2019年5月30日 更新

急増する日本の富裕層が保有する金融資産とは?資産運用こそカギ

急増する日本の富裕層ですが、保有する金融資産はどのようなものでしょうか。アベノミクス効果での株高もあり、昨今の富裕層数は130万世帯に近付き、米国、中国に次いで世界第3位となっています。ちなみに、純金融資産を1億円以上保有する世帯を富裕層と看做すことが、日本では一般的です。

・70代以上の金融資産の平均保有額は、2,565万円 
(内訳:預貯金1,555万円、生命保険350万円、株式258万円、投資信託138万円)
70代は60代とほぼ同水準です。
全世代にわたり、預貯金と生命保険とが金融資産の大半を占めることが、日本人が保有する金融資産の特徴です。
なお、日本の富裕層を資産運用という面から見てみると、現金と現金相当資産が45%弱、株式が30%弱、不動産が11%強、債券が10%弱、代替投資(外貨、ヘッジファンド、デリバティブなど)が5%弱などとなっています。富裕層か否かを問わず、日本人はキャッシュ信仰が強い国民性であることは確かなようです。

富裕層は運用で金融資産を一層増やす?

近年の富裕層世帯の増加は、アベノミクスでの株価上昇による保有金融資産額の上昇が主な原因です。加えて、企業の役員報酬の増額傾向も関係している可能性が高いのです。なぜなら、株価が好調なので株主から厳しい追及が行われず、高額の役員報酬を設定可能なケースが多いためですね。上場企業トップの報酬中央値は、現在では5,500万円程度と見られていますが、数年前までは4,000万円台前半とされていました。企業役員の報酬は、直近数年間で相当上昇したことは確かなようです。
このように、富裕層世帯の増加が保有金融資産額の上昇の結果であるとすれば、恩恵を受ける方と受けない方との間で格差が拡大している可能性は高くなります。実際問題、労働者の実質賃金はマイナスとなる年度も多く、給与所得のみを金融資産形成の原資としている方にとっては、アベノミクスの恩恵はほぼないと看做して良いでしょう。積極的な資産運用をする層としない層とで、保有する金融資産の金額に大きな乖離が生じる傾向は、日本のみならず世界的な傾向になっています。
格差拡大から自身や家族を守るためには、投資による資産運用が重要なカギを握ってきます。私自身の生業が現在は個人投資業ですが、誰にでも無条件に投資による資産運用を勧めるつもりはありません。個々人の生来の気質・性格により、投資には向き・不向きがあることは確かですし、素人が予め学ぶことなく手を出して、長期にわたり利益を確保できるほど甘いものでもないからですね。それでも、給与所得を銀行口座に置いておくだけでは、実質的に年々マイナスになってしまう、という不都合な真実には留意すべきでしょう。

Kenneth S

総合商社のIT戦略担当からIT系ベンチャー企業の経営補佐などを経て、現在は海外在住の個人投資業。時折、物書きもしている。
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