2018.10.18
首都ベルリンは、中世から現代まで、激動の世界の歴史舞台で常に主役の座を占めてきました。経済の中心を担いながら、今でも歴史的な町並みを色濃く残していることが、この地の大きな魅力の1つです。
そこで今回は、いつかベルリンで暮らしてみたいという人のために、実際に暮らす上で必要な生活費などを紹介します。一か月あたり一体どのくらいのお金が必要なのか? 日本の暮らしとどんな点が異なるのか? 今後の人生設計の参考にしてみて下さい。
(※ 記事では、1ユーロ(EUR)=130円として計算しています)
人気ゆえ物件探しは争奪戦
ヨーロッパの中心地で暮らすとなると、まず気になるのが家賃です。ベルリンは、他のヨーロッパの首都に比べて家賃が安く、地区によっては一カ月あたり300ユーロ台(約39,000円〜)で住める物件を見つけることもできます。
しかし、最近では、その安さに国内の好景気も重なり、世界中から移住者が殺到。物件の供給に対して需要が過多になり、家賃相場はこの5年間で約1.5倍も上昇しているとされています。手頃な物件の見学に100人以上の希望者が殺到した例も見られ、政府も対策を講じることを明らかにしています。
例えば、現在のベルリンの相場を、ドイツのWebサイト「BerlinMorgenpost」の家賃マップで調べてみると…中心地は40㎡あたり600ユーロ(約78,000円)前後で、郊外になると450ユーロ(約58,500円)前後。上昇傾向にあるとはいえ、同じ広さで住むことを考えると、まだ東京に比べて安いと言えるでしょう。
ちなみに、水道・光熱費の支払いに関しては独自のルールがあります。日本の場合は、毎月 使用量に応じて別途で請求がなされますが、ドイツでは年に1回しか行われません。大家さんが予想して設定した年間の費用を月割りで支払い(管理費などに含まれる)、年に1度 実際の使用料との差額分を支払う(払い過ぎだった場合は戻ってくる)システムが一般的です。
水道や電気の料金は少し割高な傾向にあるため、年に1度の支払い時に、予想以上の超過料金を請求されることも…。無駄遣いのないよう、日頃から節水などを心がけて下さい。
電車は“打刻”に注意
ベルリン市内には、地下鉄(Uバーン)・列車(Sバーン)・バス・路面電車(トラム)の4つの公共交通機関があり、いずれも同じ乗車券で利用することができます。海外の中では比較的 時間に正確でもあるので、市内の移動で不便な思いをすることは、あまりないと考えられます。さらに、列車は週末24時間運行しており、非常に便利です。
運賃は、A・B・Cと3種類のエリアによって分かれています。市内の中心地のほとんどはAB区間の乗車券で移動でき、2.8ユーロ(364円)で2時間以内なら何度でも乗り換え可能です。仕事などで頻繁に移動する際は、おトクな「4枚回数券」「1日券」「1カ月券」などを購入しておくと良いでしょう。
利用の際には“打刻”を“必ず”行うよう注意して下さい。ベルリンの駅には、改札がない代わりに、ホームにある専用機械で乗車券に乗車時刻を打ち込むことがルールになっています。頻繁に私服検札官が車内で抜き打ちチェックを行なっており、打刻がないと“不正乗車”と見なされ罰金を課せられてしまいます。
食費は自炊で大幅に節約可能
最後に、生活に欠かせない食費を見てみましょう。スーパーで買えるような食料品を見ると、市内には日本よりも安いものが多く、特に肉・野菜・乳製品・パスタなどは、日本の半額程度で購入できます。ドイツでは、このような食料品に対して、課せられる税金が安くなっている(軽減税率=7%)ことが、その一因です。
一方で、レストランなどの外食にかかる税金は、それに比べて高く(標準税率=19%)、1食だけで20ユーロ(約2,600円)程度かかってしまうことも珍しくありません。食費を節約したい場合、なるべく朝と晩は自炊をすることをオススメします。
ベルリン市内では、「ALDI(アルディ)」や「Lidl(リードル)」といった大手ディスカウントスーパーが人気です。スーパーでは、買い物袋を持参するのが慣習となっているため、袋を貰うと料金が発生します。無駄な出費を抑えるためにも、日頃から買い物袋の携帯を心がけましょう。
単身で自炊メインの場合、1カ月100〜200ユーロ(2万円前後)もあれば、十分に食事をすることができます。月に何度か外食する程度なら、大きく家計を圧迫することはないでしょう。
以上、ベルリンで生活するための目安をご紹介しました。
それぞれの収入やライフスタイルによって差もありますが、ベルリンで暮らす場合、諸経費を含めて1,000ユーロ(約13万円)程度あれば、問題なく生活できると考えられます。特に食料品が安い分、自炊を行えば、日本の都心部よりも生活費を大きく抑えられる点が大きいです。