視野の広い人はその指定席代の830円で買える価値を考えます。出張での指定席代がただの席代ではないことは、もうお分りですよね。二村さんは指定席券のメリットを知っていながらも、830円を節約することを選んだのですから、もしかしたらあまり使えるお金を持っていないのかもしれません。資産がないのだからまず節約してお金を貯める、という考え方は正しいように思えますが、じつは遠回り。
少しのお金を節約した結果、疲労が蓄積し、仕事のパフォーマンスが低下してしまう……ということが、日々積み重なれば、二村さんに対する会社の評価は悪くなり、給料にも悪い影響を及ぼしてしまう可能性が高くなります。その結果、収入が上がらず、そして大きな仕事も任せてもらえず、いつまでたっても経験という資産も、金銭的な資産も、蓄積できないということになるのです。
節約より投資が収入アップへの近道
資産が少ないのであれば、節約より投資です。しかし、投資する先を間違えては意味がありません。一番先に投資をすべきなのは、自分の時間です。まずは自分の時間に投資していき、自分の時間の価値を高めることを目指すのです。1日24時間は誰にでも平等にありますが、1時間の価値はそれぞれに差があります。分刻みで忙しく働く総理大臣の1時間と、何もすることがない無職の人の1時間では、その価値に大きな差がありますよね。自分の価値=時間の価値、なのです。だからこそ、自分の時間への投資をして、自分の価値を高める必要があります。時間に投資を続ければ、やがては、会社での評価も上がり、二村さんの給料も上がります。二村さんにしかできない仕事も、生まれてくるかもしれません。そうなれば、収入にも反映されます。お金を生み出す黄金のスパイラルができていくのです。新幹線の自由席、レジャーの高速代、安いランチの行列……節約ばかりでは黄金のスパイラルはいつまでたっても始まらないのでご注意を。
富者の遺言 第1章 始まり〜本当にそれでいいのですか?[第1話]
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元銀行員の男が起業をして、一時は成功の夢をつかみかけたが失敗する。男はなぜ自分が失敗したのか、その理由を、ジョーカーと名乗る怪しげな老人から教わっていく。"ファイナンシャルアカデミー代表"泉正人が贈る、お金と人間の再生の物語。
泉 正人

ファイナンシャルアカデミーグループ代表一般社団法人金融学習協会理事長
日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。