2019年2月26日 更新

生まれながらの弱々しさが起業に役立った。<高橋晋平・おもちゃクリエーター/株式会社ウサギ代表>

累計335万個以上売り上げた玩具「∞(むげん)プチプチ」の生みの親であり、現在は株式会社ウサギ代表・おもちゃクリエイターの高橋晋平さん。一般的な起業家のイメージとは少し違うかもしれません。人生を楽しく、おもしろく生きていくコツはあるのでしょうか?

アイデアは面白くても、お金を出して買う意味がなければ「商品」ではない

その時に、開発の仕事の基本であり重要な事に、入社4年目にしてなってようやく気付けたと思いました。おもちゃってまず面白いことが前提ですが、当前買ってもらわなければ意味がない。今で言ったら、ネットで騒がれたとしも、売れなければそれは「商品」ではないわけです。おもちゃはいかにお金を出して買う意味があるのかというのをちゃんと持たせないと、それは「商品」ではないということがやっと分かったんです。
僕は最初企画を出した時、面白いと思っていたけど、お客さんが買うか、買わないかは全然イメージできていなかったと思います。
プレゼンが通り、営業の人たちと話をしていくなかで、分かるようになってきた。おもちゃって、遊び方を体験してもらうためにサンプルを出すのが常識ですが、営業の戦略として、この商品はサンプルを一切出さないということになったんです。どんな感触なんだっていう期待感を煽らないといけないし、サンプルが壊れてて変な感触だったらアウトだし。買わないと押せない透明のケースに入れてぶら下げておくと興味を引いて、やってみたいから買ってもらえるという、購買導線を設計しました。
自分の考えたおもちゃを、価値に見合った金額で販売するという、ごく当たり前のことですが、お金を出して買ってもらえるって嬉しいし、商品ってそういうことだということが、この件でようやく分かりました。

健康が第一。自分にフィットした働き方を自分で作るための起業

STAGE編集部:独立起業したのは、やはり自信があったからですか?
自信でもなんでもなく。起業した理由はいくつかありますが、1つは体調不良でした。僕は幼少期から心臓も悪く、家系のせいかめちゃくちゃ痩せているし、体力がないんです。それでも頑張ってやってきたんですけど、前職のときに1度倒れたんです。復帰はできましたが、自分にフィットした働き方っていうのは自分で作らないといけないなって思うようになって。倒れた時は家族も悲しんでいたし、あらゆる意味で健康が第一だと身に染みて実感しました。
一方で大手おもちゃメーカーというのは、いっぱい売れるものを作らなきゃいけないじゃないですか。けれど当時から、僕がやりたいものはニッチな世界観に行ってしまっていて。
ヒットしているキャラクターコンテンツの商品で、そのファン向けに大きな商売をしなきゃいけないわけで。それを僕がやることについて悩み出したんです。このままキャラクタービジネスを学んでいくのか、もしくは、作りたいものをやってみるのかという二択と、もっと健康的な働き方、無理のない働き方がないのかというのがシンクロしてきて。
結論は自分がやれる働き方にしようと、後先考えず辞めちゃったんです。1度倒れた経験が大きかったので、体調が悪くもう1度倒れたらダメだと思っていた時期でもありました。
STAGE編集部:起業後のほうが、よりきつくなりませんでしたか?
その怖さはあったんですが、結果的にそうはなりませんでした。バンダイに約10年お世話になって、独立起業して今4年ですが。
新卒で大きい会社に入って、そこしか知らないで10年も経ってしまうと、辞めたら生活できなくなって死ぬんじゃないかっていう妄想が生まれていて、家族全員露頭に迷うって本気で思ってたんです(笑)。最初はそれ以上にしんどいから辞めたのですが。
仕事を辞めたあとで僕が成功したなと思っているのは、日雇いのようなことをやり始めたことです。辞めてすぐは仕事がなかったですけど、奥さんも心配していて家のローンも組んでるし、子どももいるし、真面目で勤勉な性格から「必死で働かないといけない!」って。知り合いが童話動画を作らないと言ったらその手伝いをやったり、文字起こしやお店の売り子などいろいろやって、2カ月くらい生活が成立したんです。この大都会東京にいたら仕事はいくらでもあるぞということが分かって、起業とはいえ、大それたことをしなければ絶対に死ぬことはない、起業とバイトはほぼ一緒だと(笑)僕の中では解釈したんです。
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