日本では起業して5年後に残る製造業の会社は半分以下の42%、10年後となると23%しかありません。改めて起業の厳しさを感じるデータですが、そこで著者は「ゼロイチ起業より、過酷な10年を生き抜いた23%の企業の“オーナー社長”になる」という提案をします。具体的には自分の知識や経験を活かせる中小企業を見つけて、個人でM&Aをして、経営を引き継ぐ…というものです。
そんな簡単にできるのか? と思う方もいるかもしれませんが、実は企業でサラリーマンとして働いている人は、知らず知らずのうちに中小企業の事業を引き継ぐ能力を身に付けている可能性が大いにあるのだそうです。
サラリーマンこそ小さな会社をM&Aすべき理由とは!?
大企業の仕事を「面白みがない」「成長しない」「やりがいがない」という人もいますが、実は大企業は競争の激しい業界を生き抜くため新しい経営システムを随時導入し、日々対応を迫られているサラリーマンは自覚のないうちにノウハウを学んでいると言えます。逆に、中小企業ではシステムの導入に経費が掛かるために断念していたり、そもそも検討すらしていない場合が多いのです。
つまり、自分が知らず知らずのうちに身に付けたサラリーマン時代の「あたりまえ」を中小企業に取り入れるだけで事業がうまく回り始め、会社の価値を高めることができるケースが非常に多いのだそうです。そして今、日本全体を見回せば370万社のうち7割もの企業が後継者探しに苦労し、中には黒字経営ができているにもかかわらず会社をたたむ決断をする社長も増えています。
そこで、そういった企業を相手に個人M&Aをして、自分のノウハウを活かしながら役員報酬も受けられる。もちろん、場合によっては成長した後で売るという判断もできるのは非常に魅力的です。昔はM&Aと言えば「ハゲタカ」のイメージがあり、会社を乗っ取る悪者のイメージでしたが、今や中小企業の事業を継承する担い手としての役割りも。
この他、M&Aに反対する社員と良好な関係を築くために、自分は専務として会社に入り社長とともに経営改革する方法や、そもそもM&Aするにふさわしい会社の探し方など、具体的な方法も様々紹介されていました。
最近、サラリーマンとして働きながら、そのメリットを活かして副業で成功をしている方の書籍も読みましたが、同じようにサラリーマンの長所を活かして人生を豊かにする作戦として個人M&Aは「アリ」なのではないでしょうか?少なくとも個人M&Aに対するネガティブなイメージは消え去りました。
『生き方』にこだわる経営の神様。稲盛和夫氏の名言を人生に役立てよう!
京セラの創業者で現在名誉会長を務める稲盛和夫氏による代表的な著書『生き方』。稲盛氏と言えば京セラ、KDDIを創業。会社更生法を申請するまでの経営不振に陥ったJALをドン底からわずか2年で営業利益2,000億円まで回復させた経営手腕はもはや伝説となっています。