富裕層はなぜ高級賃貸マンションに住むのか|気になる家賃や間取りは?

富裕層と言えば、高級住宅街に豪奢な一戸建てを建築して住まうのが、従来のステレオタイプ的イメージでしょうか。昨今の富裕層では、ビジネス面・プライベート面の利便性や、変化するライフスタイルへの対応に注目し、都心部の賃貸物件に住まうケースも少なくありません。

2019.10.3(2021.5.6更新)

富裕層には都心部の高級賃貸マンションが人気?

富裕層が賃貸物件に住まうことは、従来はイメージし難いものだったのかも知れません。
しかし、昨今の富裕層は、利便性を大切にしたり、ライフスタイルの変化に柔軟に対応したりする目的で、都心部の高級賃貸マンションに住まう選択をする方も少なくありません。富裕層向け高級賃貸マンションは、「レジデンス」や「サービス・アパートメント」などと呼ばれるケースが多くなっています。
例を挙げれば、住友不動産が手掛ける高級賃貸マンションの「ラ・トゥールシリーズ」などは、渋谷区・代官山や代々木上原、新宿新都心など都心部の一等地を中心に展開中です。外国語にも対応可能なマンション・コンェルジェが24時間365日常駐し、警備も手厚く、都心部に住まう富裕層のニーズにアピールしています。また、三井不動産が2007年に港区・六本木に誕生させた「東京ミッドタウン」には、3つの高級賃貸マンションが附属していますね。
「オークウッドプレミア東京ミッドタウン」や「ザ・パーク・レジデンシィズ・アット・ザ・リッツ・カールトン東京」、そして「東京ミッドタウン・レジデンシィズ」がそれです。いずれも、フィットネスジムの完備や、24時間対応のコンシェルジェサービスの提供などは大前提です。言わずもがな、2003年にオープンした「六本木ヒルズレジデンス」などは、富裕層向け高級賃貸マンションの老舗格と言っても良いでしょう。
この手の富裕層向け高級賃貸マンションの1カ月当たりの賃料は、100万~200万円程度が中心です。
敷金や前家賃、各種手数料などを加えた初期費用の総額は、1,000万円程度にもなることも珍しくありません。不動産投資用のワンルームマンションが、都心の一等地物件でも優に購入できてしまう金額ですね。

富裕層向けの都心部の高級賃貸マンションの部屋はどんな感じ?

富裕層向けの都心部の高級賃貸マンションであれば、専有面積200~300㎡あたりが一般的で、家具・家電付き物件も少なくありません。LDKは30~40畳程度、マスターベッドルームは20~30畳程度、子供用・来客用のベッドルームは10~15畳程度で2~3室、バスルームも2~3室、これにサービスルームやランドリールームが付く感じの物件が主流のようです。
日本人富裕層の他、欧米圏などから東京に赴任して来る、グローバル企業の幹部クラスの家族をターゲットにした物件も少なくないため、家族人数の割にベッドルームやバスルームの数が多く、日本では馴染みがないランドリールームなども用意される高級賃貸マンションが多くなっているのです。いずれも、天井が日本の一般層向けマンションよりも高く取られ、開放感がある空間となっているのが特徴です。
窓から見える景観にもコダワリを持って設計されているケースが多く、窓を開けて眼の前が隣のビルの壁、などと言う富裕層向け高級賃貸マンションはあり得ませんね。高級ホテルのスイートルームをイメージしていただくと、富裕層向け高級賃貸マンションの室内の雰囲気を掴みやすいでしょう。

富裕層が都心部の高級賃貸マンションを選択する理由とは?

富裕層が都心部の高級賃貸マンションに住む最大の理由は、何と言っても「職住接近」によるメリットです。毎日の通勤・通学に長時間を費やし、心身共に疲弊するのは、高いパフォーマンスを発揮するための妨げになることは明らかです。加えて、子弟の教育を考えても、都心部住まいの方が与える教育の選択肢の幅が明らかに広くなりますね。私学の中高一貫の名門校や、実績ある進学塾なども、都心部住まいの方が通いやすいケースが多いです。
富裕層・準富裕層に属すると思われる知己を眺めても、さすがに上で触れたクラスの高級賃貸マンション住まいはほとんど見かけませんが、港区や中央区、千代田区の賃貸マンション住まいはやはり多い印象です。通勤の所要時間は片道30分以内で、タクシー・ハイヤーの利用頻度も高い方が多いですね。その上、グローバル企業の幹部などであれば、国内外への頻繁な転勤は避けて通れません。
持ち家であっても、その都度賃貸物件として他人に貸し出し、自らは住めないことになります。そのため、持ち家にこだわる心理は、富裕層の方が一般層よりも遙かに低いケースも少なくありません。逆の見方をすれば、法人としての賃貸契約で、企業役員用の社宅として高級賃貸マンションに住まう富裕層も珍しくないということですね。
また、自宅で起業している富裕層であれば、高級賃貸マンションを事務所兼住宅として申告すれば、案分に応じて必要経費として処理することも可能です。都心部一等地の高級賃貸マンションが、自らの事業のオフィスも兼ねることになる訳です。実際、私の知人の何名かも、千代田区や港区、中央区内の高級賃貸マンションを、事務所兼自宅として利用しています。
Kenneth S

Kenneth S

総合商社のIT戦略担当からIT系ベンチャー企業の経営補佐などを経て、現在は海外在住の個人投資業。時折、物書きもしている。
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