「記念日反応」は自然なこと
ちなみに、命日は代表的ですが、故人の誕生日や思い出の日などの記念日前後に、遺族など故人と関わりの深かった人が、ひどく悲しくなったり、落ち込んだり、体調を崩してしまうことがあります。
これを「記念日反応」と言います。
決して特殊なことではなく、大切な人と死別したなら誰にでも起こりうる自然な反応です。
もしも身近に大切な人を亡くしたばかりの人がいたら、静かに見守っていただいたり、その人が話したいというのなら、ゆっくりお話を聞いてあげていただけたらと思います。
やっぱり収入と支出のバランスが大切
そんなわけで、私も落ち着かない日々に突入し、亡夫のことを鮮明に思い出すことが増えています。
中でも今は、ある事業の立ち上げを支援していることから数字と向き合うことが多く、流通ジャーナリストだった夫がよく話していた数字の話を思い出します。
人生100年時代とあちこちで言われ、超高齢社会を実感する人も多いのでしょう。
「老後にいくら必要か」など、老後への金銭的な不安を意識する人が増えている印象です。
会社経営も家庭経営(私たち夫婦は家庭を「経営する」という感覚でいました)も同じですが、大雑把に言って、経営のお金の面で大切なのは「(収入を)増やすこと」と「(支出を)減らすこと」を同時に目指し、バランスをとることだと理解しています。
無駄遣いをしたくないとばかりに、節約だけを目標にしたら、会社の場合は提供する商品やサービスに悪影響が出て、結果的に売り上げが下がる可能性が出てきてしまいますし、家庭の場合も人間関係が悪くなったり、時には健康を損ねたりして、余計な医療費がかかることにもなりかねません。
また、売り上げを伸ばすことだけを考えていたら(収入を増やそうと仕事だけにかまけていたら)、社員や家族の心がバラバラになってしまったり、休みが取れずに心身を病んでしまったりして、結局、事業そのものや家族が壊れたり、かえって支出が増えることも考えられます。
「安さには理由がある」
夫はよく「安さには理由がある」と言っていました。
○○円!という数字(金額)だけを見るのではなく、「なぜその金額なのか」という理由まで把握しなければ、結局は収入を減らしたり余計な出費になったりしてしまう、ということです。
そして今、関わる事業計画の数値目標を見ていると、そこからは経営者の「目指す事業のカタチ」が見えてきます。
もっと言えば、目指す事業を数字で表すとこうなった、という感じです。
家計においても、「なぜこの金額なのか」をよく見てみることが必要でしょう。
収入でも支出でも、目標金額を掲げることは大切です。
でも、どうやってお金を得る・何にお金を使うという意識を持って、取捨選択やバランスをとっていなければ、金額の多少だけに振り回されてしまいかねません。
結婚当初、お金の話ばかりされてうんざりしたこともありましたが、なんのことはない、夫はお金という公平な物差しを使って、私たち夫婦の生活をどうしようか共に考えたいんだとすぐに理解できました。
価値観の違う人同士でも、お金という公平な物差しを使えば「大切にしていること」が見えてくる……。
こうした「お金の使い方」は、夫から教えてもらった大切なことの一つだと思っています。