STAGE編集部:だから「わくわくワーク」なんですね。お金の要素は、遊んでいるうちになんとなく入ってくると。
お金チップも入っていて、自分が持っているお金とか、もらっていくお金でやりたい体験をしていくんですよ。例えば、僕は理系なので、リアルにプログラミング教室に行ってみたいとか、ロボット工作してみたいとかを選びがちなんですけど、絵を描くとかスポーツするとかもなんとなくやりたい気持ちがあって。いろいろやっていくと職業が選べるようになるんですよ。理系を選んでいくとプログラマーやお医者さんになったりしていくんですが、職業をズバリ言い当てるというより、自分の興味が分かってやりたいことが見えてくるという内容になっています。自分のやりたいことを選んで、それにお金を使っていくと自分が幸せになれる職業に就けて幸せ度が高まる。そうやってお金の使い方を考えようねというゲームです。
STAGE編集部:勝ち負けのゲームではないんですか?
ゲームのルールでは、ハピ(ゲームで幸せの単位)が高かった人が勝ちなんですけれど、その勝ち負けは一番重要なことじゃない。それで取扱説明書には「こんな会話をしてみましょう」「本当にやりたいと思った体験は何ですか?」「就いてみたいなと思った職業はありますか?」などを終わったあとに話し合ったら楽しいですよと書いてあるんです。そこが一番面白いところかなと思います。
ゲームの中で職業カードは1枚ずつしかなく、誰かがなった職業はその回は選べなくなっちゃうんです。なので、全員違う人生を行くわけなんです。また、選べる体験には純粋な「あそびカード」もあって、それを手に入れるとハピはすごく高いけど、職業選択にそんなに寄与しないというしかけもあります。遊ぶ人生でハピを高くとって勝つ人生もありってことで。これからの時代って職業という概念がなくなって、職業に就くということが古くなるかもしれないですよね。自分がやりたいように欲しい体験を集めていった結果、ハピが高くなったりして、そこから気づきがあればいいなと思っています。
目の前の楽しいことを選んでいけば、道は開ける!
STAGE編集部:ゲーム「わくわくワーク」からのメッセージは、好きなことややりたいことにお金を使うといいよ、ということ?
そうです。楽しくお金を使うということです。欲しいものや、やりたいことを選んでいくんですが、やりたいことってすごく難しいと思うんです。この間もうちの親戚が中学生の甥っ子に将来やりたいことを考えろ、って言ってて。でも、子どもにとってはとても難しい。僕自身も高校ぐらいまでなかったし、大学でも具体的な職業までなかったですよ。テレビゲームをしたいとかはありましたけど、人生でやりたいものなんて見つからないですよね。それでもあったら楽しいし、気づいて欲しいと思っているんです。個人的に目の前で楽しいことを選んでいけば道は開けるってメッセージを込めたかったんです。
僕自身、やりたいことがない、人前で喋れない、内気だというコンプレックスがあった中で、大学で自分を変えたくて落語研究部というお笑いサークルに入った。そこで人生にとっては笑いが一番大事だと考えるようになり、これが運命的な出来事になりました。工学部だったので、職業も電機メーカーに行こうと思っていたけれど、誰かを笑わるものづくりがしたいと思って、おもちゃメーカーを選んだんです。
やってみたいなと思ってやったら、人生変わるかもしれません。「わくわくワーク」のゲーム内容に例えると、ポイント高いとかカッコ良さそうだということだけで「音楽教室に行く」の体験カードをGETする、でいいんです。人生でも、ピンときたことをいろいろ体験して、分かればいいなと。
STAGE編集部:自然に体験できるから「学ばせる」と構えなくてもいいんですね。
僕にとって「おもちゃ」というのは割と広義で、遊びや笑いがあれば何でもおもちゃだと考えているんです。いろんな物事の遊び化をするという意味で「おもちゃクリエーター」と名乗っています。
「わくわくワーク」のように、職業診断ゲームを純粋に遊んでいたら、自然と何かを覚えていた、というようなのが好きなんです。民芸のゲームも、ただ白熱した対戦ゲームをしていたら、結果的に全国の民芸を覚えていたというような具合です。勉強ってそんなに好きじゃない人も多いじゃないですか。だからゲームを通して勉強できたらいいよねという話だけど、そこに勉強感があると絶対に子どもは選ばないし、続かない。だから、夢中にやってるうちに勝手に覚えたということをしないといけなくて。「わくわくワーク」ではそれを完璧な形にできたと思っています。