「面倒くさい」仕事を「仕組み化」してみる
「作業系」のルーチンワークを、「面倒くさい」仕事と感じているならば、あなたは一流のビジネスパーソンへの入り口に立っていると言えるでしょう。「面倒くさい」とは一見、ネガティブに聞こえますが、この感情こそが「仕組み」をつくる出発点。簡単に言ってしまえば、面倒くさいことは、徹底的に楽にやることを追求する。つまり、「誰が、いつ、何度やっても、同じ成果が出せるシステム」の「仕組み」にすることで、効率化を図ります。
「面倒くさい」の意味について、もう少し説明しましょう。
「面倒くさい」にも2種類あります。①頭で考える必要のある、「思考系」の面倒くさいこと。これは進んで行うべきことです。②頭で考える必要のない、「作業系」の面倒くさいこと。こちらは徹底的に楽をする。あなたの頭で思考することは、あなたにしかできないことです。他人にまかせられる「面倒」は「仕組み化」して、自分にしかできないことに時間を使いましょう。
「面倒くささ」にはこんなものもあります。「部下にやり方を説明するのは面倒くさいから、自分でやってしまおう」。これはいちばん危険な考え方です。慣れた仕事は、正直自分がやったほうが早いことは確かです。また他人は自分が思ったようには動いてくれないものですし、性格の違う他人を自分の代わりに動かすには、自分が動くのとまた違ったスキルや労力がいるもの。しかし、それではいつまでたっても「作業系」の仕事から抜け出すことはできません。
一流のビジネスパーソンと呼ばれる人たちは、「面倒くさい」作業こそ「仕組み化」して効率化すべきことを知っています。自分の仕事を「作業系」「思考系」の2つに分けて、「作業系」は迷わず「仕組み化」します。
そして捻出した時間でひたすら頭を使い続け、高度に情報化された現代のビジネスシーンを勝ち抜いているのです。ビジネスの世界においてさらに上を目指そうと考えているあなたは、「思考」というあなたにしかできない仕事の時間を確保することが、未来を作ることになるのです。
泉 正人
ファイナンシャルアカデミーグループ代表、一般社団法人金融学習協会理事長
日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。