2018年9月26日 更新

幕末の英傑・井伊直弼には報われない「世捨て人」時代があった

幕末の混乱期に、幕府大老として開国を断行し「安政の大獄」で大粛清した井伊直弼ですが、その前半生の大半が、実は「世捨て人」の身であったことは余り知られていません。その生き様から何を学んでいったのか、その軌跡を辿ってみましょう。

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世捨て人・井伊直弼の生き様を検証する

江戸幕府大老であった井伊直弼は幕末の混乱期を取り仕切った英傑ですが、その活動を支えたのが世捨て人として過ごしたその前半生で培った「自己修養(学問を修め精神を磨き、人格を高める)」の賜であったと言えます。

(1)井伊直弼の出自 ― 用済み人間だった十四男坊

井伊直弼は、文化一二年(1815年)に十一代彦根藩主・井伊直中の十四男として彦根城に生まれました。出自としては庶子(側室の子)であり世継ぎとなる可能性がある兄弟も多く、万が一の安全牌(藩主の後継者)としての稀少性は低いものでした。
不幸なことに井伊直弼が出生した時点で、藩主の家督は兄・直亮が相続していて、その人間的存在価値(安全牌)はほとんど霧消し、単なる用済み人間となっていました。

(2)井伊直弼の不遇時代 ―「埋木舎(うもれぎのや)」の日々

天保二年(1831年)父・直中の逝去に伴い、井伊直弼は彦根藩の「庶子養育制度」に従い、藩から米三百俵の「捨て扶持(役に立たない者に与える扶持米)」を与えられ、尾末町の藩御用屋敷に居を定めました。他家や家臣の養子にも行かない庶子はわずかな「捨て扶持」を与えられ質素な一生を送るしかありませんでした。
このような井伊直弼にも不遇の身から抜け出すチャンスがありました。天保五年(1834年)藩主・直亮のはからいで、井伊直弼は弟・直恭とともに他家の大名の養子候補として江戸に向かいました。
しかし、この幸運をつかんだのは弟・直恭でした。直恭は日向延岡藩主・内藤政順(まさより)の養子となり家督を継いで一躍七万石の城主となりました。
井伊直弼は他の養子縁組口を期待していましたが思い叶わず、失意のうちに江戸藩邸で一年間虚しく過ごした後、彦根に戻りました。

苦節32年に耐えた井伊直弼

尾末町の藩御用屋敷に戻った井伊直弼は、心境を歌で詠み、その陋屋(ろうおく)を「埋木舎(うもれぎのや)」と名付けました。
「世の中を よそに見つつも うもれ木の 埋もれておらむ 心なき身は(意訳:世捨て人のような身の上であるが、このまま埋もれていないなどと言わず、自然体で生きていきたいものだ)」

(1)心折れることなく4時間睡眠で武芸・学問に励んだ井伊直弼

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