2019.4.22
注目が高まるテレワークという働き方
「テレワークとは何か?」については、この後詳しく説明していきますが。パソコンやインターネットなどの情報通信技術を利用して、オフィスなどの定められた場所に縛られないで、離れた場所で仕事することです。
5ページより引用
マイクロソフト日本法人に16年間勤めた経歴を持つ著者ですが、その後、佐賀県庁の最高情報統括監の公募に応募し、5年もの間、県庁職員として地方勤務を経験しました。
その後、総務省のテレワークマネジャーの委嘱を受けたり、テレワークに関する講演や企業への導入支援をしたりと、幅広い形でテレワーク推進に向けて活躍しています。
今、オフィスに縛られない形であるテレワークという働き方に注目が高まっていて、導入を検討している企業や団体が増えていると著者はいいます。
2012年のロンドンオリンピックでは、ロンドン市内の混雑緩和のために、国からテレワークが推奨されたのだとか。そして、オリンピック終了後も、レガシーとしてロンドン社会に根付いたというテレワーク。日本においても、2017年から毎年7月24日をテレワークデイとして、国が都内企業にテレワークを勧めていいます。
来たる2020年東京オリンピックの開催期間における混雑緩和対策だけではなく、働き方改革という観点から見ても、テレワークは今、重要な働き方の一つであるといえるでしょう。
「地方」「企業」「働き手」三方に良いテレワーク
オフィスへ出勤せずに、自宅で仕事をする「在宅勤務」。外出先や交通機関の移動中に仕事を行う「モバイルワーク」。所属するオフィス以外に設けられた拠点で仕事をする「サテライトオフィス」勤務です。
36ページより引用
そもそもテレワークとは、「ICTを活用した、場所や時間に縛られない柔軟な働き方」であると著者は説明しています。
ICTのことを日本では「情報通信技術」と訳していますが、パソコンやモバイル端末などを使って、多くの情報や知識の収集・加工等を行う技術のことを指しています。
ICTをうまく使えば、本来勤務する場所から遠く離れた場所で仕事をすることが可能です。
場所と時間にとらわれない働き方が可能になるということが、テレワークの大きなメリット。たとえば、通勤時の電車の混雑や、自動車運転のストレスから解放されることができます。
場所と時間にとらわれない働き方が可能になるということが、テレワークの大きなメリット。たとえば、通勤時の電車の混雑や、自動車運転のストレスから解放されることができます。
ただし、在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務であっても、まったく職場に行かないという意味ではないといいます。現在は、普段は職場に出勤していて、必要に応じて自宅やサテライトオフィスで勤務するというケースが多いようです。
働き手側のメリットばかりが目立つテレワークですが、実は、企業や地方にも効果をもたらす仕組みであるのだとか。
地方という観点で見ると、労働人口減少への対応が可能。企業という観点で見ると、業務の生産性や時間効率の向上や、オフィスコストの削減が見込めます。
地方という観点で見ると、労働人口減少への対応が可能。企業という観点で見ると、業務の生産性や時間効率の向上や、オフィスコストの削減が見込めます。
テレワークが「地方」「企業」「働き手」の三方に対して、いかに効果的であるかがわかります。
テレワーク成功のカギは組織風土の整備
テレワーク導入を検討していきたいと考えているものの、「ハードルが高そう」「何から手をつけたらいいかわからない」などと考える企業が多いようです。
佐賀県庁での導入に携わった著者は、テレワーク導入の最初に行うこととして、3つのことを挙げています。
佐賀県庁での導入に携わった著者は、テレワーク導入の最初に行うこととして、3つのことを挙げています。
・テレワークを導入する目的の明確化
・テレワークを導入して求める効果のイメージ共有
・推進体制の確立
・テレワークを導入して求める効果のイメージ共有
・推進体制の確立
ICTやテレワークは、あくまで他の目的達成のための道具や手段であり、導入自体が目的になってはならないのだと著者はいいます。
テレワークを導入すれば、何でもうまくいくというわけではない。なぜ、導入するのか、どんな効果を目指すのかについて、最初に目的を明確にしておく必要がありそうです。
テレワークを導入すれば、何でもうまくいくというわけではない。なぜ、導入するのか、どんな効果を目指すのかについて、最初に目的を明確にしておく必要がありそうです。
その後の具体的なアクションとしては、「情報インフラの整備」「制度の整備」「組織風土の整備」が挙げられています。
テレワークの形態や運用方法などのインフラの整備と、テレワーク利用促進のための手続きの簡略化といった制度の整備は想像ができるところです。
テレワークの形態や運用方法などのインフラの整備と、テレワーク利用促進のための手続きの簡略化といった制度の整備は想像ができるところです。
しかし、意外とおろそかにしがちなのが組織風土の整備かもしれません。いくらインフラや制度を整えても、テレワークはなかなか進まないこともあるのだとか。
管理職の研修で意識改革を促すなど、組織全体でテレワーク導入を歓迎する雰囲気ができると、スムーズに浸透していくようです。
管理職の研修で意識改革を促すなど、組織全体でテレワーク導入を歓迎する雰囲気ができると、スムーズに浸透していくようです。
テレワークは、日本が抱える多くの問題に対する解決の糸口になるのかもしれません。積極的に情報収集しておきたいものです。
タイトル: あなたのいるところが仕事場になる
著者: 森本登志男
発行: 大和書房
定価: 1,836円(税込)