2019年1月24日 更新

英国の救世主マーガレット・サッチャー 鉄の女の信念と行動力

「鉄の女」こと元英国首相マーガレット・サッチャー女史が、その強固な信念を持って英国の経済社会の低迷を救った偉業は計り知れませんが、その陰では常に「戦い」を強いられ忍耐の道でもありました。彼女が残した名言を紐解きながら、彼女の鉄と茨の生涯を辿っていきましょう。

1979年に女性初の首相となったサッチャーは、この病の治療には「ぬるま湯に浸かりきった国民の依存体質を止める意識改革」が大切と考え、「金融の引き締め」「税制改革」「規制緩和」「一般大衆参加の資本主義の導入」といった「サッチャリズム」と呼ばれる一連の政策を実施します。「小さな政府」と呼ぶこの新自由主義的な政策で規制緩和や国有企業の民営化を推進し、民間企業による経済活性化を目指しました。
この政策は、これまで社会主義の下、安寧を保証されていた国民から、「弱者の敵」とみなされ多くの批判を引き起こしますが、「私の仕事は英国が共産主義に向かうのを防ぐこと」と信念を貫きます。そして1982年に期せずして起こった「フォークランド紛争」で果敢に挑み、領土奪還に勝利したサッチャーは国民の英雄へと祭り上げられます。

私が戦わなかった日など一日たりともありません。

しかし彼女の革新的な経済政策が格差社会を生み、労働組合の反発は収まらず、史上最大規模の失業率は続き、1984年にはIRAの爆弾テロにも遭いますが強運から生き残ります。サッチャーの仲介もあって「東西ドイツの統一」を迎え冷戦時代が終結すると、彼女はユーロ加盟の前段階となるERM加入に反対の立場をとり、任期終盤に打ち出した「人頭税」が命取りとなり、1990年に首相を退陣します。
晩年は認知症を患い、夫に先立たれ「愛情を十分与えられなかった」と悔やむ子供たちに世話されることもなく、ロンドンの「ザ・リッツ」のスイートルームで静かに暮らし、2013年に87歳の生涯を閉じます。
「国を救った偉大な指導者」と讃えられた彼女の葬儀は、セント・ポール大聖堂で国葬級で行われ、エリザベス女王をはじめ、各国の政治家など2,000人が参列し、多くの市民が追悼パレードにつめかけました。

まとめ

彼女の「戦い」はこうして終わりましたが、賛否両論はあれ、彼女の政策で大きく国は変化し病んだ母国を救ったのはまぎれもない事実です。彼女の残した軌跡は英国史上重要なターニングポイントとして歴史に刻まれることでしょう。
参考文献

Wikipedia:
「マーガレット・サッチャー」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC

世界史の窓:
「サッチャー」
https://www.y-history.net/appendix/wh1701-045.html

オンラインジャーニー:
「英国の偉人の生涯をたどる 『Great Britons』~マーガレット・サッチャー」
https://www.japanjournals.com/feature/great-britons/3907-margaret-thatcher.html
https://www.japanjournals.com/feature/great-britons/3910-margaret-thatcher-44415757.html

ライブドアニュース:
「英国初の女性首相マーガレット・サッチャー氏を鍛えたスパルタ父親」
http://news.livedoor.com/article/detail/15437885/

癒しツアー:
マーガレット・サッチャーの名言・格言
http://iyashitour.com/archives/24779

エリカ・ド・ラ・シャルモント

フランス、パリ在住。 公職における本職の他、サイドビジネスとして翻訳・通訳・コーディネーター・ライター、 またフランスで不動産業を手掛け、フランスの雑誌編集にも携わっています。
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