ミニマムマネー思考が自由で幸せな人生へ導いてくれる

「あなたは月にいくら稼いだら満足できますか?」誰だってお金があれば安心できますし、もらえるならばより大きな金額がいいに決まっています。わたしたちの「満足できるお金の額」にはきりがないのです。では、どうしたら満足できるのでしょうか?──『美しく生きる女のお金の作法』特別編集[最終回]

2018.8.6

毎月いくら稼げたら、満足できますか?

人が成長するために、欲はプラスに働きます。「もっと素敵な暮らしがしたい」「もっと仕事で活躍したい」「もっといい出会いに恵まれたい」――この「もっと」を求める気持ちがあるから、私たちは成長できます。
でも、お金に関しては、「もっと」を上手にコントロールできる作法を身につけることが、私たちが心地よく生きるための大事なコツになります。
例えば月収20万円の人が「あなたは月にいくら稼いだら満足できますか?」と聞かれた時に「30万円くらいです」と答えたとします。もし本当に月収30万円稼げるようになったとき、同じ質問を受けたらどうでしょうか? きっと「今の収入で満足です」と答えるのではなく、もっと大きな金額を答えるでしょう。誰だってお金があれば安心できますし、もらえるならば100万円より1000万円、1000万円より1億円のほうがいいに決まってます。
わたしたちの「満足できるお金の額」にはきりがないのです。

ミニマムマネーを知るというお金の作法

では、どうしたら満足できるのでしょうか? がむしゃらに働くこと? それとも収入を増やす手段を見つけることでしょうか?
その答えは、「ミニマムな暮らしの金額を知っておく」という作法を身に着けること。
日々の自分の暮らしを振り返って、「最低限、これだけあれば十分に暮らしていけるお金」
つまり、ミニマムマネーを把握しましょう。
際限のないお金の欲は一旦、横に置いておいて、まずは自分が満足できる日常の生活に目を向けます。ここでポイントになるのは「いくら貯金があれば安心できるか」というストックで考えるのではなく、「毎月の収入がいくらあれば暮らしていけるか」というフローで考えるということです。私たちの生活は日々の支出の積み重ねで成り立つものですので、収支のバランスでミニマムマネーを算出する考え方が、実際の生活に即すものになるからです。

さっそくミニマムマネーを算出してみましょう

さて、あなたの暮らしのミニマムマネーはすぐにイメージできそうですか? 具体的な金額を出すために、こんな想像をしてみましょう。
あなたが一人で(家族がいるのでしたら家族も一緒に)、見知らぬ土地に移り、まったくゼロからの再出発を送ることになった時に、「最低限これだけあれば大丈夫」と思える月収はいくらなのか。
あなたがすでに持っているモノはこれからも使えます。あらためて家の中を見回してみると、生活必需品としてこれまで買いためてきたものはすでにそろっているはずです。毎日寝るためのベッドもあるし、春夏秋冬の衣服も困らない程度にはありますね。
住居はどうでしょう。今住んでいる家が家賃10万円の1LDKだとして、新天地での引っ越し先に選ぶミニマムな住居はどれくらいの広さでしょう? もしかしたら「家賃8万円の1DK」までなら十分にやっていけるかもしれない」と考えられるかもしれませんね。
週に2回ほどの外食のペースを抑えて自炊に徹すれば、食費は3割ほど抑えられそうです。服は今持っているものだけで着回していく、というのが最低ラインと考えてもいいでしょう。
このように、すでにある持ち物を活用する前提で月の支出のミニマムをイメージしていくと、「最低限これだけの収入があれば私は大丈夫」という金額が見えてきます。つまり、そこが“満足ライン”。日ごろから自分の“満足ライン”が明確にしておくと、そのラインさえクリアしていればいいと思える安心感を獲得できます。
冒頭に例に出した月収20万円の人の満足ラインは実は15万円かもしれません。差額の5万円は「満足ラインをさらに満たす幸せ」分のお金です。自分自身の幸福感を高め、未来の成長につなげるための“投資”のお金と考えてもいいでしょう。月収30万が満足ラインと思い込んでいたのに、ミニマムマネーを算出して実際の満足ラインを知ることで、20万円の見え方が全く変わっていきますね。

ミニマムマネーはチャレンジする度胸を与えてくれる

ミニマムマネーで足るを知ることのメリットは、ただ安心感を獲得できることだけではありません。漠然としたお金の不安から自由になれることで、仕事面でもプライベートでもチャレンジがしやすくなるという効果があります。そのチャレンジがもとで、人生もお金もどんどん好転していくこともあるでしょう。
私自身、起業や転職など人生の転機を迎える時には、いつもミニマムマネーを意識しながら、「最低限、これだけあればやっていける。大丈夫。」という安心感をバネにチャレンジを繰り返してきました。
人生、何が起きるかわかりません。チャンスであれ、ピンチであれ、自分自身が生活を持続させるためのミニマムな金額を知っておくと、やみくもにあせることもなくなり、変化に対応していけるようになります。逆にお金に捕らわれてばかりいると、不安で身動きが取れなくなっていきます。
自分のミニマムマネーを知ることは、人生の満足を知ること。
そして、ミニマムマネーは小さなお守りです。
自分が心地よく感じられる立ち位置を確認できて、“オンナの度胸”を鍛えることもできる作法として心得ておきましょう。
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