2019.12.6
防災関連の資格で最もポピュラーな「防災士」
9~10月、日本列島に台風15、19、21号が次々と襲来し、各地に風水害をもたらしました。10月31日には沖縄県の首里城正殿が火災で全焼しました。「首都直下地震」「南海トラフ地震」への危機感も高まるばかりです。
災害に備えて多くの企業が、災害発生時にいかにして重要業務を継続させ、生き延びるかという「BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)」を作成しています。行政任せにはしない危機管理の重要戦略で、ビジネスパーソンも防災と無縁ではありません。
災害大国、日本には防災関連の資格がいくつかあります。取得すれば新しい仕事に就ける、独立・開業できる、キャリアのステップを上がれるという性格のものではありませんが、災害に直面した時にどうすればいいか的確に判断できれば「何かあった時に頼りになる人」と良い評価がついたり、BCPの作成にあたって意見を求められるかもしれません。災害で被災して避難所に入ったり、災害復旧支援のボランティアに行く時にも身につけた知識が役に立ち、他の被災者から感謝されるかもしれません。防災関連の資格は勉強して取得して決して損はしないでしょう。
最もポピュラーなのが2003年からある「防災士」です。NPO法人の日本防災士機構が認定する民間資格ですが、全国の自治体が職員や消防団員、住民に取得を奨励していて、ステータスは高いと言えます。防災士の認証登録者は現在累計約18万人で、災害時にボランティアリーダーとして活躍しています。
防災士になるには日本防災士機構が認証した研修機関が実施する「防災士養成研修講座」を受講し、日本防災士機構が実施する「防災士資格取得試験」を受験して合格し、さらに全国の自治体や消防署、日本赤十字社などが主催する「救急救命講習」を受講する必要があります。トータルで費用は6万円ぐらいかかりますが、住民が取得する場合、費用の一部を補助してくれる自治体もあります。
年間100万人以上が受講する公的資格「救急救命講習」
防災士になるためには受講が必要な「救急救命講習」の修了証は、それ自体が各自治体の消防本部、消防局が認定する公的資格です。自治体や消防署、日本赤十字社などが実施し、教職員、保育士、介護職員、一般住民など年間100万人以上が受講・修了しています。
「救命入門コース(胸骨圧迫とAEDの使用法中心/90分)」「普通救命講習Ⅰ」(成人対象の心肺蘇生法、AEDを用いた除細動、気道異物除去、止血法など/3時間)、「普通救命講習Ⅱ」(より高度な救急救命措置/4時間)、「普通救命講習Ⅲ」(小児対象の救命処置と応急手当/3時間)、「上級救命講習」(普通救命講習+外傷救護、熱中症・やけどの対応、搬送法など/8時間)に分かれ、それぞれ人形を使った講習、実技試験、筆記試験があります。修了者が最も多いのは「普通救命講習Ⅰ」で、費用は自治体によって異なりますが、無料から高くても数千円程度です。
なお、神奈川県の川崎市や秦野市、神戸市などは救急救命講習修了者に「市民救命士」という独自の名称の資格を出しています。
なお、救急車に乗り込み出動する「救急救命士」は、救急救命士養成校に2年間通い、さらに消防士(救急隊員)に採用され実務につかないと取得できないプロの国家資格です。