■服は3~4年買わなかったし、高いから日本米も食べなかった
STAGE編集部:ニューヨークでの生活について、2~3年なら節約すればいけるとはいっても、学校の授業料とか、個人レッスンの費用なども必要ですよね。経済的な面での不安はなかったですか?
それまでは働いていたから、インカムとエクスペンスのバランスがとれていたけど、まったくインカムがなくなるわけです。ですから、その不安はアメリカに渡った1日目からありましたね。
春学期の授業料は、秋学期の終わりに払うんですよ。次々に数百万単位のお金が出ていくんです。NYU(ニューヨーク大学)とかマスターズクラス、大学院に行ったら2,000万円くらいかかってしまう。とてもじゃないけど、もたない。
だから、とにかく今の段階で学んできたことを形にして自分のレーベルを立ち上げて発売しようと思って。東京のブルーノートに音源を送って、「凱旋ライブをするのであれば、そちらでやりたいから、ちょっとでも響くものがあったら連絡をください」って手紙を書いた。そこから始まったんです。
それまでは働いていたから、インカムとエクスペンスのバランスがとれていたけど、まったくインカムがなくなるわけです。ですから、その不安はアメリカに渡った1日目からありましたね。
春学期の授業料は、秋学期の終わりに払うんですよ。次々に数百万単位のお金が出ていくんです。NYU(ニューヨーク大学)とかマスターズクラス、大学院に行ったら2,000万円くらいかかってしまう。とてもじゃないけど、もたない。
だから、とにかく今の段階で学んできたことを形にして自分のレーベルを立ち上げて発売しようと思って。東京のブルーノートに音源を送って、「凱旋ライブをするのであれば、そちらでやりたいから、ちょっとでも響くものがあったら連絡をください」って手紙を書いた。そこから始まったんです。
STAGE編集部:実際に生活費の中でも節約をされていたんですか?
出費を1ドルでも減らそうと節約しましたね。ニュースクールの学食は高かったから食べませんでした。服は3~4年間買わなかったので、靴下に穴があきまくりでしたね。Tシャツもパンツも本当に布がなくなって破けるまで履いている。脇のところなんか、擦れて穴が開いてる。でも、適当に前に持っていたやつとかを組み合わせれば、案外オシャレなんですよ(笑)
最初はやっぱりバブルが身についているから、「何でわざわざサブウェイに乗らなきゃいけないんだ、タクシー乗ればいいじゃん」と、つい手を上げてタクシーを止めたくなる自分がいるんですよ。何で“時は金なり”なのに、夜中の大事な時間に20分もホームにいるんだって。
でも、ちょっと待った、ダメ、ダメダメダメダメって。その20分で「ダバダバダバディバディバ、ダババダバディバラーババラ、ダバレバラバリバラバ」って、ホームでずーっとジャズのリズムを練習したり、「ティヤーリヤ、ピヤリヤーワラバラリエラワラバティエラバ、パパッパビパッパーイテッィピラッティ」ってレッド・ガーランドの耳コピをしたり。それを延々、変な人みたいになってやっていました。
現実は貧しい学生なんだけども、発想は夢がある。陽転させて、今まで貧しかった自分の内面をひっくり返すという作業をやってましたね。
STAGE編集部:生活が夢でもあり、夢が生活でもある。素敵ですね。
食事もそう。日本米は食べずに、メキシコ米。で、水をたくさん入れて時間をかけて炊くと、ねちょっとした日本米みたいな感じになるになるんです。それに友達が日本から送ってくれる梅干をのせて食べていましたね。新鮮でしたね。どこまで自分ができるか。
ルームメイトのタイ人のテップと二人で節約してカレーを作って、僕がご飯を炊いたら、テップはタイ風カレーを作ります。でも、テップが文句を言うんです。「ご飯が日本風でネチャネチャし過ぎ」って。それであいつが炊くと、パサパサし過ぎ。いつもお前が炊くご飯は嫌だって言うわけ。それでお互いの部屋にプンって入っちゃう。
でもなんか心がチクチクチクチクチクチクチクってするんです。だから、しばらくすると、コンコンってテップの部屋のドアをノックして、「一緒に練習しよう」って、また仲良く練習する。やっぱり同期だから、一緒に上手くなりたいっていうのがあったのかもしれないですね。そんな、毎日が夢の日々でした。(後編へつづく)
出費を1ドルでも減らそうと節約しましたね。ニュースクールの学食は高かったから食べませんでした。服は3~4年間買わなかったので、靴下に穴があきまくりでしたね。Tシャツもパンツも本当に布がなくなって破けるまで履いている。脇のところなんか、擦れて穴が開いてる。でも、適当に前に持っていたやつとかを組み合わせれば、案外オシャレなんですよ(笑)
最初はやっぱりバブルが身についているから、「何でわざわざサブウェイに乗らなきゃいけないんだ、タクシー乗ればいいじゃん」と、つい手を上げてタクシーを止めたくなる自分がいるんですよ。何で“時は金なり”なのに、夜中の大事な時間に20分もホームにいるんだって。
でも、ちょっと待った、ダメ、ダメダメダメダメって。その20分で「ダバダバダバディバディバ、ダババダバディバラーババラ、ダバレバラバリバラバ」って、ホームでずーっとジャズのリズムを練習したり、「ティヤーリヤ、ピヤリヤーワラバラリエラワラバティエラバ、パパッパビパッパーイテッィピラッティ」ってレッド・ガーランドの耳コピをしたり。それを延々、変な人みたいになってやっていました。
現実は貧しい学生なんだけども、発想は夢がある。陽転させて、今まで貧しかった自分の内面をひっくり返すという作業をやってましたね。
STAGE編集部:生活が夢でもあり、夢が生活でもある。素敵ですね。
食事もそう。日本米は食べずに、メキシコ米。で、水をたくさん入れて時間をかけて炊くと、ねちょっとした日本米みたいな感じになるになるんです。それに友達が日本から送ってくれる梅干をのせて食べていましたね。新鮮でしたね。どこまで自分ができるか。
ルームメイトのタイ人のテップと二人で節約してカレーを作って、僕がご飯を炊いたら、テップはタイ風カレーを作ります。でも、テップが文句を言うんです。「ご飯が日本風でネチャネチャし過ぎ」って。それであいつが炊くと、パサパサし過ぎ。いつもお前が炊くご飯は嫌だって言うわけ。それでお互いの部屋にプンって入っちゃう。
でもなんか心がチクチクチクチクチクチクチクってするんです。だから、しばらくすると、コンコンってテップの部屋のドアをノックして、「一緒に練習しよう」って、また仲良く練習する。やっぱり同期だから、一緒に上手くなりたいっていうのがあったのかもしれないですね。そんな、毎日が夢の日々でした。(後編へつづく)
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