20年後も、出来る範囲で社会に影響を及ぼしていきたい。
神原
今、西川さんは55歳ですが、10年後、20年後、どのような生き方を目指していらっしゃるのでしょうか?
西川
先ほど会社勤め、起業家、投資家の違いでお話ししましたが、投資家は24時間365日が全部自分の時間ですので、定年という意識は持っていません。ですから、65歳で仕事が終了してリタイアといった意識は全くありません。体力的には落ちていくと思いますが、頭脳がきちんと働いている限り、自分の出来る範囲で、何らかの形で会社を運営して、社会に影響を及ぼしていきたいと思っています。そのために今、多少ですが、健康法や食事などに気を付けています。
神原
健康第一ですね。
西川
はい。私の場合、特に食事に関することが大きいですね。ある先生に分子栄養学の基礎を教えてもらったり、世間で言われている健康法、特に食べ物に関しては、いろいろと間違った話も混ざっているので注意した方が良いとか、逆に世間ではあまり気にしていないが、これは注意した方が良いといったことを教わっています。
西川
話は変わりますが先日、ミャンマーで無償で医療をやっている吉岡秀人さんの講演を聞いて、大変感銘を受けました。ミャンマーで子供の風土病を治す手術を、年間に1万件手術をするそうです。これを聞いた夜、 起業家の友人たちと 「自分たちは新しい会社を作って雇用を生むということをしている。僕らがやっていることも、吉岡先生が医療でやっていることも、同じように社会的に意義があるのだ」と、再確認しました。
神原
医療や起業と立場は違っても、自分の強い分野で社会に関わっていることが大事なんですね。
最後に、読者におすすめの本があればご紹介いただけますか?
西川
学生時代に読んだ萩原朔太郎の「アフォリズム」を紹介したいと思います。萩原朔太郎全集第4巻に入っている箴言集で、今でも時々読み返しています。その中のエピソードに、「帽子と結婚」という話があります。ある人が、銀座に帽子を買いに行きました。松屋に入り、松坂屋に入り、三越に入って色々試してようやく「これだ!」という帽子を見つけて買って帰っても、やはり気に入らず、次の日に交換に行くという話。帽子のような日用品の買い物ですら、 やっとの思いで決めたのに取り替えたくなる。結婚という重大な決断についてはどうだろうか。 結婚は相手の選択ではなく、その後の関係作りの方が大事だということを示唆する、とてもウィットに富んだ話です。こういった短い話がたくさんあります。
神原
日本を代表する起業家で、エンジェル投資家でもある西川さんから、萩原朔太郎のご紹介をいただくとは意外です!本日は、西川さんのこれまでの人生を振り返って、さまざまなお話をお聞きすることができました。どうもありがとうございました。
(本記事は、2012年08月10日にファイナンシャルマガジンに掲載されたものを再掲載しています)
今、西川さんは55歳ですが、10年後、20年後、どのような生き方を目指していらっしゃるのでしょうか?
西川
先ほど会社勤め、起業家、投資家の違いでお話ししましたが、投資家は24時間365日が全部自分の時間ですので、定年という意識は持っていません。ですから、65歳で仕事が終了してリタイアといった意識は全くありません。体力的には落ちていくと思いますが、頭脳がきちんと働いている限り、自分の出来る範囲で、何らかの形で会社を運営して、社会に影響を及ぼしていきたいと思っています。そのために今、多少ですが、健康法や食事などに気を付けています。
神原
健康第一ですね。
西川
はい。私の場合、特に食事に関することが大きいですね。ある先生に分子栄養学の基礎を教えてもらったり、世間で言われている健康法、特に食べ物に関しては、いろいろと間違った話も混ざっているので注意した方が良いとか、逆に世間ではあまり気にしていないが、これは注意した方が良いといったことを教わっています。
西川
話は変わりますが先日、ミャンマーで無償で医療をやっている吉岡秀人さんの講演を聞いて、大変感銘を受けました。ミャンマーで子供の風土病を治す手術を、年間に1万件手術をするそうです。これを聞いた夜、 起業家の友人たちと 「自分たちは新しい会社を作って雇用を生むということをしている。僕らがやっていることも、吉岡先生が医療でやっていることも、同じように社会的に意義があるのだ」と、再確認しました。
神原
医療や起業と立場は違っても、自分の強い分野で社会に関わっていることが大事なんですね。
最後に、読者におすすめの本があればご紹介いただけますか?
西川
学生時代に読んだ萩原朔太郎の「アフォリズム」を紹介したいと思います。萩原朔太郎全集第4巻に入っている箴言集で、今でも時々読み返しています。その中のエピソードに、「帽子と結婚」という話があります。ある人が、銀座に帽子を買いに行きました。松屋に入り、松坂屋に入り、三越に入って色々試してようやく「これだ!」という帽子を見つけて買って帰っても、やはり気に入らず、次の日に交換に行くという話。帽子のような日用品の買い物ですら、 やっとの思いで決めたのに取り替えたくなる。結婚という重大な決断についてはどうだろうか。 結婚は相手の選択ではなく、その後の関係作りの方が大事だということを示唆する、とてもウィットに富んだ話です。こういった短い話がたくさんあります。
神原
日本を代表する起業家で、エンジェル投資家でもある西川さんから、萩原朔太郎のご紹介をいただくとは意外です!本日は、西川さんのこれまでの人生を振り返って、さまざまなお話をお聞きすることができました。どうもありがとうございました。
(本記事は、2012年08月10日にファイナンシャルマガジンに掲載されたものを再掲載しています)