2019年8月16日 更新

ビジネスでプロジェクトを成功させるには「生産的な対立」が必須

ビジネスにおいて「対立」が避けられないことはよくある話です。しかし、同僚や上司との「討論」は生産性を高めるには必須であると語るのは「手ごわい問題は、対話で解決する」の著者であり、数々の紛争を分析してきたアダム・カヘン氏です。カヘン氏の主張を交え「生産的な討論」について考えます。

それでは、各々の意見すべてに正当性を与えることはチームの原動力になるのでしょうか。
答えは、ノーです。
すべての人の意見を優先する、これは不可能なこと。
いくつかの意見は採用し、その他は排除しなくてはゴールは見えてきません。
多様性とは、すべての意見や人々を平等に受け入れることではないのです。
そして私たちは、将来の予見ができません。プロジェクト発足前に、その目的が達成できるのか否か、その経路を予測したり制御したりすることはできないのです。
ということは、さまざまな意見を交差させながらゆっくりと一歩ずつ進むほかに道はないということになります。
他者の意見に耳を傾け、自分の意見をもう一度考え直す。
この作業を煩わしいと感じる人も多いはずです。
自分の意見を変えたり、相手が正しいと思うことは決して愉快なことではないからです。

多様性を抱合したプロジェクト、進め方の極意

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具体的に、意見がまちまちで対立することが多い場合のプロジェクトの進行方法を、カヘン氏は次のように述べています。
① まずすべての意見をチーム内に集める。他者の意見を、最後まで「傾聴」する。
② 客観性をもって、すべての意見に目を通す。
③ 相手の意見を理解する努力を持って、対話を行う。
④ 目的は共有しているという意識をもって、相手を説得する。

「流動性」の大切さ

ソーシャルの普及によって、個々が声を上げやすくなってきた社会。
それだけに、自分の意見に責任を持つ重要性にも目が向けられつつあります。
同じ意見を持つもの同士だけが固まり、相反する意見を持つ人を攻撃する。
こうした傾向を、カヘン氏は非常に憂えています。

社会とは、水と同じ。
流れていなくては、よどんで腐ってしまいます。
意見も人間関係も流動性を有していれば、まさに「昨日の敵は今日の友」が現実的になる可能性あるのですね。

最後に

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ヒロイックでドラマチックな事象は、映画やドラマでは通用します。
しかし、現実では退路を断って自分をおし通すようなドラマは、周囲をも危険に巻き込みます。
抜け穴、近道、まわり道、あらゆる道を用意することが、プロジェクト完遂のカギと言えるかもしれませんね。

井澤 佐知子

イタリア在住十数年、美術と食をこよなく愛す。眼下にローマを見下ろす山の町で、イタリアのニュースを発信中。
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井澤 佐知子 井澤 佐知子
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