富裕層の投資への考え方は3つ?資産を保全し利益分だけを使う

富裕層の投資に対する考え方には、一般層のそれとは異なる特徴が見られます。「資産を保全し、利益として増やした分だけを使う。」富裕層にとっては大前提の考え方です。投資して儲かった暁には、元本もろともドカンと使ってしまう、このような行動様式の富裕層は見かけません。

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2019.5.31

富裕層の投資についての考え方その1:運用益のみを使い元本は保全

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資産家クラスの富裕層の投資に対する考え方・スタンスには、ある程度共通点が見られます。投資対象は多岐にわたり、株式、債券、REIT、ヘッジファンド、貴金属、外貨、不動産など実に様々ですが、基本的な考え方は同じです。まず何よりも、本物の富裕層は、「資産は減らさず、投資した運用益を使う」ことを基本の考え方としています。例えて言うなら、「飲むのはコップから溢れた水だけにし、コップは常に水が満たされている状態をキープする、」という投資スタンスなのですね。
富裕層でも代々の資産家ほど資産保全の意識は強くなり、無駄な浪費を忌避して、投資の運用益だけを使おうとする傾向が強まるものです。運用益を再投資して、さらに複利での運用にすることも常ですが、この考え方にシッカリと合っていますね。まさに、「お金に働いてもらう」という、富裕層に顕著に見られるお金の増やし方の実践に他なりません。そもそも、資産家クラスの富裕層は、ハイリスク・ハイリターンでの資産運用は基本行わないものです。
ローリスク・ローリターンの投資対象に対して、投資金額を大きくすることで、長期的に安定して高額の運用益を確保する、という投資手法を採ることが保守的な富裕層の常です。ハイリスク・ハイリターンの投資対象に対して、乏しい投資資金を短期で回転させ、利益率を高めて一発逆転を狙う、というような一般層にしばしば見られる考え方を富裕層が採ることはあり得ないのですね。例えば、スカルピング、デイトレードなどの短期投資の手法を、資産家クラスの富裕層が使うことは自ずとない訳です。

富裕層の投資についての考え方その2:人脈を大切にする

富裕層の投資に関する考え方で、「お金がお金を呼ぶ、」というものもあります。利息が付いてお金が増えるという単純な意味のみならず、富裕層は富裕層同士での人脈を拡げれば、効果的なお金の増やし方についての情報が自ずと集まってくる、ということをも意味しています。富裕層ほど、「投資のチャンスも人間と共にやって来る、」ということを肌感覚で理解しています。彼らが有望な人脈のメンテナンスや、社交に一方ならぬエネルギーを割くことも理に適っているのです。
例えば、有望なベンチャービジネス・起業家とエンジェルとを結び付けるネットワークや、ハイパフォーマンスのヘッジファンドと投資家とを結び付けるネットワークなども実際に存在しています。それでも、周りに言われるままに投資することは、富裕層の投資に対する考え方としては御法度なのですね。資産家クラスの富裕層であれば、自ら納得感を得られる対象にのみ投資する考え方を持っていることが一般的です。
仮のお話、投資・資産運用をプライベートバンクや、ファミリーオフィスなどのプロフェッショナルに一任していたとしても、資産家クラスの富裕層が1社(1担当者)だけに丸投げすることは稀です。複数社に依頼し、四半期ごとなど定期的に各社のパフォーマンスを厳しくチェックしていることがほとんどです。例えば、「x期連続で利回りがn%を下回ったら契約を解除する、」などのように独自の判断基準をシッカリ持った上で、プロフェッショナルに投資・資産運用を依頼する富裕層が多くいるのですね。

富裕層の投資についての考え方その3:ポートフォリオ(分散投資)戦略を重視する

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富裕層の投資に対する考え方として、忘れてはならないものに、ポートフォリオ(分散投資)戦略を重視することも挙げられます。資産家クラスの富裕層ほど、仮にローリスク・ローリターンの投資対象であったとしても、資金の集中投下は避けるべきであることをよく理解しているものです。盤石の大手企業でも上場廃止や倒産のリスクがありますし、戦災や天変地異による社会・経済情勢の激変もあり得るのがご時世です。
従って、富裕層であれば、投資戦略はポートフォリオを重視し、リスク・リターンを効果的に分散する考え方をするものです。例えば、最近は日本の富裕層にも徐々に浸透しているヘッジファンドへの投資ですが、国内外の優良なものであれば、年間利回り10〜15%程度を確保しているものも珍しくありません。それでも、資産家クラスの富裕層であれば、資産の大半を特定のヘッジファンドへ投じるようなことはあり得ないのですね。
そもそものお話、ポートフォリオ戦略のメリットとは、リターンのボラティリティ(価格変動幅の比率)を低く抑えることにより、長期で安定した投資収益を確保しやすくすることに他なりません。これも先に触れた、ローリスク・ローリターンの投資対象に纏まった金額を投じ、長期で安定した運用益を確保する考え方に相通ずるものがありますね。加えて、資産家クラスの富裕層は、遊びで投資する資金と、メインの保守的な資産運用を行う資金とを峻別しているケースも多く見られます。
Kenneth S

Kenneth S

総合商社のIT戦略担当からIT系ベンチャー企業の経営補佐などを経て、現在は海外在住の個人投資業。時折、物書きもしている。
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