「おいおい、ずいぶんズバリと聞くんだな。ここはアメリカじゃないんだぞ」
「はは、中国でもヨーロッパでも同じさ」
「……まぁ、お前だから、正直な額を答えるよ。六五〇万円だ。まだまだ俺は若手の部類だから、こんなもんだよ。上のじいさん連中はもっと貰ってるはずだけどな」
「うん……それなら、たぶん大丈夫じゃないか」
「はは、中国でもヨーロッパでも同じさ」
「……まぁ、お前だから、正直な額を答えるよ。六五〇万円だ。まだまだ俺は若手の部類だから、こんなもんだよ。上のじいさん連中はもっと貰ってるはずだけどな」
「うん……それなら、たぶん大丈夫じゃないか」
銀行は意外なことに退行者が多い。優秀で仕事のデキる銀行員ほど若いうちに転職や独立をしていた。そういう人間の転職先は、外資系の投資銀行などだ。だが、さして優秀でもなくボヤボヤして三〇過ぎまで銀行にいる人間も安泰というわけではない。成績がふるわない行員は、あっさり一般企業に出向させられることもある。銀行では上にいくつもポストがあるわけではないので、自動的にある年齢になると銀行に残るか、他に移るか、決められることになる。出世競争の厳しさは、他の一般企業よりも苛烈だった。僕が勤めていた銀行も例外ではなく、同期も、半分近くが、もうすでに退行していた。
転職者が半分、独立した人間が半分。独立して事業を始める人間の中には成功者と言われる人間もいた。
転職者が半分、独立した人間が半分。独立して事業を始める人間の中には成功者と言われる人間もいた。
「お前の仕事の手伝いって、転職しろというのか?」
「いや、一緒に事業を起こすんだ。それぞれ金を出し合ってやってみないか?」
その後、大谷がした話は何から何まで意外な話だった。
「いや、一緒に事業を起こすんだ。それぞれ金を出し合ってやってみないか?」
その後、大谷がした話は何から何まで意外な話だった。
(毎週金曜、14時更新)
via amzn.asia
泉 正人
ファイナンシャルアカデミーグループ代表、一般社団法人金融学習協会理事長
日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。