2019年4月12日 更新

観光型MaaSで観光地の交通革命|JTB、トヨタら企業の挑戦

「MaaS」への取り組みが日本でも本格的になってきました。本業に絡ませたユニークなMaaSを開発し新規事業に力を入れる企業が増えているなか、最近JTBもより効率的な観光の実現のため「観光型MaaS」を普及することを発表しました。

また、トヨタ自動車では、MaaSの発展により自家用車の売れ行きが減っていくことを見越し、2018年の1月に「e-Palette Concept」という多様な用途の移動サービスがカスタマイズ出来る、車体が低く、コンテナのような形の電気自動運転車を発表し世界中の注目を浴びました。
「e-Palette」は、自家用車とは全く異なるコンセプトで交通課題解決に焦点があてられ、ドライバーが不足する物流業では配送車となったり高齢化の進む過疎地の住民の移動手段となったり、また、自宅前まで来る無人コンビニになったりと様々なサービスが期待されております。
さらに、トヨタはソフトバンクと「MONET Technologies株式会社」というオンデマンドモビリティサービスを提供する会社を共同設立しました。今年2月より本格的事業を開始しトヨタの自動移動システムをソフトバンクのデータ収集分析システムと融合し、より画期的なMaaSの展開を目指していくようです。

JTBが「MaaSオペレーター」に

3月20日には大手旅行会社JTBも株式会社未来シェアと提携し「観光型MaaS」を展開していくことを発表しました。 
JTBは未来シェアが提供する需要に合った配車サービス、「SAVS」の利点を利用して、交通が不便な観光スポットへの効率的なアクセスや自社が蓄積した宿泊を含む観光情報と配車サービスをパッケージにしたり周遊パスを導入したり、また、それらの手配や決済など一連の手続きを行う「観光型MaaS」を普及させていくとしています。
この「観光型MaaS」のシステムが、地元住民の日常生活でも活用でき地域の交通課題の解決にも役立て、地域経済の活性化に貢献できるMaaSを目指していくようです。

また、JTBは実証済の外国船寄港地での「クルーズ型MaaS」やイベントに対応する「イベント型MaaS」も推進していくなど、今後は「MaaS オペレーター」としてJTBならではのMaaSを展開し国内外の旅行者により快適な観光サービスを提供してくれるのでしょう。
MaaSの発展で人、物の移動がより効率的で便利になるのでしょう。それに伴い経済効果も期待できます。しかし、MaaSの恩恵を受けるにはスマホのアプリなどが必要となることが多く、「IT弱者」への対応が今後課題となるのではないでしょうか。

参考記事:

K. ブリーン

アメリカの某大学経済学部卒業。主に社会経済や映画の事などを書いてます。ピラティスにはまり、指導員資格を取りました。
30 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

11月11日は「電池の日」。10月9日、「リチウムイオン電池」開発の功績で吉野彰博士がノーベル化学賞を受賞しました。「全樹脂電池」「リチウム空気電池」「全固体電池」など次世代電池の開発競争もますます盛んで、最前線では日本人科学者も活躍しています。
経済 |
プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

断捨離した後の服の行方を考えたことがありますか。経済的な成長の裏にはほとんど犠牲が伴い、堅調な成長を見せるファストファッション市場もその一例です。しかし今、利益追求を優先しすぎたファストファッション業者のモラルと、消費者の良識が問われる時期がきたようです。
経済 |
欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

9月12日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発表した総合的な金融緩和策では、欧州の低成長と低インフレの長期化を阻止するのに不十分であると市場の評価は冷ややかです。いかなる金融政策を講じても経済回復に至らない「低成長」「低インフレ」「デフレスパイラル」という日本化が本当に欧州圏で進んでいるのでしょうか。
今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

最近では、トランプ大統領の中央銀行への圧力や世界的に広がる貿易戦争などのトピックスに対して反応が鈍くなっているように感じます。一方で、景気の弱さと企業業績の不透明感が徐々に台頭していることについてはニュースとしてあまり取り上げられてないので知られていません。
ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

マインドフルネスをはじめとした、ウェルネス(健康を維持、増進させようとする生活活動)に興味を持つ人が増えつつあります。ウェルネスツーリズム、アプリなど新たな商品が出回り、今やウェルネス産業の市場規模は4.2兆ドル以上。このブームの実態や背景、昨今のトレンドについて解説します。
経済 |

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

K. ブリーン K. ブリーン
お金の教養講座
お金と投資のセミナー情報(無料)

お金の教養講座

おすすめ

お金の教養講座

⼤⼈として知っておきたいお⾦の知識。
⼈⽣そのものを充実させるためのお⾦の基礎講座

月5万円で資産1億円を目指すゴイチセミナー

1億円を作った人が実践してきた「資産運用のルール」を真似しよう


ファイナンシャルアカデミー公式SNS