いずれにしても、今回の分裂問題については様々な課題が表面化した。特に近年様々な企業でブロックチェーンの導入が進んでいる中で、「ブロック(情報)を蓄積し繋げていく」という考え方について、運用が長期間にわたっていく中で情報量の蓄積が膨大なものとなったとき、果たして運用に支障がないかどうか。社内システムのようにブロックチェーンでありながらもあくまで中央管理型で運営していればシステムの変更もたやすいが、外部に提供しているような分散型での運営の場合は今回のように意思決定の困難さが存在することがわかった。
今回の分裂騒ぎによって即座にブロックチェーンの仕組み自体が否定されるものではないが、現在のブロックチェーンブームともいえる状況については一石を投じたものであることは間違いない。
岸 泰裕
岸 泰裕金融工学MBA、大学非常勤講師
大学卒業後、Citiグループの日本における持株会社に勤務。在籍中に金融工学MBAを取得する。その後スタンダードチャータード銀行の東京支店に転職。現在は金融機関を退職し、明治大学、名古屋商科大学、龍谷大学や企業研修・セミナーなどで金融論等について各種講義を行っている。