2017年7月31日 更新

世界で勝つための「吉越流」人生論(吉越浩一郎)

1992年、トリンプ・インターナショナル・ジャパンの代表取締役社長に就任し、2004年には「平成の名経営者100人」(日本経済新聞社)の一人に選出。現在は東京と、夫人の故郷である南フランスの2か所を拠点に、国内各地で幅広く講演活動、執筆を行う吉越浩一郎氏。革新的な手法で多くの人に影響を与えてきた氏が、あなたのビジネスを加速化するためのヒントを語ります。

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2015.3.28
―トリンプを退任後、講演活動を含め一層幅広いご活動をされているかと思いますが、現在のご活動を自己紹介的な意味も含めて簡単にお話いただけますか?

吉越:去年の末で会社を辞めまして、いろいろな方から講演して欲しいという話がありまして、今は講演と執筆を中心に活動しています。12月に2冊出版する予定があります。

日本では多くの場合、60歳まで仕事に打ち込み、定年後は何もなくなってしまう場合が多いようです。余った生と書いて「余生」と言いますね。ただ私は、60歳以降を、本当の意味の本生(ほんせい)だと言っています。

本生(ほんせい)というとあまりかっこ良くないので、読み方を変えると本生(ほんなま)じゃないかと言っています。今の時期は、仕事から本生へのソフトランディングの時期に来ていて、バランスを見ながら講演・執筆を行っていると言うところです。

私は、仕事のストレスには2種類のものがあると思っています。
1つは、仕事そのものから来るストレス。もう1つは、会社という組織の中で働くことによって出てくるストレスです。

本来、仕事そのものから来るストレスは、非常に楽しめるものなんですね。自分で課題やゴールを設定し、達成感を得ることもできます。ただ、会社で働くということは、なかなか難しいことであって、これは長い葛藤が必要です。

今回、私は会社を辞めたということで、自分で選ぶ仕事しかありません。ですから、非常に楽しいのです。楽しみながら、本生を生きているという感じです。

また、自分で講演、および、執筆活動をやるということは、すなわち、これまでの自分のキャリアを分析し、整理するという作業になります。その中で、自分では感覚的にやっていたものの根本となる部分ですとか、発想法のベースになっていたものなどが整理できてきました。この辺の部分を整頓をし、本にまとめていこうと思っています。
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―今、ご自分のキャリアを整理されているというお話がありましたが、吉越さんはこれまで「がんばるタイム」の導入、2分以内の決断などを含めて、ビジネスマンや経営者に大きな影響を与え続けて来られたかと思います。

多くの経営者やビジネスマンにとって、この発想は重要だと思いますので、ぜひお聞きしたいのですが、「がんばるタイム」のような自分の仕事に集中できる時間を作ろうと思った、契機やご経験についてお話しいただけますか?

吉越:基本となるのは、常に仕事に追われるという立場は良くないということです。仕事を自分で片付けていくという気持ちを常に持ち続けて、アプローチしていかなくてはいけません。さもないと、すぐに仕事に追われるようになってしまい、仕事そのものを処理することに忙しくなってしまいます。

仕事をどんどん片付けてしまって、その仕事をどう効率的に処理できるかということに時間と意識を使うということが重要だと思うんですね。
朝早く会社に行かれたことがあると思います。例えば9時始まりだとすると8時に行って、最初の1時間シーンとした中で仕事をするとものすごく効率的になります。本来であれば、あれを就業時間の8時間やり続けるのが当たり前なんです。

―電話も鳴らず、誰もいない中で自分の仕事に集中すると言うことですね。

吉越:そうですね。 私は香港に行って初めて分かったんですが、そこの事務所はヨーロッパと同じ環境ができていました。たとえ新人であっても、朝から晩までほとんど電話が鳴らないシーンとした個室に入り込んで、1日ほとんど人と話さずに仕事が終わるわけです。そうすると、仕事がものすごく効率的にできることは間違いないですね。

朝の1時間他の社員がいないうちに出社して、仕事がバーッとできたというのは、それは、そういった自分で完結する仕事があるからなんですね。今、皆さんが持っておられる仕事をちょっと整理整頓してみれば、そういった場に閉じこもって全部が終えられるっていうのは半分ぐらいしかないと思います。残りの半分というのは、「ホウ・レン・ソウ」みたいな、報告、連絡、相談に関する部分です。
日本の企業においては、連絡・打ち合わせなど周りとの調整に時間と労力の大半が割かれてしまう仕事が半分以上を占めています。

対してヨーロッパの仕事の仕方というのは、「ホウ・レン・ソウ」を無くして仕事ができるという体制なのです。つまり、できる人には若いうちから、100%仕事を任せていきます。もちろん良い方向に行っているかどうかのチェックみたいなのは必要ですけれども、基本は任せるというやり方です。

では「ホウ・レン・ソウ」はどうかといえば、一人で仕事を任せられない人には「ホウ・レン・ソウ」を使い、一緒に仕事をしていくわけです。部下のレベルは、「2:6:2」に分かれるなんてよく言いますよね。この良い方の「2」に関してはどんどん任せる。で、「6:2」に関しては、仕事を一緒にやる。そうすると、「6」から良い方の「2」に入っていく人が絶対出てきます。つまり「3:5:2」にしていくわけです。
―仕事ができる人はどんどん仕事を任されて、「ホウ・レン・ソウ」も減り、自分が効率良く働けるので、自然と能力が高まっていく。そうすると、さらに仕事を任せられ、どんどん成長していくということですね。
吉越:そうです。できる人は、もっとレベルの高い仕事を任されて、もっと大きな仕事ができるようになっていきます。更に言えば、できる人というのは、基本的に失敗しないんですね。

できる人がどうして失敗しないのかといえば、「暗黙知をほじくり出す力」、「気づきの力」、「人事を尽くして天命を待つ」ということですね。できる人は、99%ぐらいまでやってから悩みます。「ああ、これもあるな」、「これもあるな」と自分の力で仕事を詰めて、レベルが高いぎりぎりのとこまで持っていけます。
対して、できない人というのは、ちょっと何回か前の雨の時に勝ったからこれで馬券を買ってみようぐらいの考えで事前準備を終えてしまいます。だから、はずれるんですね。

運ではずれることもあるかもしれないですけれども、基本的には、できる人はほとんど失敗をしない。できる人は常にできる。そういう「人材」にどんどん大きい仕事を任すということが重要だと思うんですね。
―効率的な結果から見れば、できる人に「ホウ・レン・ソウ」に時間を取らせること自体がムダになると言うことですね。グローバル・スタンダードの仕事術を学ばせていただきました。
できる人への「がんばるタイム」と同様に、お教えいただきたいのが特徴的な「会議」の手法です。吉越さんの会議に対する発想法をお話しいただけますか?
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吉越:日本の会議は、大半が「井戸端会議」です。「こんなことが起きている。どうしようかしら。」こういう議論を10人以上が相談するわけですね。

「どうしよう」という状態で先に会議をすること自体が異常なんですね。「どうしよう」を皆で考えるから、「ホウ・レン・ソウ」が必要になる。会議を「ホウ・レン・ソウ」の形式でやっているわけですね。

これは、仕事としては良くないです。皆で相談するのではなく、「問題が起きました。この問題は担当者誰か。担当者はAさんです。じゃあ、Aさん、問題になった原因の特定と分析、そして対応策を明日朝の会議まで考えて」。これでその議題は終わりです。
翌朝「今回の問題はこういったところにあったんで、それを解決したものをいついつ導入します」というような形を全部書いてきて、自分で決めたデッドラインが全部設定されるわけです。担当者がそうしたら、私は「わかった、Aさん、それであれば結構です。営業でも何か質問ありますか」「いや、ありません」「じゃあ、それでやってください」ということで完結していきます。

あとはデッドラインの日に「解決しましたか?」、「終わりました。完了です。」、「おお、ようやった。」と皆、拍手が出るわけですね。とにかく任せてしまうわけです。その代わりチェックを入れる、そういったデッドラインでのチェックを入れるという形が必要なんですね。そういった形でのやり取りであれば「ホウ・レン・ソウ」でも何でもなく、もう任されているわけですから、さっき言ったように仕事がおもしろくなるんですよ。
要するに、そこでガヤガヤ検討するんじゃない。解決案を持って来たものを叩いて、いいかどうか決めるということですね。で、詰めが甘かったらやり直しで終わりです。自分で全部仕切ってやるわけですから、こういったやり方でやりますという解決案を常に持ち出していく。解決案まで全部考える。これができる人の仕事です。

常に私は「仕事」を3段階に分けろと言っているのですが、1つ目に「総合職」の仕事があります。次に「パートさん」の仕事。そしてコンピューター化、IT化です。
判断の必要がなく、ルール化できるものであれば「IT化」ができます。全てコンピューター化していきます。次に「パート化」です。これは、判断が必要だけれども、非常に簡単な判断で、かつコンピューターではちょっと難しいものです。こうした作業は、時給850円で十分ですね。最後に、「総合職」というのは、「毎日の流れ作業なんて一切するな。流れ作業をしているやつは、時給850円にするぞ」ということになります。総合職がすべき仕事とは、仕事を減らす仕事や、クリエイティブな仕事です。
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