富裕層向け専用サロンとは 銀行や百貨店のVIPしか使えない?

富裕層とは?富裕層になるには?
富裕層向けサロンと聞くと、銀行のVIP顧客用サロンを思い浮かべる方も多いでしょう。また、大手百貨店にも、外商サービスを使うような富裕層向けに専用サロンが用意されています。おぼろげながらイメージはできますが、具体的にどんな富裕層がこれらサロンを使っているのでしょうか。
2019.3.6

銀行の富裕層向けサロンに案内されるためには?

富裕層のサロンと聞くと、銀行のVIP顧客用サロンをイメージする方も少なくありません。各支店に部屋が用意されていますが、富裕層に属する顧客であれば無条件に専用サロンに案内されるのかというと、答えはNO(否)なのですね。法人ではなく個人の立場であれば、高額の投信などを複数回購入した実績のある方、高額の借り入れ実績のある方などが、各支店のVIP顧客用サロンに案内されているケースが多いです。プライベートバンキングサービスを使えるレベルの顧客と銀行サイドが認識していれば、ほぼ間違いなく専用サロンに案内されるでしょう。
ちなみに、富裕層向けサロンに案内される金額的な基準は各行でまちまちです。一般的に大手都市銀行や信託銀行ではハードルが高く、地方銀行や第二地方銀行であれば、1,000万円程度の利用でも専用サロンに案内されるケースがあるようですね。ただし、富裕層か否かを問わず、一定金額以上の預金がある顧客リストをどの銀行も作成しますので、専用サロンに通されるような顧客ならば、間違いなく新規投信などのセールス攻勢を毎回受けます。
昨今の銀行経営では、収益性の低い小口預金口座を減らしたくてたまらないのが実態です。とりわけ、大手都市銀行などはこの傾向が顕著です。反面、富裕層のような、銀行経営の立場から見て優良顧客となり得る対象であれば、必死に囲い込みを図ろうとします。顧客リストの作成も、専用サロンの設置も、その富裕層囲い込み戦略の一環に他ならないのですね。

百貨店の富裕層向けサロンに案内されるのはどんな人?

また、百貨店(デパート)のVIP顧客用サロンも存在しています。このようなサロンで接客してもらっている顧客は、相当な確率で富裕層だと言えそうです。百貨店が顧客を専用サロンに案内する基準として、年間1本(100万円)以上商品を購入してくれた実績があること、としているケースが多いとのお話もあります。専用サロンに通されれば、一般客と一緒に売り場で品定めをする必要はありません。
専用サロンでは、お茶や御菓子を供されつつ、専属のコンシェルジュに当日の希望や好みを伝えます。そうすると、コンシェルジュは購入する候補となり得る品を、何度でも持って来てくれるのですね。言わずもがな、専門的なファッションアドバイスなどもマンツーマンで受けることが可能です。なお、外商担当がお付き合いする顧客であれば、富裕層に属する場合も多いと考えられます。来店すれば、間違いなく専用サロンに案内されることでしょう。
ちなみに、かつて私の実家も某老舗百貨店の外商さんとお付き合いさせていただいていました。これは、母の個人的なツテでの繋がりでしたから、VIP顧客用サロンで対応してもらったなどの話は聞いた記憶がありません。外商さんが時折訪ねて来ていたとは言え、もちろん実家は富裕層などではありませんので。

東京だからこそ存在する富裕層向けの会員制サロンとは?

そして、日本の首都・東京だからこそ存在できる、富裕層向けの高級会員制サロンも存在しています。港区や千代田区あたりに多い印象があります。例えば、皇族方や各国大使・公使、大手企業の経営層、著名政治家などが会員の中心となる富裕層向けサロン、「アークヒルズクラブ」が港区赤坂のアーク森ビル・イーストウィング37Fに存在しています。富裕層向け高級サロンの草分けとも言える存在で、会員の一般募集はなく、会員になるためには理事1名と会員1名以上の推薦を得た上で、入会審査にパスすることが必要です。
入会が許可された暁には、入会金90万円を含む400万円(日本の平均年収程度!)を預け入れる必要があり、年会費も25万円と高額です。富裕層のステイタスを示す会員制サロンとしては、日本最上とされるのも頷けるお話ですね。同サロンのラウンジでは、メディアにもしばしば映し出されるような政界や財界の大立て者とされる皆さんが、和やかに談笑しているのが日常の光景だそうです。
さらに、成功した若手のIT起業家やクリエイターなどが会員に多い富裕層向けサロン、「六本木ヒルズクラブ」が同じく港区にある六本木ヒルズ・森タワー51Fに存在します。入会金126万円を含め176万円を入会時に預け入れる必要があり、年会費は20万円弱です。入会審査は当然ありますが、基準は前出の「アークヒルズクラブ」よりは低くなっています。サロン会員数は3,000名を数え、若手富裕層向けのイベント運営に注力していることが特徴です。ステイタス面では「アークヒルズクラブ」に及びませんが、富裕層向け会員制サロンの新しい在り方を提唱していることは注目に値しますね。

Kenneth S

総合商社のIT戦略担当からIT系ベンチャー企業の経営補佐などを経て、現在は海外在住の個人投資業。時折、物書きもしている。

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