上司と部下の関係性でカギとなるのは「ほどよい距離感」

上司が部下との関係を良好なものにしたいと思うあまり、距離が近づきすぎるケースもあります。距離が近いことは、メリットになる場面もあれば、一方でさまざまな弊害を生み出すことも。今回は、上司と部下の関係で重要ないくつかのポイントをご紹介します。

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2019.6.27
上司と部下の関係は、いつの時代・どこの企業でもさまざまな悩みがつきものです。有効な関係を築こうと思って親しくなりすぎるのは、すべての状況においてベストとは限りません。今回は、上司と部下との距離感について考えていきます。

距離が近すぎると「えこひいき」と見られるリスクが

上司は「部下にベストを尽くして成果を出してもらいたい」、部下は「上司とうまく関係を保ち、職場でステップアップしていきたい」と考えています。部下のなかには、積極的に上司に近づいてくるもの、そうではないものの仕事がスムーズでコミュニケーション能力が高いものなどが存在するでしょう。 ときには上司のほうから、相性的にいいと感じる部下と親しくなることもあるはず。それが結果的に「えこひいき」と取られてしまうリスクもあります。他の部下と同じように接しているつもりでも、なんとなく「違い」を感じてしまう部下にとっては、仕事に対する嫉妬や諦めの気持ちが生まれてしまうかもしれません。

トラブル時など、適正な行動が取りにくくなることも

上司と部下の仲がいいのは、風通しがいい職場環境・スムーズな仕事の進行につながります。
一方で、トラブルが発生したとき、仕事における方向転換など判断が必要なときなど、適切な是正ができずにタイミングを逃す可能性もあります。 たとえば部下を傷つけてしまう、関係性を壊してしまう、社内での評価を下げてしまうなど、部下に対する同情的な感覚が芽生えて厳しいかじ取りがしにくくなってしまうことも。もしも他の部下ではみられないような、肩を持つ行為をとった場合には、他の部下からの信頼を損なってしまう可能性もあります。

上司と部下には共創・補完する関係が有効

上司と部下といえば、基本的に「上下関係」という言葉を使います。しかし、上下関係を重要視するあまり、近すぎる距離感を気にしてしまうのかもしれませんね。たとえば上司と部下の関係では、「補完する(不足を補い完全な形にする)関係」「共創する(共に創っていく)関係」と考えてみてはいかがでしょうか? 常に「上司」「部下」と線引きするのではなく、ひとつの目的・目標に対して足りない部分がないか把握して必要なものを補う、そして共に創っていく関係が有効です。このように考えることで、部下も「仕事を与えられる存在」ではなく、「ひとつの目標を達成するためのパートナー」として上司のことを認識するでしょう。 関係性は密接にすればいいのではなく、それぞれがひとりの人間として責任ある行動をすることで、ほどよい距離感が生まれるはずです。

理想の上下関係をつくるために必要なポイント

上司と部下との理想的な関係を生み出すには、いくつか抑えておきたいポイントがあります。まずひとつに仕事における目的を共有することです。すべての部下と認識を共有することで、信頼のおける関係性の維持につながります。 次に「上司はいつも完ぺき」と思わせるのではなく、ときには弱みを見せ、補完・共創する関係だと認識させることです。上司が完ぺきだと認識されると、上司の判断待ちばかりしてしまう部下も出てくる可能性が。人誰しも人間であることを認識させ、チーム全体がひとつになり協力し合う一体感をつくります。 それに併せて、部下の意見も積極的に聞き入れましょう。問題点なども吸い上げ、ひとりの部下だけではなくチーム全体の意見を公正に聞く姿勢が大切です。

成果につながりやすいのは仕事の能力より上司・部下との関係性!

仕事において、大きな成果を上げられるのは「仕事における能力」と思っている人が大半かもしれません。たしかに能力も大切ですが、まわりの人とうまく関係を構築できない人は、早々の成果しか出せないケースも少なくありません。 実は、能力と同等、もしくはそれ以上に大切なのが「上司と部下との関係性」であり、「人間関係」ともいえます。「1+1=2以上」になる良好な関係性が部署にたくさん存在すれば、個々の能力が高いだけの人材が生み出す成果を追い越すこともできるでしょう。 お互いがベストの力を発揮できるよう、適度な距離感を保つことが大切です。
湊音

湊音

元総務・人事キャリアを持つフリーライター。これまでの経験を活かし、「仕事」「働き方」などのテーマを中心に執筆活動中。女性がのびのびと多様な働き方を実現できるべく、常に新しい情報をキャッチしています。
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