2020年1月21日 更新

「金」が今、資産保有の手段として富裕層から見直されている理由

「金(ゴールド)」には、無国籍、無債務、希少価値、商品と通貨の二面性、無利息という特徴があります。無利息は本来はデメリットですが、マイナス金利の日本やヨーロッパでは、逆転してメリットになっています。

マイナス金利の向こうに悪性インフレを見る

マイナス金利のもとでは、長期保有したい資産は国債や預金から金に移したくなります。資産が金に流れ込むと、その価格が上がります。国際指標のロンドン金現物価格(1トロイオンス=31.1グラム/米ドル建て)は、日銀のマイナス金利政策が始まる前月の2016年1月平均は1,097ドルでしたが、2019年10月平均は1,494ドルで、ほぼ右肩上がりで36.2%上昇しました。特に2019年の5~9月の4カ月で1,283ドルから1,510ドルへ17.7%も上昇しています。その時期、ヨーロッパ経済を引っ張るドイツの長期金利が低下し、マイナス金利になりました。

とはいえ、それはマイナス金利からの一時的な逃避だけで説明できません。その背景にある政府、中央銀行の金融政策への不信感もあります。マイナス金利に至る量的緩和政策は国内経済へのマネーの供給量を増やすので、インフレの芽を育てているからです。それも資産が目減りして経済の混乱を招くような悪性インフレで、いつかはそれが来るという懸念がふくれあがります。

金を買う背景は、長期保有で資産を保全し、戦争やインフレのような経済の混乱のリスクに備える意図があります。富裕層は現在の「マイナス金利」の向こうに、経済が混乱して自らの資産がどんどん目減りする「悪性インフレ」という、もっと恐ろしいものをイメージして金を買っているのです。

寺尾淳(Jun Terao)

本名同じ。経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、現在は「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)などネットメディアを中心に経済・経営、株式投資等に関する執筆活動を続けている。
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