生まれ育った沼津での暮らしを綴った11冊目の著書が発売
STAGE編集部:12月9日に新著『後藤さん、今日はどちらへ? 地元な暮らし』が発売されるそうですね。
はい、地元の沼津についての本です。地元が大好きで、でもその良さって、東京に6年間出ていて初めて気づいたこともあるんですよね。地元を出るまでは何も思わなかったけれど、例えば毎日帰ってきたときに見える富士山がきれいだとか。
特に観光についての本というわけではなくて、お店のことも少し書いてありますが、沼津の日常の魅力を紹介している本です。
STAGE編集部:誰もが引き込まれてしまうような心地よいライフスタイルが取り上げられた著作も11冊目となりました。
(自分は)こんな風だし、沼津だしいいのかな、と思います。それでも、格好つけるのはもう年齢的にも面倒くさいから、いつでもありのままを書いてもらうようにしています。きれいなことを書いてもらっても直してしまいます。周りの友達に、「何言っちゃってるの?」と笑われないようにしています。
前に、「『丁寧』な暮らし」というタイトルの企画をいただいたときは、「全然丁寧ではありません」って断ってしまいました。
心地よい暮らしと丁寧な暮らしは違うもの
STAGE編集部:後藤さんがいう心地よい暮らしと、「丁寧」だったり「きちんと」だったりという言葉で表現される暮らしは違うのですか。
丁寧というのは、全然違います。例えば掃除でも、猫がいるのでクイックルワイパーは毎日しますけど、掃除機はかけません。夫にかけてもらいます。あと、壁を一箇所だけ拭くとそこだけ白くなってしまい全部拭かなくちゃいけなくなるから、はなから拭かない(笑)。
大雑把なんです。ある雑誌でダイエットの企画に参加していて糖質制限しているんです。これまでご飯が進むような味付けだったんですが、今はご飯を少しだけ食べるので自然とおかずが薄味になってきました。家族にはその旨を特に言わず、しれっとおかずを出しています。文句がないようなので良しとしてます。
STAGE編集部:ポイントを押さえながら、ほどよく肩の力を抜かれているのですね。著書にはお子様たちのエピソードもよく見られますが、子育てのスタンスはどのような感じですか。
買ってでも苦労をしろと言っています。上の子は男の子ですが、悪い女の人に出会ったり、厳しい上司に出会ったりしても「のほほんと順調にいくよりも、壁にぶつかるとその都度いろいろ考えるからいいよ」と言っています。転んでも何かしら得るものはあるわよという考えです。
子どもを谷底に突き落とすライオンのようだとよく言われます。
お店をやっていても、お金は苦手
STAGE編集部:雑貨店を営まれ、気に入ったモノを大切にされるという後藤さんの、お金の使い所はどんなところでしょうか。
毎日のご飯は大切にしています。特別良いものを食べるとかそういうことではなくて、沼津はお魚が本当においしいので地元のものを食べるようにするとか。それからお金をかけるだけではなくて、ご飯を食べる時間も大切にしています。子ども2人が大学生になり、今でこそ4人揃って食卓を囲むことは毎日ではなくなりましたが、ご飯は家族で食べたいなと思い、子どもが幼いころは(お店が)15時閉店の時もありました。
あとは、交際費です。周りの皆さんには本当にお世話になっているし、誘われるうちが花だと思って交際費は惜しみません。
STAGE編集部:お金の使い方で、失敗談というのはありますか。
はい、若い頃いちいち流行りに乗って服をとっかえひっかえ買ったこと。あんまり履かないのにパンツを買ったり。そのときの服は、今フリマで売っています(笑)。153cmしかないのに、雑誌でモデルさんが来ているような服を買って、少しも似合わないということもありました。身の丈を知るってこういうことだなって思ったり。
それから、レコードですね。東京にいたころは毎週水曜日はレコード屋巡りの日と決めていて、働いていた表参道から渋谷までぷらぷら歩いて中古レコードを見て回りました。処分もしましたが、今も自宅には500枚近くあります。DJでもないのに(笑)。
STAGE編集部:家計を守りながら、商いもしている後藤さんにとって、お金とは何でしょうか。
お店をやっていますけど、お金は、苦手です。どんぶり勘定だし。やっている人はオリジナル(商品)を作ったり卸したりして、集客ももっときちんとやっていると思います。お店は次の2月で15年になりますし、本が出て来てくださる方は増えましたが、経営のことは今でも人に相談したいくらいです。
私にとってお金とは、よくわからないもの。これからよくわかっていきたいものですね。
「お金とは、よくわからないもの
これからわかりたいもの(後藤由紀子)」