STAGE編集部:そしてもうひとつ夢を叶えるために大切なことが…
とにかく口に出すことです、言霊(ことだま)。これは結構、叶いますよ。僕はこれまで生きてきた中で、口に出して言ってきたことは全部叶っていますね。
経営者として、夫として――大切にしているお金の使い方とは?
STAGE編集部:かつて時給800円のアルバイトをしながら続けていたボクシング。自分の力で「食べていける」と感じるようになったのはいつ頃なのだろうか
長谷川:プロデビューから3年半の2003年頃ですかね。東洋太平洋タイトルマッチという、アジアチャンピオンを決める試合の話がたまたま来たんです。元々出る予定だった選手がバイクで事故をしてしまい、「ジム近いし、代わりにやる?」と。「やるやる!」と言って出たらチャンピオンになれたんですよ。その次の防衛戦からちょっとファイトマネーが上がりましたね。
STAGE編集部:世界チャンピオンになってからは、やはり世界がガラリと変わるのだろうか?
長谷川:ファイトマネーは一回勝つごとに数百万円ずつ上がっていきましたね。だからもうバイトで月給10万円だった人間が、いきなり300万とか700万とかもらうと勘違いしますよね? 最初は税金とかも分からないまま夫婦で時計買ったりして、翌年の納税額を知って驚きました。「よく野球選手がテレビで言ってたのってこれか~!」と(笑)今はそんなことしませんけど。
STAGE編集部:引退後はタイ料理の店の経営者に。お金に対するポリシーとは?
長谷川:ええかっこするわけじゃないですけど「人のために金を使う」。そして「ケチらない」。これはめっちゃ大事だと思います。僕もいろんな社長さんを見てきましたけど、自分だけガッサリ取って、社員にはちょっとという人もいるんですよ。「ああいう人にはなりたくないな」と常に思っています。お店で汗水垂らして働いているのは従業員ですから、たまに顔出して帰るだけの人間がオーナーだからと言ってガッサリお金を取るのは、おかしな話です。
働いている人間を一番大事にして、できる限り彼らに渡すようにすれば、彼らも頑張って返そうと思ってくれるんですよ。それを「お前はこれだけ、お前はこれだけ」と削っていたら、働く人間も不満しか残らなくて、絶対いい店にならないです。
ですから、社員研修という名目で皆を連れてタイ旅行に行ったりしていますね。
STAGE編集部:人にお金を使う。その精神は経営者になってから学んだことなのか?
長谷川:いいえ、もっと前から人を見て学びました。僕は若いうちにチャンピオンになったので、いろんな人が寄ってきたんです。中には自分を利用するために寄ってきた人も、そうじゃない人もいましたから見極めなければならなかった。最初は良いと思っても、付き合ってみてダメだと思った人もいて、その経験が今も反面教師になっています。
STAGE編集部:現役時代の支えになってくれた家族への思いというのは?