ファーウェイの脅威とは

経済

ハイテク中国企業ファーウェイが、北朝鮮の3Gネットワーク構築・運営に技術支援していたというニュースが報じられました。財務責任者がバンクーバーで逮捕されてからアメリカの部品輸出規制リスト入りしたファーウェイは、Googleにサポートを停止されるなど孤立化の一途を辿っています。

2019.8.6

世界No.1といえるファーウェイの5G技術

高い技術を誇る中国ハイテク企業ファーウェイ(華為技術)は、ガジェット(デジタル機器)の他に「基地局」でもシェアが高く、基地局の世界シェアにおいてはエリクソン、ノキアとともに三強と呼ばれてきました。近年では実質的な世界1位に躍り出て、スマホでもサムスンに次いで世界2位についています。高い技術力を持ちながら、5Gの機器に関しては競合他社より3割も安い(日本経済新聞2018年12月14日)など、国際競争力は非常に高い企業です。
5Gとは、大容量、多接続、高速化、低遅延を特徴とする次世代型通信技術のことで、現行の4G を全てにおいて上回ります。ファーウェイは保有する5Gにおける高い技術を、自社製のガジェットや基地局に搭載しようとしています。
中国は2017年に国家情報法を制定し、国民に対して情報提供を求めることができる政府の権限を強化しました。このことからファーウェイ製品には、「情報収集のためのバックエンドがついている」、「アメリカの情報を抜き取ろうとしている」などの懸念がついてまわるようになりました。
もともとアメリカは、ファーウェイの基地局がアメリカ国内に普及すると国家安全上の問題が発生すると考え、ファーウェイを疑ってきました。民間企業でありながら中国政府や軍に繋がり、アメリカの情報の収集を請け負っているといった疑惑について、アメリカ議会は議論を繰り返してきました。

バンクーバーで孟晩舟(モウ・バンシュウ)を逮捕した背景とは

2018年12月、ファーウェイの財務責任者でありファーウェイ創業者の娘にあたる孟晩舟(モウ・バンシュウ)が、カナダのバンクーバーで逮捕されました。 逮捕の根拠となったのは、アメリカが経済制裁をおこなっているイランに対して、ファーウェイが”アメリカの技術”を使用している特定の機器を、違法に輸出しようとした疑惑があるというものです。アメリカ側は、2016年以前からこの疑惑を追い、捜査をおこなっていました。 この不正取引がアメリカにバレてしまった背景には、ファーウェイが取り引きに使ったイギリスの銀行のリークがあったといわれています。

孤立を極めるファーウェイ

ファーウェイのスマホは日本でも人気ですが、エンティティリスト(禁輸措置対象リスト)にファーウェイが掲載された後は世界各国でファーウェイ排除の連鎖が見られ、日本もそれに続きました。
2019年5月、GoogleがAndroidシステムの供給などのビジネスを一部停止すると報道されると、多くの企業がそれに続いたのです。インテル、クアルコムをはじめとしたメーカーはチップなどの部品の供給をストップし、マイクロソフトは自社のオンラインストアからファーウェイ製品を排除しました。
アメリカ政府がファーウェイをエンティティリストに追加したため、アメリカ企業はファーウェイとの貿易が禁じられました。日本政府は2018年12月、ファーウェイと中国国有企業ZTEの製品を、省庁や自衛隊の通信機器として使用しないことを決定しました。
ソフトバンクは、2019年春から整備を開始する5G機器の提携先と、現在使っている4G基地局を、ノキアとエリクソンのものに入れ替えていくことを決定しています。日本の3大キャリアau、ソフトバンク、NTTドコモは、同年5月に発売予定だったファーウェイ端末の新商品について、予約の中止や停止を発表しています。
同年6月には、Googleがアメリカ政府に対して、「ファーウェイへの取引規制は国家安全保障上のリスクになる可能性がある」と警告したというニュースや、インテルがファーウェイに対して部品の輸出を続けているといった報道があり、人々を驚かせました。
しかし更に驚かれたのは、同年6月のトランプ大統領の発言でした。トランプ大統領はG20大阪サミットでの習近平国家主席との会見で、ファーウェイへのアメリカ製品の供給を許可する方針であると発言したのです。まさかの方向転換に世界中が驚きましたが、大方の見解は、習近平国家主席がトランプに緩和を働きかけた結果ではないかというところです。
ファーウェイは、2019年7月時点では、未だエンティティリストに残ったままのようです。

まとめ

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情報を制する者は全てを制するといわれます。5G技術において圧倒的な力を持つファーウェイなら、インフラや公的機関を中心としてアメリカ国内にあっという間に普及する可能性が高いので、重大な安全保障の問題が起こる前に強硬策が取られたということです。時のアメリカ大統領がトランプなので余計強硬に見えるのですが、中国が通信技術大国No.1になったら様々な問題が生じることは、世界中が知っておいた方が良いでしょう。
しーな

しーな

システム開発業の夫を手伝いながら身に付けた知識で、2017年からIT業界を中心に扱いライティングをしています。3児の母です。IT業界や成功者に興味があります。
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