メルケル氏は右派と左派の溝を戦略的に無視することで自らの政治的支配の範囲を拡大し、ライバルの支持さえ獲得してきました。そこには「独善的にならず、社会的変化に柔軟に対処し、国民の意向に沿う」といったより民主的な戦略がプラスの結果をもたらしているのです。
「一歩ずつ着実に」をモットーとするメルケル氏は、右派・左派といった偏向的なイデオロギー論を避け、一度決めた方針も柔軟に変更する戦略が、右派・左派両方のみならずどっちつかず派の有権者から支持を増やしているのです。これは、プロセスより結果を重視して試行錯誤する科学者らしい彼女の処世術と評価されています。
庶民的でシンプル
東ベルリン育ちのメルケル氏は常に監視の目にさらされていた経験から、プライバシーをひっそりと守る傾向があるらしく、研究者の夫もほとんど公には顔を出しません。
首相という立場ながら、スーパーで普通に買い物をしたり、料理が得意だったり、自然の中でアウトドアライフを楽しんだりと、庶民的な姿勢が国民にも好感度抜群なようです。
まとめ
13年という長期政権を維持してきたメルケル氏ですが、今週10月29日、18年間務めたキリスト教民主同盟(CDU)の党首を辞任する意向を表明しました。首相職は2021年の任期まで続けるそうですが指導力がそれまで維持できるか不透明な要素が多く多難な前途が待っていそうです。
近年はギリシャの債務問題、EUの緊縮財政、中東・アフリカから押し寄せる移民・難民問題で窮地に立たされ支持率も減ってきた中での今回の結果と言えるでしょう。彼女の生来の性格である「規則重視」「頑固さ」と、政治経験によって身についた「社会的変化に適応する柔軟性」をもってしても、近年の難題「移民・難民に対する国民の危機感」VS「労働人口の不足」という相反する問題と折り合いをつけるのは困難だったようです。
この問題が選挙の敗北の主要因であると目されていますが、人種差別政策で過去に悲劇をもたらした「ヒトラーの悪夢」の再燃を阻止すべく奮闘してきた国家元首も、時勢の寄る波には勝てなかったようです。首相として残された任期の中で、この究極の問題を抱えながらいかに舵を取っていくのか、同様の問題が間近に迫る日本としても今後の手腕を見守りたいものです。
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