“ひと”にお金がついてくる時代をつくるSHOWROOM・前田裕二

“自分”がサービスコンテンツの仮想ライブ空間「SHOWROOM」。 「お金の民主化」でマネタイズの多様化が進む中、SHOWROOMは「お金は労働の対価ではなくなる」「これからは“ひと”でお金を稼ぐ時代」これらをカタチにしているサービスといえます。SHOWROOMと社長・前田裕二にスポットを当ててみます。

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2018.5.2

仮想ライブ空間「SHOWROOM」と社長前田裕二とは

仮想ライブ空間「SHOWROOM」。
あなたはご覧になったことはありますか? 無料で利用できるこのライブストリーミングサービス。「演者」と呼ばれるパフォーマーは、アイドルだったり、芸人だったり。
Youtubeと違う点を挙げてみると、このような感じです。
・ライブは生配信
・観客はアバターとしてギャラリーに投影される
・観客は演者とコメントを交わせたり、演者にギフトを送れる
Youtube、アメーバピグとニコニコ動画のいいところを持ち合わせ、そこに「ギフティング」という課金アイテムが加わった感じでしょうか。
SHOWROOMでは既に、月に週百万円の収益を上げる演者たちがいるというのです!
前田氏のコメントによく登場するSHOWROOMアイドルの一人「ちずる」さん。40代後半の彼女は、若かりし頃おニャン子クラブのオーディションに落ちた女性。しかし「SHOWROOM」に出会って、昔の夢を花咲かせました。彼女自身、SHOWROOMでの収益だけで充分生きて行けるそうです。
SHOWROOMのファウンダーはどんな人物なのかを調べると、若干30歳のミュージシャン風ハンサム。早稲田大学を卒業後、外資金融であるUBS証券(スイスユニオン銀行グループ日本法人)に入社。一年後ニューヨークに赴任するが、ここでもトップ営業マンになります。北米の機関投資家を相手にエクイティセールスを行ってきた前田氏の英語力は、帰国子女以上だと言います。
高い能力と勤勉さ、ガッツを持ち合わせた人物なのは確か。しかし、彼の来歴を調べていくと、華やかな経歴からは想像できない苦労人の貌(かお)が浮かび上がるのです。

「君さぁ、結構苦労してきたでしょ?」

前田氏の成功にDeNA社長・南波智子氏ありといっても過言ではないでしょう。
前田氏は「南波氏が5年かけて口説き落とした男」とも呼ばれています。
南波氏はDeNAの採用試験最終面接で彼に初めて出会った時から、ずっと目にかけてきました。
最終面接で
「君さぁ、結構苦労してきたでしょ?」
と南波氏に言わしめた前田氏の半生は壮絶なものでした。
8歳でご両親を亡くした前田氏。親のない子になった二人はやがて親戚の家に引き取られます。しかし行き場所が決まるまでの数か月間は、兄と二人で警察署に寝泊まりさせてもらったというから驚きです。前田氏には10歳年上の兄がいました。この方は医者の夢を諦め、職に就き弟を養います。彼が最高の恩返しをしたいと語る恩人です。
前田氏は、親戚に厄介になる生活を送りながら早くも経済的自立を望みました。当時小学生だった彼は、コンビニにバイトの申し込みに行きますが当然門前払い。結局彼は、小学生ストリートミュージシャンの道を選びます。道行く人からギターケースに投げ銭を入れてもらっていました。貰い物のストリートミュージシャン時代のギターは、今でもSHOWROOMの社長室に飾ってあります。
音楽にのめり込んだ彼は、当時の流行歌や昭和歌謡曲などを、リクエストにも答えながら路上で歌う日々を過ごしました。
これが彼の初めてのビジネスであり、路上ライブの体験は「SHOWROOM」ローンチに多くの気づきを与えました。
前述のように、前田氏はDeNAの採用面接を受けています。最終的に彼が就職先に選んだのはUBS証券でしたが、南波社長はその後もちょくちょく短いメールを前田氏に送り続けました。
ニューヨークでトップの営業マンに上りつめた後、前田氏は日本にいる大切な人物の死を知らされます。自分の夢は殆どかなえてきた彼は、この時「本当にやりたいことはなにか」と自問するようになります。
「代替不能な何かをつくりたい」
「人を幸せにするサービスを提供したい」
この思いに行きついた彼は、ずっとコンタクトのあった南場氏に相談。そこで志を打ち明けます。粗削りながらも熱くビジネスプランを語る前田氏に、南波氏は
「上手くいく可能性は低い」
「(事業をやる)人として青二才」
「同じことを考えてる人が既に世界に1000人はいて、価値なし」
などと無慈悲なフィードバックをぶつけます。
しかし南波氏は彼をDeNAに中途入社させ、社内スタートアップからSHOWROOMをローンチさせたのでした。

がむしゃらに頑張れば報われる世界にしたい

自分の置かれた境遇に毎夜涙した少年時代。それをバネして得た商才と、何でもモノにするガッツ。兄やDeNA南波氏といった、協力者がいたことも彼の幸運でした。
ストリートミュージシャン時代をベースに持つ前田氏が掲げる人生のミッションは
「EAQUAL OPPORTUNITY(機会均等)」です。
生まれで使えるお金が決まるのではない。頑張る人はサポートされる世界を作りたい。
がむしゃらに頑張れば報われる世界の構築、夢を追いかける人を助けること。それが人生のミッションだと語る前田氏なのです。

まとめ

逆行こそチャンスと語る、前田裕二氏。お金は“ひと”についてくることを体感してきた半生。彼だから提供できるサービスが、これからも楽しみです。
しーな

しーな

システム開発業の夫を手伝いながら身に付けた知識で、2017年からIT業界を中心に扱いライティングをしています。3児の母です。IT業界や成功者に興味があります。
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