流される力(6)流されることは成長への近道

自分の「我」や「未熟なこだわり」を捨て、結果を出している人のアドバイスを素直に聞いてそのまま行動する、これが「流される力」=信託思考です。より多くの人に流されることで、速く成長し、人生の成功を手にできます。泉正人著「流される力」より抜粋。

2018.9.11

流されることは成長への近道

流される(思考信託をする)と、短期間で成長し、日標に最短距離でたどりつくことができます。

僕は8年前から不動産投資を行っています。
おもにビルやマンションを購入し、それを保有して入居者から賃料をいただくという投資手法です。
不動産投資をしてみたいと思った当時の僕は、出版されている100冊近い不動産投資関連の書籍をほぼすべて読み尽くし、半年近くの間、知識をたくわえることに専念しました。
ただ、知識だけは身につきましたが、実際の不動産に関しては素人で、まったく経験がありませんでした。
だから、手当たりしだいに物件を見てまわりました。2年もの間、相当な時間と労力を使い、数千件の物件情報を自分の目で確認し、300件以上の物件を自分の足で実際に見てまわりました。そして、何度も何度も収支シミュレーションを行い、やっとひとつの小さな物件を購入することができました。
それは、僕が300件以上見た中で、「どんな物件よりもすぐれている」と思って保有を決断した物件でした。
しかし、その後、10年近くの不動産投資の経験をもち、首都圏にビルを約40棟保有している不動産投資家の方に、この物件を見てもらう機会がありました。
その不動産投資家は星さんといい、拙著『人生が変わるお金の大事な話』(WAVE出版)にも登場する僕の不動産投資の先生です。
星さんは、自分の事業を展開するかたわら不動産投資を行い、いまも保有物件を増やしています。
僕が「いちばん良い」と確信して保有した物件は、星さんの保有物件と比べると、ROI (投下資本利益率)という

「自分の出したお金に対してどれくらいのリターンがあったかをあらわす数字」

が明らかに低いことを知りました。
自分自身で2年間学んできた知識をすべて使った末に保有した物件でしたが、ROIを高めていかないと、不動産から安定した収益を上げ続けることができないと、そのときに気づいたのです。
これをきっかけに、「ROIを高める」という星さんの投資方法を教えていただけることになりました。

独学で学ぶよりも聞いてしまったほうが早い

このとき、

「自分で2年間も勉強した知識があるのだから、僕のやり方が正しい」

という「我」に執着していたら、星さんのアドバイスを受け入れることはできなかったと思います。
星さんは、実際にゼロから不動産投資をはじめて、10年で数十棟ものビルやマンションを保有するという実績を残し、そのノウハウを惜しげもなく僕に対して教えてくれていました。だから、

「受け入れないという選択肢はない」

と感じたのです。
僕は、星さんのアドバイスどおりに、物件の選別から収支計算、さらには仕事のやり方までまねをしました。
その中には、自分がいままでやってきたやり方とは逆のこともありましたが、自分の考えを捨てて、すべて言われるとおりに行動していきました。
その結果、僕は数年で15棟のビルやマンションを保有することができたのです。
いまになって振り返ってみると、あのときの星さんのアドバイスは、僕が2年間、本や独学で学んできたこととは大きく異なるものでした。
僕と星さんとでは学んできた内容、そこに至る思考が違っていたので当然ですが、結果も大きく異なっていました。
2年間で小さなワンルームマンションの1室を保有しただけの僕。そして数十棟ものビルやマンションを保有し、安定した収益を得ている星さん。
本だけでかじった知識をもとに、あのまま自分のやり方で不動産投資を続けていたら、大きな失敗をしていたかもしれません。
だとしたら、いまの成果も得られなかったでしょうし、もし得られたとしても相当の遠まわりを強いられていたと思います。
僕はこの経験をとおして、

自分よりも専門的な知識や経験があり、先に実績を出している人の言うとおりに行動することが近道

だということを強く実感したのです。
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