生活のためにイヤイヤ働く人がいなくなる「お金2.0」的世界

2018.5.4

はっきり言って、「お金2.0」は難しいです。
経済専門用語をできるだけ避け、一般人にも分かりやすく書いてあるそうですが、意味を検索しないと分からない箇所は多々ありました。
そこで私がお勧めしたいのは、Youtubeで佐藤航陽氏を検索し、彼の出演している動画を見ること。
「お金2.0」がベストセラーなった後に、彼がゲストで呼ばれている動画が多数あります。佐藤氏はそこで分かりやすく「お金2.0」を解説しています。
佐藤氏がゲスト出演している動画チャンネルを挙げてみます。

・ホリエモンチャンネル
・DMM亀山会長
・グロービス
・社長名鑑

堀江貴文氏やDMM亀山社長とのやりとりも面白いです。
ホリエモンチャンネルのコメント欄に
「（Youtubeでは）佐藤氏と互角で語れるのはホリエモンくらい」
とありましたが、言い得て妙です。

仮想通貨の盛り上がりと法定通貨の金余りを数年前に発信していたという堀江氏。
自らのイーサリアムマイニング体験、これからくる某SNSのIPOなど、「お金」に関しては一歩先輩といった堀江氏の語り口も軽快です。

株式公開や大企業にのみ資本が集まる時代は、過去のものになると語り合う両氏。
これからは、個人が経済圏を作れる時代になるという見解で一致しています。
堀江氏は佐藤氏設立の時間取引所「タイムバンク」を絶賛。
個人の価値を顕在化した業績を讃えています。

3人兄弟の母子家庭で育った佐藤氏。日々の生活をやりくりするのも大変だったのは明らかです。本書では、世帯年収が100万円だったこともあると赤裸々に明かしています。佐藤氏は、早い時期からアルバイトなどを始めて商才を磨いたそうですが、職種の中には意外なものもありました。

靴のデザイナー
ファッションデザイナー

デザインも出来るとは！と、マルチな才能に驚かされるばかりですが、経済的に苦労した佐藤氏の子供時代の夢は
「世の中を是正する仕事に就きたい」
というものでした。
小学校では警察官、
中学高校では弁護士になりたかったそうです。
しかし、早稲田大学1年の時、佐藤氏は弁護士への夢を断念します。
「お金がないのだから、経済の仕組みそのものを変えよう」
と方向をシフトしたのです。
その後、大学を中退して起業。東証マザーズに上場後は、海外選出を見越して拠点をシンガポールに構えます。
自社株440万株を保有する彼の資産は約145億といわれています。

「お金2.0」では、新しい経済の形が紹介されています。
例えば、

中国のシェアリングエコノミーの成功事例
中国のインフルエンサーの稼ぎっぷりの半端なさ

などを挙げています。中国のトップインフルエンサーは年収50億だといいますから、桁が違います。

シェアリングエコノミーやインフルエンサーがトレンドをつくる「評価経済」が盛況を見せる中国。佐藤氏によれば、中国の新しい経済圏の吸収の早さは
「日本やアメリカと違って、インフラが未整備」
であったことに起因したそうです。
さらにトークンエコノミーにも触れています。
カナダのSNSアプリ内で活用できる仮想通貨「Kik」を例として紹介。このトークンを介して、これから様々なサービスが市場に出る時代になるというのです。
もしあなたに豊かな商品価値があれば、トークンなどを介してあなた自身が経済圏を作り上げることができます。これを好機と見るかどうかは、その人次第だというわけです。

佐藤氏は、「ベーシックインカム」の時代が必ず来るという考えの持ち主です。近い将来、日本では衣食住に足りる程度のお金は国から支給されると予見しているのです。
ベーシックインカムは次のような素晴らしい効果をもたらすそうです。

・生活に事足りている層が偉大な発明や文化を生む
・生活のためにイヤイヤ働く人がいなくなる

ルネサンス時代は、事足りていた貴族が多くの発明をしたそうです。
全国民が衣食住を基本的に保証されれば、学術、テクノロジー、アートなどを加速度的に発展させる、というのが佐藤氏の考えなのです。

「お金2.0」の初歩的なブリーフィングをさせて頂きました。
お金があれば万能な時代は終わり、価値がある人が富む時代が来るのですね。
「持てる者はますます富み…」という聖書の一節が心に浮かびました。