無しになっちゃったんです。実家に帰って、ラブホテルで清掃員として働きながら映画作りをめざしていました。全くお金がなくて、でも自分のやりたいことを本気でやっている。

学生の質問に考えさせられた結果

マネラボ編集部:セレブのような暮らしから一転フリーターに。その方が豊かと感じましたか?
龜石さん:僕がある大学でお話をさせていただいた時に、質問で一番多かったのが、まさにそれなんですよ。「豊かな人生って何ですか?」っていう質問があったんです。
逆に「何だろう、豊かな人生って?」と学生に聞いたら、答えが二つに分かれて。
ひとつは、「お金が有り余るほどあることが、豊かだ」。
もうひとつは「精神的に満たされてることが、豊かだ」。
僕自身は、20代の時に、まあそれなりに裕福な暮らしをしていた。「豊かだったのか?」と言ったら、どうだろう。店を開きながら、ちょっと売上が下がると、「これ、来年は大丈夫なのかな?」と戦々恐々とする。ちっとも豊かじゃないんですよ。必死です。
じゃあ今度は30代で、お金はないけれども、自分がやりたいことに向かって必死になって、映画を作れたりして。「じゃあ、豊かなの?」と言ったら、やっぱり、ちっとも豊かだなんて感じていなかったんです。
その質問を受けた時に、「豊かな人生って何か?」と本当に考えたんですよ。僕の答えは何かというと、75なのか80なのか分からないですが……もう体が利かなくなって、ほとんど仕事もリタイヤして……。
 その時、自分が社会的地位がどれぐらいのもので、経済的にどれぐらい豊かになっているか分からないにしても、その時に、「自分の人生豊かだったのかな?」と、振り返って初めて感じることだと思ったんです。
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