2017.3.13
今回の映画は本当に深〜い内容です。深過ぎで少し見終わった後に考えさせられます。でも、飽くなき探究心さえあればここまで真相に近づけるものなんだぁと感心します。
いやぁ〜、毎日、毎日これでもかと色々なニュースが流れてきます。暗殺、出家、解任、証人喚問などなど。どれもこれも深い内容過ぎてニュースだけでは、真相を知ることはなかなかできません。例えば私が知りたいことを挙げるとすれば、OPEC減産合意で本当に喜んでいるのはどの国なのか、ブレグジットでこれから本当に迷惑するのはどの国なのかなどでしょうか。また、国内に目を向けると、プレミアムフライデーで本当にいい思いをするのは誰なのか、なぜ日本では貧困層が増えているのか、日銀総裁が本当に目指しているものは何なのかなど、もっともっと知りたいことがたくさんあります。みなさんにも同じように知りたいことがたくさんあるのではないでしょうか。
今回は、このような「もっと知りたい」「もっとみんなに知ってほしい」という気持ちで制作された5つのドキュメンタリー映画を紹介したいと思います。今回の映画は本当に深〜い内容です。深過ぎで少し見終わった後に考えさせられます。でも、飽くなき探究心さえあればここまで真相に近づけるものなんだぁと感心します。
1. 4人の若者が旅先で経験した「想像を絶した世界」と、「芽生えた思い」
みなさん、毎日いくら使って生活していますか? 世界には1ドルで生活している人が、なんと11億人もいます。そんな全く想像もつかない1ドル生活をグアテマラの小さな村で56日間体験した4人の若者の実体験ドキュメンタリーです。
作品:「1ドルで生き抜く」(原題: 「LIVING ON ONE DOLLAR」)
主演:米国の一般的な4人の若者
制作:2013年(米国)
4人の若者がグアテマラに2ヵ月の旅に出ました。都会で育った彼らはめちゃくちゃテンション高めでグアテマラ入り。さて、滞在中に守るべき条件は「1日に使えるお金は一人1ドルのみ」、そしてその1ドルは「不定期でしかもらえないこと」のみ。実際に生活をスタートしてみたら、空腹、病気、不安定さなどであっという間に衰弱していきます。そして、自分たちの日頃の生活がいかに恵まれていたこということに気付かされます。そんな中で、このような新興国ではマイクロファイナンスの必要性と可能性に気が付きました。彼らは多分これらを世界に広げていくことでしょう。小さなチャレンジは大きな変化をもたらすことをひしひしと感じる秀逸なドキュメンタリー。是非、観てください。
2. 学生を食い物にしているアメリカの大学の実態
最近、トランプ大統領のニュースを見ていると、ハーバード卒、アイビーリーグ卒など聞く機会が増えました。米国は日本以上に学歴社会です。でもこの学歴が、学生のためではなく学校の営利目的でコントロールされているとしたら、「あなたはそこまでして大学に行きたいですか?」と思ってしまうドキュメンタリー映画。
作品:「学歴の値段〜集金マシーン化した米大学の真実」
主演:全米の色々な大学関係者
制作:2014年(米国)
これはひどい。と、つい思ってしまう映画です。アメリカの大学の授業料が高騰しているとは聞いていましたが、ここまでとは思いませんでした。この映画では、ルーズベルト大統領が作り上げた高等教育の均等化をレーガン大統領が大きく政策転換をしたこと、また、それをきっかけに授業料が高騰したこと、州立大学の中退率がすこぶる高いこと、全米の学資ローンの残高は1.1兆ドル(124兆円)を越え全米のカードローンを上回り、大学卒業時の借金は一人あたり平均2.5万ドルもあることなどが描かれています。でも、それだから生まれたこともあります。例えば、スタンフォード大学発の新たな学び方がこれからの未来図もつくるかもしれません。
3. リーマンショックの内幕を暴くドキュメントムービー
リーマンショックは金融機関の暴走で起こった惨劇だろうとだけ思っていたら大間違いだと分かる映画です。格付け会社、ローン会社、保険会社、投資銀行、政府、教育機関、司法などのすべての人が私利私欲で複雑に絡み合って……。
作品:「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」
主演:ポール・ボルガー、ルービニ教授、ジョージ・ソロス、エリオット・スピッツァーなど
制作:2010年(米国)
社会派ドキュメンタリーといえば、この映画。金融の専門用語が多く使われているので少し難しい内容ではありますが、ここまで各当事者が私利私欲をむき出しにして、事件を起こしていたとは……。だからこそ、私たちはこのマネーの反乱で世界を揺るがした大事件を、この映画を通じて知るべきなのです。バブルを作りだす人々の本性が垣間見れます。そしてこの映画を観終わった後には、投資の美味しい話を聞いても鵜呑みにしなくなっているはずです。
4.自分の身体で実験して「あまくない現実」を伝えるポップな実験ドキュメンタリー
少し重い映画が続きましたので少しポップで雰囲気の違うドキュメンタリー映画です。みなさん甘いものは好きですか。好きな人のほうが多いはずです。改めてショ糖(砂糖)のとり過ぎを認識させてくれる「全く甘くない映画」。
作品:「あまくない砂糖の話」
主演:デイモン・ガモー
制作:2015年(オーストラリア)
砂糖の摂取し過ぎの弊害を自分でテストする映画。ドキュメンタリーらしさより、伝えることを優先しているので作品は少しおふざけな感じはありますが、中身はちゃんとしています。主人公の住んでいるオーストラリアでは、砂糖の1日の平均摂取量はスプーンの40杯もあり、日本の倍です。あれっ、日本人も意外に摂取していると驚きました。砂糖を摂取する実験により感じられたのは「身体の変化」より「心の変化」なのだとか。癖になる砂糖の摂取量(「至福点」といわれるそうです)によって、私たちが有毒にされているという驚きの事実を知ることできます。健康に気をつけたくなりますよ。
5.保護主義が台頭する中でフェアトレードについて改めて考えさせられる映画
砂糖の後は、苦いコーヒーの話です。全世界で1日あたりに消費されるコーヒーは約20億杯といわれています。また、私たちが飲む1杯で約300円のコーヒー、この1杯でコーヒー農家の手にする金額はたったの約3円しかありません。これだけ消費されるコーヒーを生産しながら、生産者が貧困に悩むのはなぜ?
作品:「おいしいコーヒーの真実」
主演:タデッセ・メスケラ
制作:2006年(米国)
フェアトレードとは、新興国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、新興国の自立を促すものです。映画に出てくるエチオピアのコーヒー農家は貧困で、飢餓が広まっています。そのような貧困からの脱出を誰もが望んでいるなかで、親たちがコーヒーを少しでも高く売って「子供のために学校を設立したい」と皆で立ち上がるシーンは鳥肌モノです。貧困に屈しない凄みを感じることができる映画。
今回はドキュメンタリー映画を取り上げました。秀逸なドキュメンタリーは、真相を知ることができるだけではなく、その裏側にあるドラマを知ることもできます。是非、そのドラマを見て何かを感じ取ってほしいと思います。