2017年12月7日 更新

「再会は偶然だった、いや、僕は偶然のつもりだった」第7章[第13話]

元銀行員の男が起業をして、一時は成功の夢をつかみかけたが失敗する。男はなぜ自分が失敗したのか、その理由を、ジョーカーと名乗る怪しげな老人から教わっていく。"ファイナンシャルアカデミー代表"泉正人が贈る、お金と人間の再生の物語。

「おいおい、ずいぶんズバリと聞くんだな。ここはアメリカじゃないんだぞ」
「はは、中国でもヨーロッパでも同じさ」
「……まぁ、お前だから、正直な額を答えるよ。六五〇万円だ。まだまだ俺は若手の部類だから、こんなもんだよ。上のじいさん連中はもっと貰ってるはずだけどな」
「うん……それなら、たぶん大丈夫じゃないか」
 銀行は意外なことに退行者が多い。優秀で仕事のデキる銀行員ほど若いうちに転職や独立をしていた。そういう人間の転職先は、外資系の投資銀行などだ。だが、さして優秀でもなくボヤボヤして三〇過ぎまで銀行にいる人間も安泰というわけではない。成績がふるわない行員は、あっさり一般企業に出向させられることもある。銀行では上にいくつもポストがあるわけではないので、自動的にある年齢になると銀行に残るか、他に移るか、決められることになる。出世競争の厳しさは、他の一般企業よりも苛烈だった。僕が勤めていた銀行も例外ではなく、同期も、半分近くが、もうすでに退行していた。
 転職者が半分、独立した人間が半分。独立して事業を始める人間の中には成功者と言われる人間もいた。
「お前の仕事の手伝いって、転職しろというのか?」
「いや、一緒に事業を起こすんだ。それぞれ金を出し合ってやってみないか?」
その後、大谷がした話は何から何まで意外な話だった。
(毎週金曜、14時更新)
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泉正人 | ファイナンシャルアカデミー 泉正人 | ファイナンシャルアカデミー
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