最新データで知る予防医療!ホリエモンの「健康の結論」

カルチャー
巷には健康法を紹介する本がたくさん存在し、2018年も「睡眠」や「体操」をキーワードにした書籍の中から何冊もベストセラーが生まれました。いわゆる「健康オタク」の方々がそれだけ多く、流行を作り出しているのでしょう。
2019.1.12
そんな中、少し違う角度から書かれた本がホリエモンこと堀江貴文氏の著書『健康の結論』。これは「○○を食べれば健康にいい」「○○をすれば痩せる」といった健康法を紹介するのではなく、堀江氏自身が数年かけて医師に取材し、重要だと思った「防げる死を防ぐ」方法をシンプルに紹介したものです。
例えば「胃がんを引き起こす原因の99%はピロリ菌だと分かっている。だから、ピロリ菌の検査をして予防すべき。」というように、最新研究データに裏打ちされた事実のみを取り上げています。実に合理的な堀江氏らしい考え方ですね。
働き方に変化が起こり、定年という概念が消滅しつつある時代に「究極の資産は健康」と位置付けた堀江氏が出した「健康の結論」とは?それでは、本書の中身に迫りたいと思います。

「予防できるがん」で亡くなる人が多すぎる日本!

一般に、がんの大きな原因は生活習慣と思われていますが、日本人のがんの25%は細菌やウィルスによる感染症が原因だと言われています。例えば胃がんの場合は「ピロリ菌」による感染が原因の99%。しかもピロリ菌は除菌することができるので、若いうちから検査していればほとんど「死ぬはずのない病気」ともいえるのではないでしょうか。しかし、日本の医療現場では様々な理由から啓発の遅れが生じ、未だに大腸がんに次いで患者数が多いがんとなっています。
そして、毎年5万人が亡くなり現在の日本人にとって最も脅威となっている「大腸がん」ですが、これも実は早期発見しやすく、大腸がん予防の専門家の石川秀樹先生によれば、数あるがんの中でも「勝ち目のあるがん」なのだそうです。そして、大腸がんのほとんどはポリープからできるので、便から腸の出血の有無を調べる「便潜血検査」や「内視鏡検査」を早めに行うことを勧めています。

「脳卒中」は人生のクオリティを左右する!

日本の三大疾病のひとつである「脳卒中」。「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の総称で、かつては日本人の死亡原因の第一位でした。現在はその順位こそ下がりましたが、なんと脳卒中で治療を受ける人の数は1960年代にくらべて4~5倍に増加しているのだそうです。その主な原因は診断技術が向上したこと、そして後遺症が残ることが多く医療機関に何年も通う必要があることです。
そして驚いたのは、「寝たきり」の原因の約38%が脳卒中の後遺症によるものだという事実。たとえ命が助かったとしても、人生のクオリティが下がってしまうのは避けられない恐ろしい病気です。これを防ぐには、やはり早期発見が肝心。脳ドックを受けてその予兆を把握したうえで万が一、発症してしまったときの初期症状を知っておきましょう。今回はその一部を紹介します。
◎脳卒中の疑いがある初期症状
・頭痛…突然の激しい頭痛、おう吐をともなうこともある
・手足の異常…突然の半身の脱力、しびれ
・視野の異常…片目が見えない、視野が半分になる
・バランスの異常…うまく歩けない
・言葉の異常…ろれつがまわらない、言いたいことが言えない、書けない。

メンタル管理にも細心の注意を払う!

①「所属感の減弱」…居場所がない。自分は誰からも必要とされていないという孤立感。
②「負担感の知覚」…自分は迷惑をかけているばかりだ、自分がいない方が周りの人は幸せになれるという感覚。
③「自殺潜在能力(の低下)」…自殺行動への心理的な抵抗。「死ぬのは苦しそうだ」などと思いとどまる力が、暴力や自傷行為、アルコールや薬物への依存により弱まってしまう。
先進国の中で唯一、若者の自殺が交通事故死の数を上回る日本。4人に1人が自殺を考えたことがあるという統計も存在しますが、これも「知っていれば、防げる死」のひとつなのだそうです。というのも、人が死のハードルを乗り越えやすくなるには「3つの条件」があり…
この3条件が揃うと人は自殺行動に出る可能性が高まってしまうのだそうです。「この状況が辛いな」と感じたときや、「この人大丈夫だろうか?」と思ったときはこの3つのポイントのどれか一つでも取り除くように意識してみることが肝心です。その他、この章では「メンヘラとの正しい向かい方」など興味深い内容も紹介されていました。
本書では今回紹介したほかに「心臓」「性」「歯周病」にまつわる堀江流「健康の結論」が紹介され、落合陽一氏との対談形式で健康について話した内容も収録され盛りだくさんな印象を受けました。本書を読み、いかに自分が当たり前のことを当たり前に実行することが出来ていなかったのかを痛感しました。