2018年2月1日 更新

〈西野亮廣〉前編・ウソをつくな、信用の面積を広げろ。常に新しいものを仕掛けるために

お笑いコンビ・キングコングのツッコミとして一世を風靡した西野亮廣。が、そこで見えた世界は思い描いていたものではなかった……。そして誰も思いもよらなかった絵本作家の道へ。周りに流されずに道を切り開き続けてきた西野だからこそわかる、好きなことをして生きるための方法論とは?

で、すぐに文房具屋さんに行って「一番細いペンください」と0.03ミリのボールペンを買って、物語は普通、絵本だったら大体17、8ページぐらいなんですけど、80ページぐらいにしちゃいました。つまり、時間がかかるように作り方をデザインしたということですね。どう頑張ったって、この作り方をしたら4年かかっちゃうというような作り方を選んだということです。そうすることで、センスとか才能とかそういうことでなく、物理的にプロが作ることができない作品。これで世界中のプロに、理論上勝った!と。そもそも競っていないから、理論上負けることはないんですけどね(笑)。で、「やった!」と思って。とりあえず「世界一の絵本作家」になったわけじゃないですか、まだ1冊も描いていないですけど(一同、笑)それでスタートしましたね。

■職業はいっぱいあった方がいい

STAGE編集部:一見すると専業の方が勝ち目がありそうに見えるんですけど、副業・兼業だからできることもあるということでしょうか?
そうですね。職業をいっぱい持つことって、おじちゃん世代からすると、あんまりよいように見られていないですよね。で、今は、いっぱい持っておいたほうが安全だよとか、リスクヘッジみたいなことを言うじゃないですか。でもそうじゃないなと。
僕、テレビ、超好きなんですよ。テレビは面白くていいじゃないですか。だけど一方で、どんどんテレビがおばちゃん化していっているのが、見ていて悲しいんです。僕みたいな者が偉そうですけど、何とかしたいなと。タレントさん全員がコメンテーターみたいになって、このままずっと井戸端会議みたいな番組ばかりになるのも嫌だなと思って。テレビに対してちゃんと意見を言おうと思ったときに、当然ですけど、テレビ以外のところで飯食えていないと、テレビに意見言えないなと。だから元々やっていたことを面白くする意味でも職業がいっぱいあったほうがよくないですか?
だから今、僕、テレビが嫌だったら帰るんですよ。ムカついたら帰るみたいな(一同、笑)。条件が合わないと出ないとか、そういうふうにしていかないと、これ自体面白くならないから。だから僕がテレビに全ウエートを乗せていたら、テレビが面白くなくなっていったときに意見が言えないですよね。だから安全とかそういうことではなくて、職業がいっぱいあったほうがいいですね。
STAGE編集部:守りのためではなく、攻めるためにも副業があるといいということですね?
はい、副業、いいです!今、僕、7つ8つ肩書きを持っていると思います。昨日もマネジャーに言ったんですけど「芸人やめて、バンドマンやる!」と(一同、笑)。

■「認知」ではなく「人気」

STAGE編集部:たくさん肩書きを持てば、お金のためにやらなきゃいけないというのもなくなってくるんですね。
そうです、そうです。テレビのタレントさんというのは広告ビジネスですよね。タレントさんの給料の出どころは、スポンサーさんの広告費。これが制作費になって、この一部がギャラとしていただける。だからタレントさんというのは、求めなきゃいけないのは、テレビが始まってから今までずっと好感度だったんです。好感度がとにかく大事なので、まずいご飯が出てきても、「これおいしい」と言わなきゃいけなかったんです。まずい飯ってあるんですよ。釣りたての魚を船の上で切ってくれたりするの、あれむっちゃ臭いんですよ(一同、笑)。でも僕、当時は「美味しい」って言っていたんです。スポンサーさんの手前、まずいとは言えなくて、好感度の高いタレントにならなきゃいけないんで「美味しい」って言っていたんです。
でも今はそれをやっていると、ウソはウソってばれる時代になっちゃったから、認知度は上がっても人気が下がっちゃうんです。それで不倫ひとつで活動を止められちゃうわけです。「認知」されていても「人気」がなければ、誰も助けてくれないんです。
それを一番強く感じたのは、『はねるのトびら』がゴールデンに上がった25歳の頃、いろんな番組の視聴率を足していったら毎週日本の40%ぐらいから見られていたんですよ。日本の半分近くが見ているってすごいじゃないですか。だけど芸人個人としての集客はガンガン落ちていったんですよ。認知度は上がっても人気が落ちていった。
ファンがいないと何が辛いかというと、仕掛けることができないんですよ。自分が「次あれやるぞ」と思ったときに、「西野何言っているかわからないけど、お前が言っているということは何かあるんだろうから応援するよ」というファンがいないと、圧倒的に新しいものを仕掛けることができない。
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