すっかり街はクリスマスモード。定番のクリスマスソング、クリスマスツリーで街は賑わい、サンタさんからのプレゼントで子供たちは笑顔、クリスマスは年齢問わず関わりの深いイベントです。
さて、40歳代の私にとってのクリスマスは、子どもたちのパーティーに便乗参加したり、またはクリスマスというネーミングでごまかされた忘年会に参加したりと、それなりに楽しんでいます。
ところでみなさん、パーティーで飲むワインを買い出しに行ったときや、お店でワインを注文するときに、最近よく見かけるワインの生産国はありませんか。フランス産、イタリア産と同じぐらい、ここ数年チリ産ワインを多く見かけるようになったのではないかと思います。チリ産ワインは、2013年にイタリア産ワインを超えて輸入量2位に躍進し、現在の輸入量は、フランス、チリ、イタリアの順番になっています。
では、チリ産ワインが、2005年からたった10年で5倍も輸入されるようになった背景を考えてみましょう。ワインの品質が向上したからでしょうか。いいえ、もともとチリ産ワインは、味に定評があり世界で広く愛されていましたので、この10年で劇的に美味しくなったことが理由ではありません。
答えは、2つあります。
1つ目は、チリのワイン生産は他国に比べ比較優位性を持つということです。「比較優位性を持つ」とは、マクロ経済の用語です。簡単に説明してみましょう。「各国が相対的に得意なものを生産すると失うものが少なく」、そのルールの下で世界各国が「得意なものを分担して別々のものを生産すること」で「国際分業」が進み、その結果、世界でより多くの消費が増えチリ産のワインが多く飲まれるようになったということです。
2つ目は、税金、つまり関税が安くなったということです。2007年に日本とチリの間でワインの関税を引き下げる合意(EPA)が締結されました。その結果、ワインに掛かる関税は15%から4.6%まで段階的に引き下げられ、販売価格がどんどん下がり、飲食店やワインショップでより手頃に楽しめるようになりました。
このように、国際貿易においては、「比較優位性」と「関税(貿易政策)」により、これだけ大きく勢力図が変わることを理解していただけたと思います。