2017年6月22日 更新

静かなる情熱で次なるSTAGEの扉を開ける、若きフレンチのカリスマ(岸田周三)

それは、喩えていうなら打ち上げ花火に似ているかもしれない。お客様が来店する何時間も前から丁寧に低温でローストされた素材は、口に運ばれるその瞬間に、最高に美味しい状態となって大輪の花を咲かせ、広がっていく。ミシュランの三ツ星を獲得し、国内外の食通を魅了し続けている「カンテサンス」のオーナーシェフ・岸田周三。“華麗な芸術美”とも称される打ち上げ花火が繊細かつ高度な職人技に支えられているように、岸田の生み出す芸術的な料理もまた、その一瞬のために全神経を集中させる、ひたむきな努力の結晶だ。静かだけれど、決して途絶えることのない情熱で、ひとつひとつ次なるSTAGEの扉を開けていく──そんな岸田の素顔に迫った。

子どもの頃から料理人を目指し、いつか自分の理想のお店を構えるということを今までずっと夢に見てきた。今、その夢を叶えた自分がここにいる。「夢が叶ったからこそ、ここから先はちょっと慎重にならなきゃいけない部分だな、と思いながらやってはいますね。瞬発的に頑張ることはできると思うんですけど、それを継続するのはすごく難しい。ちゃんと継続する。継続しながらも、ほんのちょっとかもしれないけど、常に成長している。そこらへんを今の目標にしようかなと思っています」。ただやっぱり大事なのは、今の仕事を疎かにしないということ。岸田はこの言葉にぐいと力を込めた。

冷静沈着で奢らないメンタリティー。この先、いくつ次なるSTAGEの扉を開けていったとしても、岸田の瞳に映っている景色は、よい意味で今と同じなのかもしれない。
お金とは、食材のようなもの。(岸田周三)
「カンテサンス」オーナーシェフ 岸田周三さん

「カンテサンス」オーナーシェフ 岸田周三さん

1974年愛知県生まれ。1993年、三重県志摩観光ホテル「ラ・メール」でフランス料理のキャリアをスタートさせ、1996年東京都渋谷区のレストラン「カーエム」へ。自らの店を持つ夢を抱き、2000年に渡仏。パリ16区の「アストランス」をはじめ、フランス各地の一ツ星から三ツ星までの数々のレストランで修業し、帰国後の2006年5月、白金台に「カンテサンス」をオープン。2007年11月、「ミシュランガイド東京 2008」で三ツ星を獲得。食通たちをうならせる独創的な料理で話題の若きカリスマである。
カンテサンス  http://www.quintessence.jp/
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