自分の力で考えなかったら投資は成功しない

「額歴」がぐんぐん上がる経済ホットレ
2019年がいよいよスタートしました。2018年の投資環境がたいへん厳しかったことから捲土重来を期している人も多いのではないかと思います。にもかかわらず年初から波乱含みです。荒れる相場を乗り切るための心構えをお伝えします。
2019.1.11

たった3日で年予想が外れる波乱のスタート

2019年1月3日の午前7時半すぎ。日本では正月の三が日で、ほとんどの金融関係者がくつろいでいたことでしょう。箱根駅伝の復路がスタートする30分前にフライング気味にドル円が急落がスタートしました。1ドルが108円台後半で推移していたドル円はたった1分程度で104.87円まで急落(約4%)しました。区間新記録です。
さて冗談はさておき、このフラッシュ・クラッシュは、この急落の数時間前(2日)に米アップルが発表した業績下方修正がきっかけだったとされています。2018年10~12月期の売上高の見通しが当初見通しから大きく引き下げられ、特に中国でのスマートフォンの販売が不振だったというヘッドラインニュースが嫌気されました。
この業績下方修正ニュースにより多くの投資家は「中国の景気が減速している証拠であり、その主な原因は米中貿易摩擦によるものだ」と確信し、3日の米国株式市場ではダウ平均は660ドル安と大幅下落。もちろんその影響を受けて大発会の日本の株式市場も大きく下落し年始の市場に暗い影を落としました。
しかし、4日の夜に雰囲気は急変します。その日発表された12月の米国雇用統計が予想を大きく大きく上回る好結果でポジティブサプライズになりました。非農業就業者数はなんと31万2千人。増加した職種の勇気を与えるものでヘルスケア、食品、建設、製造業、小売りと年末商戦の好調さを明らかに反映したものでした。加えて11月と10月の雇用も上方修正されるなど米国の雇用は絶好調そのものに見えます。
さらにポジティブな材料が加わります。同日、米経済学会年次総会でパウエル議長が今年はじめての発言を行い利上げを一時停止する可能性を示唆、また、米経済への下振れリスクに対応するため金融当局のバランスシート縮小プログラムに変更を加える可能性もあることも示唆したことが好感され米ダウ工業平均は急反発の746.94ドル高で終えました。

自分の力で考えていますか?

さあ、これだけ年始から激しく動くと2019年の見通しを立てるのも一苦労です。ということで、年末年始恒例の2019年の株価・為替予想を雑誌やテレビで読み漁った人も多いのではないでしょうか。私もみなさんと同じく毎年多くの情報を入手し年度見通しを予想しているタイプです。しかし、今年の市場予想を読んでいて私は違和感を覚えました。それは、予想がおおむね似通っているからです。例えば日本の株式市場の予想。大多数が1〜3月を底値、そして年央高、もしくは年末高というものです。しかもその理由説明がさらに似ています。
年央高派は、米中貿易戦争懸念で1〜3月までリスクオフになるもののそれ以降は中国が自国の景気減速に耐えきれずに米中は歩み寄り年央高になる。しかし、その後は日本での消費税導入、米国での減税効果の剥落により年末に向けてやや下げる展開。
年末高派は、米中貿易戦争懸念で1〜3月までリスクオフになるもののそれ以降は中国が景気減速に耐えきれずに米中は歩み寄りじり高。日本での消費税導入には事前に十分な景気対策が取られていること、また、米国での減税効果の剥落は、米国大統領選挙の前年ということで十分な経済対策が見込まれることから年末に向けてリスクオンになり年末は高値を狙う展開。
このような予想が多く感じられます。これだけ多くの似通った予想を読み続けると、「今年の相場は難しそうだから、無難に多数派に追随しよう」とか、「昨年あたっていた〇〇さんの予想を信じてみよう」などと、自分で考えて判断する意識が薄くなっていきます。自分が少数派であると錯覚し、周囲の考えに流されてしますからです。
このような時こそ、米国のウォーレン・バフェット氏が繰り返し言っている「自分の力で考えなかったら投資で成功はしない」という言葉を思い出してみました。2018年年末予想の多くは、ドル高円安、ダウ工業平均も日経平均は前年比プラスでした。しかし、結果としてそのほとんどは大きく外しています。やはり市場予想は人に頼るのではなく、自分で覚悟を持って判断することが大切です。
さらに、ほとんどのコメンテーターは投資家ではなくバイアスのかかった人たちであることを忘れてはいけません。投資家としての当事者意識をほとんど持ち合わせていない、コメントや推奨をすることにより利益を得る立場の人々です。
難しそうに言われている2019年の相場を乗り切るには、本当に意味のあるコメントを見極めつつ、一次情報を判断材料にし「自分の力で考える」ことが不可欠です。この意識を高めることで2019年が投資家として最高の経験を積めるまたとない1年になるかもしれません。

渋谷 豊

ファイナンシャルアカデミー総研代表 、ファイナンシャルアカデミー取締役

シティバンク、ソシエテ・ジェネラルのプライベートバンク部門で約13年に渡り富裕層向けサービスを経験し、独立系の資産運用会社で約2年間、資産運用業務に携わる。現在は、ファイナンシャルアカデミーで取締役を務める傍ら、富裕層向けサービスと海外勤務の経験などを活かした、グルーバル経済に関する分析・情報の発信や様々なコンサルティング・アドバイスを行っている。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
ファイナンシャルアカデミーグループ総研 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/

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