2018年12月18日 更新

忙しい人向け。注目すべき2019年の経済ポイント

年末になると多くの雑誌や新聞紙面を来年度の経済見通しで賑わってきます。本日は、忙しい人向けに最低限でも気にしてほしい2019年度にポイントとなるであろう経済指標をご紹介します。

現在、英国はEUからの離脱について2019年3月29日を期日として作業を進めています。11月下旬に開催されたEU臨時首脳会合で離脱協定合意がEU首脳により承認されました。残すところは、英下院と欧州議会での承認だけとなりました。が、しかし、現時点では(2018年12月17日現在)では、英国下院での承認を得るのは難しくこの承認を得ることなく来年3月の期日を迎える可能性が高まっています。そうなるといわゆる「合意なき離脱」になる可能性が高くなってきました。
では、この合意なき離脱となるとどんな問題があるのでしょうか。
以下のような様々な悪影響が懸念されています。
1)最悪の場合ポンドの価値は25%急落し、GDPは8%縮小する恐れがある
2)住宅価格は3割近く下落する恐れ
3)商業不動産価格は48%下落する恐れ
(全てイングランド銀行によるブレグジット後の5年間を展望する最悪のシナリオ)
4)英国経済の2019、2020年の経済成長率について、EUとの合意を伴うブレグジットであればそれぞれ1.9%、1.6%と予想しているが、「合意なき離脱」の場合には、いずれも0.3%にとどまる
(英国国立経済社会研究所による)
これを受けて英国中央銀行のカーニー総裁は「リーマンショックより大きな衝撃が起こるだろう」とコメントしています。3月29日の期日をどのような形で迎えるか、大変注目されます。

安全保障問題は大事になることもあるので要注意

来年は国際情勢を中心に経済が回りそうです。
特にファーウェイ問題には注意が必要です。米中貿易問題より明らかにインパクトの大きな安全保障に関わる問題です。報道によるとファーウェイは中国政府と中国軍と連携をしているとされ、そのため、普通の民間企業ではなく、習近平中国国家主席にとっては世界戦略の一端を担う半官半民のような企業といわれています。そのため米国が孟副会長を半ば強引に逮捕したといわれており、米国にとってはファーウェイという会社は、安全保障を脅かす企業であるとの判断から今回の一連のながれになったとされています。加えて米国はファーウェイの通信機器を使用することで機密情報と大量のデータが盗まれると世界に向かって警告を発しています。
さて、真実は当事者にしか当然わかりません。そのためここではどちらが正しいということを述べる必要はありません。しかし、このような国家安全保障を切り口にした出来事は、歴史上大事になることが非常に多く、また経済へのインパクトも大きくなることから要注意だと考えています。この逮捕劇が今どのように進展し、結論を迎えるかはきちんと追いかける必要がありますし、これが落ち着くまで株価もなかなか安定しないと思われます。
さて、今回は3つのことを取り上げました。同じようなポイントは各紙紙面でも大きく取り上げられていることから特に目新しいものでありません。このように誰の目にも明らかな問題が多い年は、これらの問題が無事にソフトランディングした場合、その後経済や株価はひとまず安心し堅調に推移する傾向が強いです。しかし、それでも気をつけなければいけないのは、このような大問題に注目が集まっている最中に、新たな「問題の芽」がすくすくと育ち、いずれ大問題化し相場に大打撃を与えることです。例えば、大きな問題に隠れて、米国の住宅価格が下がる、住宅中古販売の数が下がる、失業率が徐々に上がる、社債価格が大きく下落する、学生ローンの延滞率が高くなる、など。来年のように大きな争点が目立つ年だからこそ、新たな「問題の芽」に対してアンテナを張ることが大事です。来年は相場が転換する1年になるかもしれないという引き締まった気持ちで新しい年をお迎えることがすごく大切だと思っています。
27 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

11月11日は「電池の日」。10月9日、「リチウムイオン電池」開発の功績で吉野彰博士がノーベル化学賞を受賞しました。「全樹脂電池」「リチウム空気電池」「全固体電池」など次世代電池の開発競争もますます盛んで、最前線では日本人科学者も活躍しています。
経済 |
プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

断捨離した後の服の行方を考えたことがありますか。経済的な成長の裏にはほとんど犠牲が伴い、堅調な成長を見せるファストファッション市場もその一例です。しかし今、利益追求を優先しすぎたファストファッション業者のモラルと、消費者の良識が問われる時期がきたようです。
経済 |
欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

9月12日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発表した総合的な金融緩和策では、欧州の低成長と低インフレの長期化を阻止するのに不十分であると市場の評価は冷ややかです。いかなる金融政策を講じても経済回復に至らない「低成長」「低インフレ」「デフレスパイラル」という日本化が本当に欧州圏で進んでいるのでしょうか。
今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

最近では、トランプ大統領の中央銀行への圧力や世界的に広がる貿易戦争などのトピックスに対して反応が鈍くなっているように感じます。一方で、景気の弱さと企業業績の不透明感が徐々に台頭していることについてはニュースとしてあまり取り上げられてないので知られていません。
ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

マインドフルネスをはじめとした、ウェルネス(健康を維持、増進させようとする生活活動)に興味を持つ人が増えつつあります。ウェルネスツーリズム、アプリなど新たな商品が出回り、今やウェルネス産業の市場規模は4.2兆ドル以上。このブームの実態や背景、昨今のトレンドについて解説します。
経済 |

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

渋谷 豊 渋谷 豊
お金の教養講座
お金と投資のセミナー情報(無料)

お金の教養講座

おすすめ

お金の教養講座

⼤⼈として知っておきたいお⾦の知識。
⼈⽣そのものを充実させるためのお⾦の基礎講座

月5万円で資産1億円を目指すゴイチセミナー

1億円を作った人が実践してきた「資産運用のルール」を真似しよう


ファイナンシャルアカデミー公式SNS