伊勢谷が芸大出身ということもあり、クリエイターやアーティスト仲間が、たくさん周りにいたんです。その仲間たちと、我々のこの思いや価値観を継続的に実質的に発信する機能を持とう、と。スタートは表現者たちの集まりでした。
壮大なビジョンを掲げたスタートアップから
龜石さん:会社としてやっぱり理念というかビジョンを持つことが必要なので、これを言語化しよう、ということになり、
「人類が地球に生き残るためにはどうするべきか?」
となりました。非常に青臭くて、途方もない理念なんですけれども、これは、本質的なことだと思うんですね。誰からも否定をされることではない。これを言語化した伊勢谷は、やっぱり天才だなと思います。
その理念を掲げて、人間が、社会生活を営む上で、基本的な「衣食住」、まずはこれを可視化してプロジェクト化していこう、というような形からスタートしました。利潤を追求しないNGOなどの在り方も考えましたが、営む、ということを大切に考えて、株式会社としての形態を選びました。
はじめのプロジェクトは、廃材から家具を作るというようなところからです。それが10年前です。リーマン・ショックの直後で、かなり困難な船出でした。
STAGE編集部:潮目が変わったポイントはありますか?
龜石さん:伊勢谷が俳優として急成長していたこともあり、「俳優がやってる会社」と色眼鏡で見られがちでした。我々の活動に日が当たり始めたのは、皮肉にも、東日本大震災がきっかけです。被災地と真剣に向き合って、微力ですけれども支援活動をやらせていただいたことが、結果として、世の中にリバースプロジェクトの名前が出ることに繋がりました。それを起点として、企業との取り組みも増えていきました。
そして次の契機となったのがSDGs※です。世界が取り組むべき課題と我々のコンセプトが一致して、いま求められていると感じています。
ゼロからイチを作ってきた10年間
龜石さん:我々はちょうど10周年を迎えているんですが、今までは、ただただ思いとか、情熱だけで走ってきた10年だと思っています。
10年前リーマンショックの年に、「人類が地球に生き残る……」なんて青臭いことを言って、10年続けてこれた、というのが自分たちの唯一誇れるところでもあるんです。ブレずにやってこれた。