現在、英国はEUからの離脱について2019年3月29日を期日として作業を進めています。11月下旬に開催されたEU臨時首脳会合で離脱協定合意がEU首脳により承認されました。残すところは、英下院と欧州議会での承認だけとなりました。が、しかし、現時点では(2018年12月17日現在)では、英国下院での承認を得るのは難しくこの承認を得ることなく来年3月の期日を迎える可能性が高まっています。そうなるといわゆる「合意なき離脱」になる可能性が高くなってきました。
では、この合意なき離脱となるとどんな問題があるのでしょうか。
以下のような様々な悪影響が懸念されています。
以下のような様々な悪影響が懸念されています。
1)最悪の場合ポンドの価値は25%急落し、GDPは8%縮小する恐れがある
2)住宅価格は3割近く下落する恐れ
3)商業不動産価格は48%下落する恐れ
(全てイングランド銀行によるブレグジット後の5年間を展望する最悪のシナリオ)
4)英国経済の2019、2020年の経済成長率について、EUとの合意を伴うブレグジットであればそれぞれ1.9%、1.6%と予想しているが、「合意なき離脱」の場合には、いずれも0.3%にとどまる
(英国国立経済社会研究所による)
2)住宅価格は3割近く下落する恐れ
3)商業不動産価格は48%下落する恐れ
(全てイングランド銀行によるブレグジット後の5年間を展望する最悪のシナリオ)
4)英国経済の2019、2020年の経済成長率について、EUとの合意を伴うブレグジットであればそれぞれ1.9%、1.6%と予想しているが、「合意なき離脱」の場合には、いずれも0.3%にとどまる
(英国国立経済社会研究所による)
これを受けて英国中央銀行のカーニー総裁は「リーマンショックより大きな衝撃が起こるだろう」とコメントしています。3月29日の期日をどのような形で迎えるか、大変注目されます。
安全保障問題は大事になることもあるので要注意
来年は国際情勢を中心に経済が回りそうです。
特にファーウェイ問題には注意が必要です。米中貿易問題より明らかにインパクトの大きな安全保障に関わる問題です。報道によるとファーウェイは中国政府と中国軍と連携をしているとされ、そのため、普通の民間企業ではなく、習近平中国国家主席にとっては世界戦略の一端を担う半官半民のような企業といわれています。そのため米国が孟副会長を半ば強引に逮捕したといわれており、米国にとってはファーウェイという会社は、安全保障を脅かす企業であるとの判断から今回の一連のながれになったとされています。加えて米国はファーウェイの通信機器を使用することで機密情報と大量のデータが盗まれると世界に向かって警告を発しています。
さて、真実は当事者にしか当然わかりません。そのためここではどちらが正しいということを述べる必要はありません。しかし、このような国家安全保障を切り口にした出来事は、歴史上大事になることが非常に多く、また経済へのインパクトも大きくなることから要注意だと考えています。この逮捕劇が今どのように進展し、結論を迎えるかはきちんと追いかける必要がありますし、これが落ち着くまで株価もなかなか安定しないと思われます。
さて、今回は3つのことを取り上げました。同じようなポイントは各紙紙面でも大きく取り上げられていることから特に目新しいものでありません。このように誰の目にも明らかな問題が多い年は、これらの問題が無事にソフトランディングした場合、その後経済や株価はひとまず安心し堅調に推移する傾向が強いです。しかし、それでも気をつけなければいけないのは、このような大問題に注目が集まっている最中に、新たな「問題の芽」がすくすくと育ち、いずれ大問題化し相場に大打撃を与えることです。例えば、大きな問題に隠れて、米国の住宅価格が下がる、住宅中古販売の数が下がる、失業率が徐々に上がる、社債価格が大きく下落する、学生ローンの延滞率が高くなる、など。来年のように大きな争点が目立つ年だからこそ、新たな「問題の芽」に対してアンテナを張ることが大事です。来年は相場が転換する1年になるかもしれないという引き締まった気持ちで新しい年をお迎えることがすごく大切だと思っています。
2018年ドル円相場の値幅が狭かった理由
2018年も残すところ1カ月となりましたが、為替市場では12月18−19日のFOMCの結果、及びFRBパウエル議長の記者会見に注目が集中しています。その2018年ですが、為替市場に関わる人にとって2018年は歴史的な一年として記憶されるかもしれません。それは、ドル円の変動幅が市場最狭になりそうだからです。
渋谷 豊
ファイナンシャルアカデミー総研代表 、ファイナンシャルアカデミー取締役
ファイナンシャルアカデミーグループ総研 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/