そしてイタリアの給食第一位に輝いたのは、北イタリアのクレモナでした。栄養学者によれば、クレモナの給食は栄養バランスが完璧で穀類のバラエティが豊富、加工肉の使用がゼロ、そして豆類と野菜の量が多いというのがその理由でした。
高得点を獲得したクレモナ、実はその郊外の小さな町では、過去に給食をめぐるこんなお話がありました。
市長vs父兄 給食をめぐる紛争
人口1000人前後のクレモナ郊外の2つの町は、毎月の給食費150ユーロ(日本円で2万円弱)という高額にもかかわらず、それに見合わない給食の「質」に父兄が大反発していました。子供の健康を考慮し地産地消をモットーに、価格も大幅に抑えるために、40人ほどの父兄によって学校給食が運営されることになったのです。
この父兄の「反乱」に対して市長は激怒、父兄が組織した給食センターで作られる給食は「市立の学校内では提供してはならない」と通達したのです。負けじと父兄は教会に助力を要請、教会は子供たちに食堂を提供することになったのです。学校から教会の食堂までは、毎日スクールバスで子供たちが送迎される事態に。そのスクールバスの運転手も、父兄によってオーガナイズされています。
すべてはボランティアとして組織されているため、この動きに参加しない父兄の子どもは否応なしに昼食を自宅で摂らなくてはならなくなりました。
北イタリアの給食ポイントが高いのは、このように親たちの意識が高いことが関係しているかもしれません。
北イタリアの給食ポイントが高いのは、このように親たちの意識が高いことが関係しているかもしれません。
今日は「ビアンカ」でお願いします
「体調が悪い子供のためのメニュー」がある学校もあります。
子供のお腹の具合がイマイチ、という場合は親が連絡帳に「今日は“ビアンカ”でお願いします」と書きます。「ビアンカ」とは「白」のこと。
イタリア人はなぜか、「白」い食材は消化が良いと思っているようです。パスタにパルミジャーノチーズとオリーブオイルを絡めただけの「パスタ・ビアンカ」は病人用と考え、トマトソースやニンニク入りのパスタは体調が悪いときはさけるのです。「ビアンカ」のメニューは、これにハムとニンジン、そしてリンゴ。
いずれにしても、親から子供への干渉が大げさなイタリアらしいエピソードですね。
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