「いつかは住みたい」エストニアでの生活費

バルト三国の最北に位置するエストニアは、人口約130万人、国土は日本の約9分の1の小さな国です。以前に、元大関・把瑠都の活躍で国名を耳にした方も多くいらっしゃると思います。 そのエストニアですが、近年“IT先進国”として大きな注目を浴びていることをご存知でしょうか? 実は、あの「Skype」もエストニアから生まれたサービスなのです。

2018.11.14
ITを推進する国策は、すでに2000年頃から着手されており、各行政サービスのほとんどが電子手続き可能となっています。電子IDカード・ネットバンク等の普及も顕著で、2011年には+7.6%の経済成長を遂げるなど、着実に発展の道を歩んでいます。
そこで今回は、将来エストニアへ移住してみたいという人のために、実際に暮らす際に必要な生活費などを紹介します。1カ月あたりどのくらいのお金が必要なのか? 日本の生活と何が異なるのか? 今後の人生設計の参考にしてみて下さい。
(※ 記事では、1ユーロ(EUR)=130円として計算しています) <この辺りの参照・数値引用などは外務省HPから・・・>
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/estonia/data.html#section1

住宅事情は良好

移住にオススメな国内の都市は、経済の中心地として発展する首都・タリンや、学問や文化の中心として知られるタルトゥです。どちらの都市も、自然豊かな景色と共に、中世ヨーロッパの町並みが残されていることが大きな魅力となっています。
家賃をワンルームタイプでみると、首都であるタリンの中心地でも1カ月・300ユーロ(約39,000円)程度。郊外やタルトゥの物件であれば、さらに安い値段で契約することも可能です。これから家賃が上昇することも予想されますが、それでもまだ日本の都心部に比べ割安で住むことができます。
1つ注意点をあげるとすれば、冬場の光熱費です。北国のエストニアでは、どうしても暖房の代金が高くついてしまいます。(とは言っても、同緯度の他の国と比べると、暖流のおかげで比較的暖かい傾向にあります) 暖房代は設備や家の構造によって差もあります。気になる場合は、契約前に大家さんや不動産会社などに、おおよその目安を尋ねてみると良いでしょう。
通信費は“IT先進国”ということもあってか、日本よりも安く抑えられます。街へ出ても、市内の至る所に無料WIFIのホットスポットがあり、ボタン1つでインターネットに接続することが可能です。

交通費はほとんどゼロ?

エストニアの主な公共交通機関は、バスや路面電車です。驚くべきことに、政府は今年の7月から、全国規模で公共交通機関を無償化する施策を進めています。国土全体でこのような無料サービスを推進することは、これまで世界でも前例がなかったことです。
無償化するということは、国や市が予算を負担することを意味しますが、それ以上に、富裕層の消費活動を刺激させる狙いがあるとみられています。加えて、自家用車の利用を減らし大気汚染・温暖化を緩和することも理由の1つです。国土の多くがが森・湖・海に囲まれる北欧諸国は、その地理的背景からも、特に環境に対する意識が高いと言われています。
首都タリンでは、すでに2013年から市民を対象に無償化が始まっており、市の登録件数が大きく増えるなど、地域の発展に一定の効果をもたらしています。市内の公共交通機関は、朝6時から23時(一部は24時)まで運行しています。面積もそれほど広くない都市であるため、徒歩や自転車でも、快適に移動することができます。

欧州の中では安価な食費

食材は、国産のほかにも、近隣のEU各国から輸入しているものも多く、安くて豊富です。パスタ・パン・チーズ・ビールなどは、日本よりも格安で手に入れることが可能です。
外食は、ランチ1食あたり4ユーロ(約520円)前後と、日本と同程度。観光客を対象にした様なレストランにさえ入らなければ、大きく家計を圧迫することはないでしょう。
エストニアにはカフェも多く、コーヒー1杯の相場は3ユーロ(390円)。テラス席や旧市街の城壁に囲まれたオシャレなカフェを毎日訪れることができるのは、この地に暮らすからこその大きなメリットです。
それぞれの収入やライフスタイルによって差もありますが、現地で暮らす場合、月々800〜1,000ユーロ(約10.4万円〜13万円)程度あれば、最低限の生活ができると考えられます。
エストニアは、ITテクノロジーが普及していることに加えて、法人税が安く済む傾向にあることからも、ビジネス界で熱視線を集めています。これらを参考にして、移住への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
たけやま

たけやま

理工学部出身のライター。趣味はガジェット収集。
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