2019年8月6日 更新

ビジネスでよく使う「短期」「中期」「長期」はどのくらいの期間?

ビジネスや経済メディアでよく見かける「短期」「中期」「長期」「中・長期」とは、何年ぐらいなのでしょうか? 実際には短期は1年以内、中期は3~5年がおおよその目安ですが、それには企業会計や経営計画に由来する理由があります。この期間の視点のバランスは、キャリア設計や資産形成に大いに役立ちます。

gettyimages (44116)

2019.8.6

短期の視点と中・長期の視点のバランス

gettyimages (44119)

新聞の経済記事や社説を読むと、「短期的には……だが、中・長期的には……だ」という言い方によくぶつかります。
たとえばある日本企業が海外の企業を買収した件をめぐる記事で「このM&Aは短期的にみれば財務内容を悪化させかねないが、中・長期的にみれば将来有望な成長分野への果敢な投資として評価できるだろう」というぐあいです。そこには、この買収はちょっと高くついているように見えるが、影響がすぐに現れてくる短期的なデメリットは横に置いておいて、戦略的な視点で「長い目で見よう」というニュアンスが含まれています。
そのように短期的な視点と中・長期的な視点を分けて考えるのは、ビジネスに限らずキャリア設計でも資産形成でも婚活でも子どもの教育でも何でも、大事なことです。目の前の損得ばかりにとらわれず、将来のことも考えた上で判断しなさい、ということです。
もちろんこれはケース・バイ・ケースです。たとえば数年後の独立・起業を考えている人は、短期的な視点だけを考えて「できるだけたくさん給料をくれて、起業資金が早く貯められる会社」を就職先に選んでも正解です。例を挙げればワタミ創業者の渡邉美樹氏は大卒の初任給が約13万円という時代に、激務でも月給を42万円くれる会社に入って1年間で300万円を貯め、1984年に24歳で居酒屋店舗のフランチャイズ権を買い取って独立・起業を果たしています。
とはいえ、たいていは「短期の視点」と「中・長期の視点」の両方に目配せしたようなバランスが大事であるとされています。ではその「短期」「中期」「長期」とは、どれぐらいの期間を指しているのでしょうか?

短期が「1年以内」なのは企業会計ルール

gettyimages (44123)

おおよそのメドは、「短期」は1年以内、「中期」は1年を超えて3~5年まで、長期は5年以上でたとえば10年、20年という期間です。起業前の渡邉美樹氏は月給を42万円くれる会社には定年まで(=長期)勤めるつもりも、3~5年(=中期)勤めるつもりもなく、がんばって300万円貯めて起業のメドがついたので、1年(=短期)でやめました。
「短期」が1年以内というのは、企業会計のルールに由来しています。企業の借金である「借入金」には、返済まで1年以内の「短期借入金」と、返済までの期間が1年を超える「長期借入金」の2種類があります。
「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」とともに重要な「会計三表」に数えられる「貸借対照表(バランスシート)」では、返済まで1年以内の短期借入金は「流動負債」、1年を超える長期借入金は「固定負債」に分けて計上することになっています。ただし、返済が進んで1年以内に返済が終わる予定の長期借入金は流動負債に計上します。
これを「1年基準」「ワン・イヤー・ルール(One year rule)」と言います。もともとは企業会計のルールですが、現在ではひろくビジネス全般にわたって「1年以内は短期」というのが共通の認識になっています。

「短期大学」の修業年限は2~3年、「短期アルバイト」の期間は数日~数週間程度ですが、ビジネスの世界で言う「短期」は、最長で1年以内と考えて差し支えありません。
26 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

日EUのEPAで“高級天然塩”の輸出入が活発化?食文化の交流に期待

日EUのEPAで“高級天然塩”の輸出入が活発化?食文化の交流に期待

今年2月、日本とEUの間のEPA協定が発効しました。ワインが安くなりましたが「天然塩」の関税も撤廃されました。岩塩、海水塩など欧州産高級天然塩の輸入が増えそうですが、海外で日本食が定着しているので、日本産の天然塩にも輸出拡大のチャンスです。
経済 |
米国ハイテク株の動向に注目

米国ハイテク株の動向に注目

サマーバケーションに入り世界の株価と為替相場が乱高下を繰り返しています。乱高下を繰り返しながら徐々に株安、ドル安に水準を切り下げる中、未だ強気派と弱気派の数は拮抗しているようにみえます。私達はどのように考えるべきなのでしょうか。
日本伝統の井戸掘り技術「上総掘り」がアフリカの水問題を救う

日本伝統の井戸掘り技術「上総掘り」がアフリカの水問題を救う

国連も問題視する途上国の「水」問題の解決は「井戸」の建設に託されています。日本の伝統の井戸掘り技術「上総掘り」は、機械を使わないので途上国向き。アジアで、アフリカで、上総掘りで掘った井戸が現地の人たちの生活や社会を変えようとしています。
経済 |
世界のファッション業界が「アフリカ」に向かっている理由

世界のファッション業界が「アフリカ」に向かっている理由

世界のファッション界で「アフリカ」の存在感が増し、富裕層向けラグジュアリー・ファッションでもアフリカンテイストが浸透しています。アフリカ発の優れたデザインもさることながら、ファッションの巨大市場に成長する可能性も、その背景にあります。
経済 |
今回の消費増税はタイミングが悪すぎる

今回の消費増税はタイミングが悪すぎる

私は「消費増税の時期は、その時の世界経済の状況や国内の所得環境によって決めるべきだ」という考えを持っています。そういった意味では、増税の景気に与える悪影響がいつも過大に喧伝されていることはおかしいと思っております。

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

STAGE編集部 STAGE編集部