編集部:金融業界ってすごく忙しいイメージがありますが、そんな中、DJ業を続けて来られたとは……。パラレルキャリアを実現できたのはどうしてなのでしょう。
DJ Nobby:ラジオDJが自分にとって本当に好きなことだ、というのが一番です。ただ、20代後半で一つ、転機はありました。シティバンク時代に外国為替ディーラーをやっていた頃なんですが、朝早くから夜遅くまで、ワークライフバランスなんてものは皆無の状態で働く中、体調を大きく崩してしまったんです。この時、初めて「休むこと、バランスよく時間を配分すること」の意味に気付いて、そこから「定時の中でいかに効率よく働くか」ということを考えるようになりました。結果的にはこの時、痛みを伴って知ったことが、パラレルキャリアを実現していくことにつながったように思います。
生きがいであるDJ業と、本業の金融業がかけ合わされて…。
編集部:クロスしそうにもないDJ業と、金融業をかけあわせることになったのは、何がきっかけですか?
DJ Nobby:2018年、Voicyの社長である緒方さんに、渋谷のオフィスでお会いしたことがきっかけです。金融業界の最前線で働くサラリーマンとして、培ってきた経験や知識に誇りはありました。とは言え、これまでDJとして発信してきた内容といえば、音楽などエンターテイメント領域。多少の不安はありました。ただ、緒方社長の「やってみたらいいんじゃない?」という言葉に背中を押され、「金融経済×DJ」という新たなキャリアを歩むことを決意したんです。
編集部:Nobbyさんの番組『きのうの経済を毎朝5分で』では「経済エンターテイメント番組」っておっしゃってますもんね。最初に聴いた時、何それ?って思いましたよ。でも、難しい経済ニュースを、エンターテイメントのごとく、軽快に伝えられる様子に納得して、私も今やヘビーリスナーです(笑)。
一段上の「伝える×経済」のプロフェッショナルへ
そんなDJ Nobbyさんは、長年勤めた勤務先を卒業し、2021年9月、金融経済を伝えるプロフェッショナルとして独立。新たな一歩を踏み出しました。
編集部:独立を決意されたのはどうしてだったんですか?
DJ Nobby:いつか伝える仕事を自分の本業にしたい、という想いはずっと持っていました。決意できたのは、タイミング、でしょうか。VoicyをきっかけにDJとしてのキャリアに広がりも出てきつつありましたし、その一方で、本業の方も責任範囲が大きくなり、この二つのバランスをどう取るべきか悩むようになっていました。正直なところ、金融業界での転職も考えました。でも、過去の転職でお世話になったキャリアアドバイザーさんにまで、そろそろ独立するタイミングなんじゃない?と言われ(笑)。それで、チャレンジすることを決意したんです。
編集部:「好きなこと」と、サラリーマンとして培った「得意なこと」をかけあわせて、オリジナルなキャリアを歩むDJ Nobbyさん。今後の夢を聞かせてください。
DJ Nobby:「経済をわかりやすく伝えられる」ということを強みに、ラジオはもちろん、テレビなど様々な形で発信をしていきたいですね。お金のことって、すごく基本的なことでも知らない人が本当に多い。これは、一人前の社会人をやっている人にも当てはまります。世の中にあるお金にまつわるトラブルは、突き詰めていけば、知識不足に起因しているものがすごく多いですし、そういったトラブルを防ぐためにも、お金の基本を幅広い人に伝えていきたい。
もちろん、経済の面白さも伝えたいです。私の場合は、仕事を通して、個人向け金融商品→外国為替→先物→株式→保険という順番で知識を身につけていったんですが、もし自分が若い時に戻れるなら、株から学びたいですね。時間のある時に社会を映す株式投資を学べば、きっとその後の可能性も広がると思うんですよ。
あとは、自分のこれまでの経験を活かして、パラレルキャリアに挑戦したい人の支援もしたいですし、いつか書籍も出したい。チャレンジしたいことはいっぱいです。