2020年3月26日 更新

〈竹中平蔵〉ニューエコノミーを読み解く〜お金の教養フェスティバル2020講演 〜

2020年代は、全く新しいエコノミーになる、いわゆるニューエコノミーです。ニューエコノミーの重要な2つの観点について、竹中平蔵氏が語る。「第4次産業革命」という観点から一つ、もう一つは、サステナブルで、インクルーシブな経済社会を作るという観点からです。

2020.3.22
2020年1月ファイナンシャルアカデミー主催「お金の教養フェスティバル2020」での竹中平蔵氏の講演の一部を編集し記事化したものです。

第4時産業革命により生まれる新たな経済圏・経済活動「ニューエコノミー」

重要な点は、この平成の30年というのが、丸々デジタル化の時代であったということと、そして平成の最後の10年間にまたとんでもないことが起こってきたということです。このとんでもないことというのが、人工知能やビッグデータに代表される、第4次産業革命です。それを受けて2020年代が始まるという風に考えなければいけません。
家庭にインターネットが入ってきたのは、1995年でした。皆さんはWindows 95っていう言葉を覚えておられるでしょうか? あの瞬間が実は、家庭にインターネットが入ってきた瞬間です。1995年の流行語大賞を取ったのが「インターネット」という言葉だったんです。そこから、デジタル化というのは、まさに平成の時代にワーッと進んできたんですが。平成の最後の10年間に、第4次産業革命と言われるようなものすごいものが芽生え始めています。
第4次産業革命については、象徴的には人工知能ですよね。AI、Artificial intelligenceという意味で、人工知能そして、ロボットを組み合わせます。そして、全てのモノがインターネットでつながる、IoTという風に言います。モノのインターネットという風に言います。そして、ビッグデータです。そしてビッグデータを使った、シェアリングエコノミー。ライドシェアとかルームシェア(民泊)。そういうものが新しい産業として出てくる。人工知能、ロボット、IoT、ビッグデータ、そしてシェアリングエコノミーの出現。

そして、これと同じ時期にですね、いわゆるスマートフォンが作られていくわけですよね。
堀江貴文さんは、大変的確なことを言っておられます。「スマートフォンは、見事に国民を騙した」というのです。なぜ「騙したか」と言うと、これは電話だと思ってみんな買ったと。しかし、これは電話ではないんだ、これは小さなパソコンだ、と。つまり、少なくとも、デジタルなネットワークに入っていく入り口である。でも、デジタルなネットワークに入ろうと思って買ったわけではなくて、洒落た電話があると思ってみんな買った。しかしこれで情報交換すると、そこにビッグデータが貯まる、というわけです。

スマートフォンでモノを買うと、物事の購入のデータが貯まる。さらには、これで決済をすると、決済のデータが貯まる。どんどんどんどんビッグデータが貯まっていく。そしてそこに、データを与えることによって、どんどん自分で賢くなれる人工知能っていうのが絡んできた。
それが、今の第4次産業革命で、国家権力である出入国管理さえも、すでにAIによる顔認証で審査できています。実は、このようなことが重なると、本当に大きな社会の変化が起きます。そこで、ものすごく伸びていく企業と、今まで普通にやってきたけど、急に営業の基盤を一気になくしてしまう企業が、ものすごいどんでん返しのような形で起こってくる。その始まりが、2020年代の始まりが今だという風に考えなければいけないのだと思います。

例えば、Googleの株価は、10年弱で10倍になってるんですよね。そういう企業が、実はこれからもっともっと出てくる可能性があるということです。

2020年代は第4次産業革命の結果として、職業が消えてゆく

さあ、そういう観点から言うと、今、私たちはものすごいチャンスがあると同時に、非常に厳しい状況もあるかもしれません。

例えばですけども、マイケル・オズボーン(Michael Osborne)という人は、もう4~5年前に論文を書いて、これからビッグデータとロボットと人工知能にいろんなものが置き換えられていき、今ある職業の47%は、十数年の間に消えてなくなる。そういう予測を出しています。
その中には、人気のある職業もあります。銀行の貸付係がなくなるという項目もあります。全員なくなるわけではないんですが。銀行の貸付係というのは、財務諸表、例えば損益計算書とか、貸借対照表を見比べて、他社と比べて、それをデータを扱って、倒産確率を出して、いろんなことをして判断するわけですが。ビッグデータと人工知能があれば、別に人間が作業しなくてもいいですよね。最後の判断は、総合的な判断は人間が少しするとしても、確かに、今のような作業はもうしなくてもよいのかもしれません。

そういうことが現実に起こっていくし、マイケル・オズボーンによれば、公認会計士もほとんどいなくなる。最後にこれが適正に行われているかどうかという総合判断は、人間がするにしても、会計の細かいルールっていうのは、人工知能に覚えさせればいいし。そしてデータを当てはめれば、これは別にもう人間がやらなくてもいい。そういう社会が2020年代から始まろうとしている。

人間本来のクリエイティビティを発揮でき、経済成長するシナリオ

28 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

希少価値を上げると年収が◯倍にも跳ね上がる話

希少価値を上げると年収が◯倍にも跳ね上がる話

お金を稼ぎたい!自由な時間が欲しい!と口にする方は多くいますが、そのためにどんなチャレンジをしていますか?理想が現状でないのであれば何かを変える必要があります。今回は自身の理想に近づくために必要な希少価値を上げる考え方について3つのステップでお話しします。
ギグワークとは?時間もお金も自由になる|自分をコンテンツ化する働き方

ギグワークとは?時間もお金も自由になる|自分をコンテンツ化する働き方

不安定な世情の中で、現在の生き方を見つめ直す岐路に立っている人が多いのかもしれません。昨今、よく耳にするギグエコノミーというあり方に注目が集まっています。 長倉顕太著『GIG WORK』 より、元・編集者が語る人生100年時代の自分をコンテンツ化する働き方をご紹介します。
〈竹中平蔵〉令和日本の姿を数値で正しくとらえよう〜お金の教養フェスティバル2020講演〜

〈竹中平蔵〉令和日本の姿を数値で正しくとらえよう〜お金の教養フェスティバル2020講演〜

竹中平蔵氏が、平成から令和を振り返り、今私たちがどういう立ち位置にいて、これからどの方向に向かうのかという、中期の展望を語ります。2020年1月ファイナンシャルアカデミー主催「お金の教養フェスティバル2020」での竹中平蔵氏の講演の一部を編集し記事化したものです。
お金 |
落語家として活躍しながら何事も学び全力で取り組む《春風亭昇々》

落語家として活躍しながら何事も学び全力で取り組む《春風亭昇々》

落語ブームを牽引する若手落語家として幅広く活躍中の春風亭昇々さん。お金の教養フェスティバル2020では、特設した高座で、お金にまつわる古典落語である「壺算(つぼざん)」を披露しました。何事にも学びながら好奇心旺盛に全力で取り組む春風亭昇々さんの講演ダイジェストをお届けします。
お金 |
フリーランスに転身し8カ月で年収1,000万円を超えた話

フリーランスに転身し8カ月で年収1,000万円を超えた話

昨今では会社だけに留まらず複業(副業)を始めたり、フリーランスに転身する人々が増えている。そんな中、フリーランスに転身し8カ月目で年収1,000万円を超えた筆者の経験や気づきを発信していきます。

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

STAGE編集部 STAGE編集部
お金の教養講座
お金と投資のセミナー情報(無料)

お金の教養講座

おすすめ

お金の教養講座

⼤⼈として知っておきたいお⾦の知識。
⼈⽣そのものを充実させるためのお⾦の基礎講座

月5万円で資産1億円を目指すゴイチセミナー

1億円を作った人が実践してきた「資産運用のルール」を真似しよう


ファイナンシャルアカデミー公式SNS