子供のためなら、仕方がないか……

お金がもっと欲しいと思って取った行動が、実は、お金を遠ざける結果になっているかもしれません。NG行動に気づき、 “発想"を少し切り替えることで「お金持ち体質」が手に入ります。泉正人の最新刊『お父さんのこづかいは減らすな』より特別編集編をお届けします。
2018.2.13

子供のためなら、仕方がないか……

 羽根さんは、夫婦と子供2人の4人家族。
 子供が2人とも小学校に上がり、習い事や塾にお金がかかるようになってきました。
「今月も赤字ギリギリか……」
 10年前に結婚した羽根さんの奥さんは、家計簿をつけながらため息をついています。
 奥さんは家計を切り詰めるために、これまでいろいろな策を講じてきました。
 普通車を軽自動車に買い換えて、自動車代を節約。
 スマホを格安スマホに替え、通信費を節約。
 化粧品もなるべくドラッグストアで安売りしている時に買い溜めしたり、ネットで無料サンプルを取り寄せたりしています。
 以前は月に2、3回行っていた外食も、月に1回までとルールを決めました。
 そこまで節約しても、増えていく支出に追いつかない状況です。
 夫の羽根さんの収入アップに期待したいところですが、今の会社の状況ではなかなか難しいようです。
 以前、羽根さんは、「もっと給料のいい会社に転職しようかな」と言っていましたが、奥さんは反対しました。30代も後半になって転職が成功するかどうかはわからないからです。
 奥さんにもパート収入はありますが、子供の習い事などを考えると、今よりも勤務時間を増やすのは難しい状況です。
「こうなったら……」
 奥さんは、羽根さんの毎月のおこづかいを減らすことを提案しました。今まで4万円だったのを、一気に2万円に減額しようというのです。
「そんなんじゃ、昼メシ代だけでおしまいじゃないか!」
 羽根さんは反論しましたが、
「お弁当を作ってあげるから」
 と交換条件を出されて、納得せざるを得ませんでした。
 おこづかい減額を受け入れ、「子供のためなら」とガマンして会社に通う日々です。

おこづかいを減らすと、貧乏になる?

この一家の大蔵大臣は、奥さんなんですね(古い言い方ですみません。今は財務大臣ですね……)。
 そして、この一家では現在、緊縮財政が行われているようです。
 しかし、奥さんが予算の配分を決めているのなら、配分先を少し間違えてしまっているようです。  国家会計も会社も、そして家計も基本は同じ。予算を決めて、それぞれ必要な部署に配分していきます。
 もし、羽根家が「ひとつの会社」だったら、と考えてみましょう。
 大蔵大臣である奥さんは、財務部です。
 子供たちは、社内ベンチャー制度のメンバーですね。未来は誰にもわかりませんが、大きく成長するための投資の時期と考えられます。
 そして、羽根さん、つまりお父さんは、羽根家の一番の稼ぎ頭の部署のリーダーです。会社でいえば、利益を一番上げるメインの事業部のリーダーです。
 国家の場合、配分先は各省庁ですが、各省庁にもそれぞれ思惑があり、昨年と同じか、もしくは昨年以上の予算をもらうことを目標に、財務省に対して働きかけます。
 会社の場合も同様で、それぞれの部署に思惑があり、予算をもらうことを考えます。  
しかし、すべての省庁(部署)に希望どおりの金額を配分していったら、あっという間に国家(会社)は、破綻してしまいます。
 ビジョンを持って、今後大きなリターンを期待できる分野やプロジェクトを持っている省庁(部署)に、大きく予算配分するのが財務省(財務部)の役割だと思います。
 ひるがえって、家計の考え方も同じと言えるのです。
 奥さんが予算配分する時に、基準にしたいのは、
「今後、利益が増えそうな部分はどこか?」
 という視点です。
 投資というものは必ず、先にお金を投じる段階があって、その後、利益に結びつくという流れがあります。
 投資をしないと、国家(会社)は成長しません。
 そして、その投資の原資は、目の前の収入から補う必要があります。国家なら税収から、会社なら利益から、となります。
 その目の前の収入をすべて貯め込むのではなく、その一部を投資に回すという判断が、成長には必要なのです。
 でも、すぐに利益に結びつくものだけに投資すればいいというわけではありません。
 国家の会計でも、すぐにお金を生まないという理由から、少子化対策や教育関連の予算を削ってしまっては、将来にわたって国のなかでお金が生まれない状況が続いてしまうことになります。
 すぐに効果は出ないけれど、将来のことを考えたら必ず投資しなければならないということで、緊縮財政が行われていたとしても、そのあたりの予算は削られずに予算配分されています。
 国家会計も家計も、そのようなバランス感覚が大切になります。
 家計の柱であり、目の前のリターンを期待できるのは言うまでもなく、お父さんです。
 一番期待できるお父さんにこそ、投資をするべきなのです。家計の収入を増やすためには、お父さんのおこづかいは減らしてはいけないのです。

泉 正人

ファイナンシャルアカデミーグループ代表 一般社団法人金融学習協会理事長

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。

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