今年のお花見コストはインフレ傾向?

いよいよ桜のシーズンになりました。さて、この時期は卒業や入学や入社など人の動きが多くなにかと出費も多くなる季節です。それでも、花見にも行って楽しみたい!と思っているみなさん。今年の花見を楽しむには昨年までより少し費用が高くなりそうな感じです。その原因は忍び寄るインフレのようです。

2018.3.27

需給ギャップがプラスに

いきなり硬めの話ではありますが、2018年3月19日の内閣府から明るいニュースが発表されました。日本経済が順調に回復していることを示すものです。簡単に説明すると「需要が供給を上回る状態」、つまり「需給がプラス」に転じたという内容でした。
具体的には3月8日に年10~12月期のGDP改定値が発表され、その数値を元に17年の実質GDPは531兆4042億円、供給力を示す潜在GDPは529兆円という推計がなされました。その結果、2017年の日本の需給ギャップは+0.4%となり、消費や企業の設備投資などが引き続き好調であるこということが広く認識されました。ちなみに、需要が供給を下回る「マイナス」な状態が2008年のリーマンショック以降、9年も続いていましたので、デフレからの脱却を目標としていた政府と日銀にしてみれば9年越しの念願が叶ったといえます。
これをきっかけに政府としてはデフレ脱却の確信を強めたのではないかと思います。
このニュースは経済的にどのようなインパクトがあるのでしょうか。
たとえば将来的に物価は上昇する可能性が高まる、物価上昇前に消費や設備投資の前倒しが起こる、金利上昇に備える投資家が増える、業績相場への以降のため株価が調整するなどの影響がありそうです。

インフレ脱却を確認するためのもう2つの指標

さて、このように需給ギャップがプラスになったことで物価が確実に上昇トレンドに入ったかと判断する前にもう少し確認しておきたい指標があります。
1)コアCPI
コアCPIは物価の上昇率を示す、すごく大事な指標です。3月23日に総務省から2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)が発表され前年比1%上昇となりました。3年ぶりの高水準となり、上昇は14カ月連続で、主要因はガソリンを含む石油製品の押し上げ効果ということです。また、物価の基調を示すコアコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く)も徐々に伸び率を高めています。
また、花見に直結する生鮮食品を含む総合指数はというと前年比1.5%も上昇し、1月の1.4%から微増ではありますがプラス幅が拡大しています。昨年から話題になっていた野菜や果物など生鮮食品は引き続き高値が続いていますが、魚介類の価格が下落したことで、このように0.1%増で収まったようです。
これからも分かるように花見で食べるおつまみや惣菜は、魚中心で野菜と果物を少し減らすとコストが上がらないといえそうですが、みなさんいかがでしょうか? 少しさみしい気もしますが。
2)GDPデフレーター
この指標は、国内で生産されたモノやサービスの価格水準を示すものです。あまり聞きなれない人も多いかもしれませんが、GDPデフレーターは政府も日銀も物価上昇率を計る重要な指標として注目しています。17年10月〜12月期の数値は、前年同月比で+0.1%とあまり強くなかったのでまだまだ弱い印象ですが、長くマイナス圏内であったことを考えればこちらも時間とともに上昇する傾向が見られるといえます。
このように3つの指標を見てもインフレ傾向が確認できます。とはいえ、食品が高くて花見ができないという状況にまで至っていないようですが、来年は少し異なるかもしれません。
たとえば、「ビール」「酎ハイ」などの缶飲料が値上がりしているかもしれません。実は、この4月から業務用ビールやサワーが値上げになることがビール各社から発表されています。値上げの背景は「原材料の高騰」であることから、業務用に限らず缶ビールにも及ぶことは時間の問題ではないかといわれています。
毎年花見をする人は是非この3つの指標を花見に行く前に「定点観測」してみてはいかがでしょうか。物価上昇は、企業の生産活動、個人の消費行動に大きな影響を与える要素です。この定点観測ができれば、株価や債券の見通しにも使えますので花見のコスト抑制と投資成果と一挙両得になるかもしれませんね。
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